100年近く前に作られた初の国産劇映画『ステンカ・ラージン』とともに産声を上げたロシア映画は、ある時は野心的に、またある時は否応なく政治の試練と向き合いつつも、映画の可能性を真摯に追究し、世界の映画に芸術的影響を与えてきました。
日ロ国交回復50周年を記念する本年、「ロシア文化フェスティバル2006 IN JAPAN」の一環として、フィルムセンターはロシア・ソビエト映画祭実行委員会と共催し、「ロシア・ソビエト映画祭」を開催することになりました。古くは『ステンカ・ラージン』から、最新作である『死という名の騎士』(2004年)と『宇宙を夢見て』(2005年)まで、両者の選定による、フィルムセンター所蔵作品も多数含まれた28本の作品を一挙に紹介します。上映作品としては、エイゼンシュテイン、ヴェルトフ、プドフキンといった1920年代から1930年代のソビエト映画を代表する監督たちの名作はもちろんのこと、亡命ロシア人が多数出演した島津保次郎の「満州」映画『私の鶯』(1943年)、文豪トルストイの大河小説に基づいたボンダルチュクの『戦争と平和』(1965-67年)全4部も上映し、ロシア・ソビエト映画史の大きな潮流をたどるとともに、復活した“ロシア映画”としての新たな歩みにも着目してゆきます。
また、本映画祭を開催するにあたって、カレン・シャフナザーロフ監督やアレクセイ・ウチーチェリ監督を含むゲストがロシアより来日し、舞台挨拶等を行う予定です。どうぞご期待ください。
フィルムセンターでは、本企画は1978年の「ソ連映画の史的展望」以来、28年ぶりの大規模なロシア・ソビエト映画の特集上映となります。この映画祭を通して、皆様にロシア・ソビエト映画の魅力を改めて味わっていただければ幸いです。
■(監)=監督 (原)=原作 (脚)=脚本 (撮)=撮影 (美)=美術 (音)=音楽 (出)=出演
■本特集には不完全なプリントが含まれています。
■記載した上映分数は、当日のものと多少異なることがあります。