フィルムセンターは、新館オープン後の1996年から2002年にかけて、日本映画の歴史を年代順にたどり、その豊かな作品群を踏破するシリーズ企画「日本映画の発見」を開催しました。無声映画時代から1970年代に至る計7期の企画の中で、その上映作品数は413にのぼります。その実績を踏まえてこの2006年度に幕を開けるのが、ジャンルや数々のテーマに沿って、映画大国日本が生み出した遺産への多彩な切り口を提供する新シリーズ「日本映画史横断」です。
その「日本映画史横断」の第1回として企画されたのが、特集「日活アクション映画の世界」です。1954年に製作を再開した日活撮影所は、間もなくアクション映画の量産に踏み切ってヒット作を連発し、国民的な人気を獲得した石原裕次郎と小林旭のほかにも、赤木圭一郎、和田浩治、二谷英明、宍戸錠、高橋英樹、渡哲也といった個性あふれる男性スターを、またその世界を支えた北原三枝、浅丘ルリ子、芦川いづみ、松原智恵子らの可憐なヒロインたちを送り出してきました。悪に挑む果敢なヒーロー像を引っさげて、ある時は緊張感に満ち、ある時はムーディに、またある時は荒唐無稽でコミカルな一面も見せた日活アクションは、仁侠映画のエッセンスを吸収するかと思えば、1960年代末には時代の若者風俗を取り入れ藤竜也、梶芽衣子らの新スターを生んだ「ニュー・アクション」路線を展開し、およそ15年にわたって豪快な活劇で日本人の視線をスクリーンに集めてきました。
この特集では1956年から1971年までに製作された56本の長篇に、日活撮影所の建設記録の短篇1本を付して上映いたします。爽快な活劇群から立ちのぼる、戦後日本映画の雄々しい輝きをお楽しみください。
■(監)=監督 (原)=原作・原案 (脚)=脚本・脚色 (撮)=撮影 (美)=美術、装置 (音)=音楽 (出)=出演
■本特集には不完全なプリントが含まれています。
■記載した上映分数は、当日のものと多少異なることがあります。
■本特集の作品選定には渡辺武信氏(映画評論家)の協力を得ました。