東宝=円谷英二による特撮映画の金字塔、『ゴジラ』が公開されたのは日本映画が産業としてピークを迎えつつあった1954年のこと。それまで戦争映画などを通して培われてきた日本の特殊技術の力が、いよいよ空想の世界で最大限に発揮されたのでした。
以来、日本の特撮映画は、次々とユニークな怪獣を生み出し、また近未来戦争や科学犯罪、スーパーヒーローの活躍など様々な分野を開拓しながら、日本映画のユニークなジャンルとして定着してゆくことになります。ブームの最盛期となった1967年には東宝や新東宝、大映、東映に加え、新たに松竹や日活も怪獣映画の製作に乗り出すほどの活況を呈し、また日本製怪獣・SF映画の多くが海外にも輸出され根強いファンを生み出してゆきました。
「日本映画史横断」の第3回目となる本企画では、『ゴジラ』以前に円谷英二が特殊技術を担当した1949年の『透明人間現わる』から1968年の『怪獣総進撃』まで、第1次ブームと呼ばれる時代の作品44本(42プログラム)の上映を通して、日本が誇る偉大な遺産を回顧します。