フィルムセンターでは、平成21年度補正予算から映画保存のための特別事業費を得て、通常の収集活動では困難なフィルム・コレクションの拡充や原版素材の整備に取り組んできました。事業の実施にあたっては、次のような二つの方針が定められました。
(1)フィルムセンターがこれまでに収集した貴重なフィルムから保存用のネガと上映用のニュー・プリントを作成する。
(2)映画会社が保管している旧作映画のうち、既にネガが失われマスター・ポジ、上映プリントのみが残されている作品を調査して、ネガとニュー・プリントの作成を行う。
今回の特別事業により、既存のコレクションからの原版作成は159作品、映画会社からの購入は173作品、総数では332作品(フィルムの総数は909本)が新たにフィルムセンターのコレクションとして収蔵されることになりました。とりわけ後者は、これまでフィルムセンターでの収集がかなわなかった作品、映画館のスクリーンでは久しく見ることができなかった作品がほとんどを占めています。それらをまとめて紹介する企画の第6弾となる今回は、東宝の作品を取り上げ、その前身にあたるP.C.L.、J.O.時代を含む初期の作品や巨匠たちの知られざる作品を19のプログラム(計20本)で紹介します。ニュー・プリントで甦った日本映画をフィルムセンターの大スクリーンでお楽しみください。
*本事業の実施にあたっては、社団法人日本映画製作者連盟加盟社等映画会社各社および現像所各社のご協力をいただきました。
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