前衛的な無声映画『狂った一頁』(1926年)、『十字路』(1928年)や、日本に初のカンヌ映画祭グランプリをもたらした『地獄門』(1953年)などで知られる巨匠監督、衣笠貞之助(1896-1982)。林長二郎の芸名で1927年の『稚児の剣法』に初出演以来、類い無い美剣士スターとして爆発的な人気を集め、「二枚目」の代名詞として戦後もトップスターの座に君臨した長谷川一夫(1908‐1984)。この二人が日本映画史上でも最良のコンビをうたわれたことは周知の通りです。ともに女形の役者経験を持つ彼らは、時代劇スターの不足に悩んでいた松竹京都(下加茂撮影所)に美麗な剣戟映画の路線を確立して全盛をもたらし、後には東宝、大映でも活躍の場をともにしながら、各社の看板作品を次々と世に送って、日本映画の黄金時代を牽引しました。
長谷川一夫の生誕100周年にあわせて開催される本企画では、コンビによる代表作はもちろん、無声映画時代から戦後1960年代までに作られた衣笠貞之助監督作品と長谷川一夫出演作品、計55本を通して、偉大な二人の映画人の足跡を回顧します。
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