2008年2月29日は、映画監督・マキノ雅広(1908-1993)生誕百周年の記念日にあたります。“日本映画の父”牧野省三の長男として生を享け(本名、牧野正唯)、幼少期より子役として映画の世界に身を浸したマキノは、1926年に弱冠18歳で監督に進出、28年には『浪人街 第一話 美しき獲物』(マキノ御室)などの話題作を発表して早々と日本映画界の第一線に駆け上りました。以来、映画各社を股にかけて娯楽作品を矢継ぎ早に手がけながら、戦前には『鴛鴦歌合戰』(1939年、日活)や『昨日消えた男』(1941年、東宝)のようなヒット作品を、戦後には「次郎長三国志」(1952-54年、東宝)、「日本俠客伝」(1964-69年、東映)のような人気シリーズを続々と放つこととなります。1972年の『藤純子 引退記念映画 関東緋桜一家』(東映)を最後にスクリーンから遠ざかるまで、生涯に手がけた監督作品は260本以上。半世紀近くに及ぶそのキャリアは、まさに日本映画史の本流を貫くものであったといっても過言ではありません。
本特集では、いまも根強い人気を誇るお馴染みの作品、シリーズはもちろん、『グランド・ショウ1946年』(1946年、松竹)や『肉体の門』(1948年、吉本映画)などこれまで再上映の機会に恵まれなかった作品のニュープリント、あらたに発掘・復元された『赤垣源蔵』や『忠治活殺剱』(いずれも1936年、マキノトーキー)などの珍しい作品も多数含む計110本、104プログラムの上映を通して、マキノ映画の魅力に迫ります。
なお、本企画は、全体を1月5日から2月17日まで開催される第1期と、上映される機会の少ない作品をより多く紹介する第2期に分けて開催しています。
フィルムセンターならではの充実したプログラムをお楽しみください。