過去の上映
- 2023.7.4 - 9.3, 10.10 - 10.22
- 上映企画
逝ける映画人を偲んで 2021-2022
In Memory of Film Figures We Lost in 2021-2022
会 期 ※会期中の休映日:月曜日および10月13日(金)、14日(土)
[第1期]2023年7月4日(火)-9月3日(日)
[第2期]2023年10月10日(火)-22日(日)
会 場 長瀬記念ホール OZU(2階)
定 員 310名(各回入替制・全席指定席)
概要
■(監)=監督・演出 (原)=原作・原案 (脚)=脚本・脚色 (撮)=撮影 (美)=美術 (音)=音楽 (出)=出演 (声)=声の出演 (解)=解説・ナレーション
■スタッフ、キャスト欄の人名は原則として公開当時の表記を記載しています。
■上映をもって追悼する方々の名前は、青色で表示しています。出演者の場合、カッコ内は映画中の役名です。
■上映分数は、当日のものと多少異なることがあります。
■本特集には不完全な上映素材や状態の悪い上映素材が含まれていることがあります。
■本特集で上映するDCPは、磁気テープやDVD等の原版から作製しました。
■NEWとある作品はニュープリントでの上映です。
■*が付いている作品は、公開当時成人指定を受けた作品です。当該の上映回に女性専用席を設けます。
警視庁物語 遺留品なし (66分・1959・東映東京・監:村山新治)
5.0線の女狼群 (73分・1960・新東宝・音:渡辺宙明・出:小畑絹子(遠藤小夜子)・監・脚:三輪彰) 7.ファンキーハットの快男児 (53分・1961・ニュー東映東京・出:千葉眞一(天下一郎)・監:深作欣二)
ファンキーハットの快男児 二千万円の腕 (52分・1961・ニュー東映東京・出:千葉眞一(天下一郎)・監:深作欣二)
6.地平線がぎらぎらっ (89分・1961・新東宝・出:ジェリー藤尾(マイト)・監・脚:土居通芳) 8.B・G物語 二十才の設計 (90分・1961・東宝・出:船戸順(栗村太郎)、江原達怡(深見和夫)、藤山陽子(大道久仁子)、二瓶正典(同僚社員)・監:丸山誠治) 10.銀座の恋の物語 (93分・1962・日活・衣裳デザイン:森英恵・出:ジェリー藤尾(宮本修二)・監:藏原惟繕) 9.二人の息子 (93分・1961・東宝・出:宝田明(健介)、藤山陽子(紀子)・監:千葉泰樹) 12.黒の超特急 (93分・1964・大映東京・出:藤由紀子(田丸陽子)・監・脚:増村保造) 11.裸体 (85分・1962・にんじんくらぶ・監・脚:成沢昌茂・出:川津祐介(宗太)) 13.この声なき叫び (97分・1965・松竹大船・出:田村正和(佐々木晋一)・監:市村泰一) 14.座頭市二段斬り (84分・1965・大映京都・監:井上昭・出:木村玄(大館甚吾)) 15.レッツゴー!若大将 (90分・1967・東宝・監:岩内克己・出:田中邦衛(石山新二郎)、江原達怡(江口敏)、宝田明(呉隆)) 16.二人の銀座 (79分・1967・日活・監:鍛冶昇・撮:山崎善弘・記録:桑原みどり) 17.わが映画人生 鍛冶昇監督 (135分・2007・日本映画監督協会・出:鍛冶昇) 19.高校生芸者 (79分・1968・大映東京・出:水木正子(南坂たみ子)・監:弓削太郎) 18.砂糖菓子が壊れるとき (96分・1967・大映東京・脚:橋田寿賀子・監:今井正) 20.若者たち (96分・1968・劇団俳優座=新星映画社・監:森川時久・出:田中邦衛(佐藤太郎)、山本圭(佐藤三郎)) 21.濡れた唇* (75分・1972・日活・出:絵沢萠子(洋子)・監:神代辰巳)
バックが大好き!* (65分・1981・にっかつ・出:朝比奈順子(美女)・監:小原宏裕)
22.哀しみのベラドンナ* (80分・1973・虫プロ・監・脚:山本暎一・製作協力:原正人) 23.アジアはひとつ (96分・1973・NDU・監・撮:井上修・監・撮:日本ドキュメンタリストユニオン) 24.サンダカン八番娼館 望郷 (121分・1974・東宝=俳優座・撮:金宇満司・監・脚:熊井啓) 26.玉割り人ゆき* (64分・1975・東映京都・監:牧口雄二)
玉割り人ゆき 西の廓夕月楼* (64分・1975・東映京都・監:牧口雄二)
25.ザ・ドリフターズの極楽はどこだ!! (94分・1974・松竹=渡辺プロ・出:仲本工事(中山)、佐野浅夫(赤垣)・監・原・脚:渡邊祐介) 27.鬼の詩 (93分・1975・鐵プロ=ATG・出:片桐夕子(露)・監・脚:村野鐵太郎) 29.映画を語る 東映大泉篇・II (118分・2003・日本映画監督協会・出:小平裕・司会:澤井信一郎・構成:仲倉重郎) 28.新宿酔いどれ番地 人斬り鉄 (87分・1977・東映東京・監・脚:小平裕・脚:松田寛夫) 30.草原の子テングリ (22分・1977・桜映画社・監・作画監督:大塚康生)
うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー (97分・1984・東宝=キティ・フィルム・美:小林七郎・監・脚:押井守)
31.草の影を刈る (200分・1977・監・構成・撮・編集:鈴木志郎康) 32.十八歳、海へ (110分・1979・にっかつ・製作:結城良熙・脚:渡辺千明・監:藤田敏八) 33.生きてはみたけれど 小津安二郎伝 (123分・1983・松竹・製作・出:山内静夫・出:佐藤忠男・監・脚:井上和男) 34.高原に列車が走った (104分・1984・東映=高原プロ・企画:植田泰治・編集:西東清明・監・脚:佐伯孚治) 35.お葬式[再タイミング版] (124分・1984・ニュー・センチュリー・プロデューサーズ=伊丹プロ・撮:前田米造・出:佐野浅夫(黒崎)・監・脚:伊丹十三) 36.乱 (162分・1985・ヘラルド・エース=グリニッチ・フィルム・プロ・プロデューサー:原正人・衣裳デザイン:ワダエミ・出:隆大介(一文字三郎直虎)・監・脚:黒澤明) 37.花いちもんめ (125分・1985・東映京都・脚:松田寛夫・出:西郷輝彦(鷹野治雄)・監:伊藤俊也) 39.青春かけおち篇 (96分・1987・松竹・監:松原信吾・調音:松本隆司) 38.火宅の人 (132分・1986・東映京都・企画:高岩淡・監・脚:深作欣二) 40.精霊のささやき (90分・1987・エクゼ=渡辺プロ・監・脚:植岡喜晴) 42.ラブ・ストーリーを君に (104分・1988・東映=オスカープロモーション・監:澤井信一郎・編集:西東清明) 41.竹取物語 (121分・1987・東宝映画=フジテレビ・特技監督:中野昭慶・録音:斉藤禎一・衣裳デザイン:ワダエミ・監・脚:市川崑) 43.わが映画人生 マキノ雅裕監督 (113分・2002・日本映画監督協会・インタビュアー:澤井信一郎) 45.死の棘 (114分・1990・松竹=松竹第一興行・製作:荒木正也・出:野村昭子(雑貨屋)・監・脚:小栗康平) 44.将軍家光の乱心 激突 (112分・1989・東映京都・原・脚:松田寛夫・アクション監督・出:千葉真一(伊庭庄左衛門)・出:福本清三(堀田正盛の手下)・監:降旗康男) 46.死んでもいい (117分・1992・アルゴプロジェクト=サントリー・監・脚:石井隆) 48.エイジアン・ブルー 浮島丸サコン (111分・1995・シネマ・ワーク・製作:伊藤正昭・出:隆大介(大林)、絵沢萌子(涌井タマ)・監:堀川弘通) 47.ナースコール (105分・1993・アポロン=ライトヴィジョン・脚:信本敬子・出:絵沢萠子(入院患者)・監:長崎俊一) 49.緊急呼出し エマージェンシー・コール (106分・1995・プルミエ・インターナショナル・監・脚:大森一樹)
イエスタデイワンスモア (18分・2008・朝日放送・監・脚:大森一樹)
50.ロマンス (95分・1996・オフィス・シロウズ・製作:佐々木史朗・監・脚:長崎俊一) 51.うなぎ (116分・1997・ケイエスエス=衛星劇場=グルーヴコーポレーション・撮:小松原茂・監・脚:今村昌平) 52.フレンチドレッシング (100分・1998・大映・監・脚:斎藤久志) 53.DEAD OR ALIVE 犯罪者 (105分・1999・大映=東映ビデオ・録音:沼田和夫・監:三池崇史) 54.EUREKA (217分・2001・電通=IMAGICA=サンセントシネマワークス=東京テアトル・監・脚・音・編集:青山真治) 55.THWAY 血の絆 (201分・2003・映画「血の絆」製作委員会・監・脚:千野皓司・撮:前田米造・編集:西東清明) 56.灰土警部の事件簿 人喰山 (28分・2009・音響演出:光地拓郎・監・作画・弁士:にいやなおゆき)
クジラのいた夏 (89分・2014・「クジラのいた夏」製作委員会・録音:光地拓郎・監・脚:吉田康弘)
57.よみがえりのレシピ (95分・2011・「よみがえりのレシピ」製作委員会・製作:高橋卓也・監・撮:渡辺智史) 58.かぞくのくに (100分・2012・スターサンズ・企画:河村光庸・監・脚:ヤン・ヨンヒ) 59.色道四十八手 たからぶね* (71分・2014・PGぴんくりんく・監・脚:井川耕一郎) 60.最後の活動弁士 井上陽一の世界 (46分・2016・映画製作委員会・監:高橋一郎・製作:鵜久森典妙・出:井上陽一)
旅する映写機 (105分・2013・監・製作・撮:森田惠子)
61.短篇集1 (計104分) 62.短篇集2 (計78分) [第2期]10月10日(火)-10月22日(日) ◆澤田幸弘(1933-2022) 63.反逆のメロディー (84分・1970・日活・監:澤田幸弘・撮:山崎善弘・記録:桑原みどり・出:佐藤蛾次郎(ゲバ作)、二瓶正也(立花組組員)) 64.わが映画人生 澤田幸弘監督 (134分・2009・日本映画監督協会・出:澤田幸弘) ◆恩地日出夫(1933-2022) 65.女体 (94分・1964・東宝・監・脚:恩地日出夫・監督助手:中野昭慶・出:坂本スミ子(乾美乃)) 66.わらびのこう 蕨野行 (125分・2003・日本の原風景を映像で考える会=タイムズイン・監:恩地日出夫・記録:構木久子・製作上映支援:高橋卓也・出:李麗仙(マツ)) ◆吉田喜重(1933-2022) 67.秋津温泉 (112分・1962・松竹大船・監・脚:吉田喜重) 68.エロス+虐殺 (165分・1970・現代映画社・監・脚:吉田喜重・音:一柳慧) 69.友よ、静かに瞑れ (103分・1985・角川春樹事務所・監:崔洋一) ◆崔洋一(1949-2022) 70.マークスの山 (138分・1995・松竹=アミューズ=丸紅・監・脚:崔洋一) ◆小林政広(1954-2022) 71.愛の予感 (102分・2007・モンキータウンプロ・監・脚・出:小林政広(ジュンイチ)・編集:金子尚樹) 72.日本の悲劇 (101分・2012・モンキータウンプロ・監・脚:小林政広・編集:金子尚樹)
上映作品詳細
[第1期]7月4日(火)-9月3日(日)
1米(118分・35mm・カラー)
- 2023年7月18日(火) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年7月21日(金) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
貧困に苦しむ農民の生活が霞ヶ浦の美しい田園風景のうちに詩情豊かに綴られる。初のカラー映画で色彩を活かすリアリズムを追求した今井正は、その一環としてスター俳優の代わりに新人の江原真二郎を主演に抜擢。江原は今井の次回作『純愛物語』(1957)でも主演を務め、中原ひとみとともに「純愛コンビ」として人気を集めた。
2惜春鳥(102分・35mm・カラー)
- 2023年7月13日(木) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年7月15日(土) 12:30 PM@長瀬記念ホール OZU
会津で育った5人の青年が、変わりゆく現在の姿とかつての友情との間で揺れ動くさまを描いた青春映画。ともに木下惠介監督に見出されて映画界入りした石濱朗と川津祐介、三代目三羽烏の一人である山本豊三(同じく小坂一也も出演)ら当時の松竹の若手俳優が一堂に会し、瑞々しい輝きを放っている。
3東海道四谷怪談(77分・35mm・カラー・英語字幕付 with English subtitles)
- 2023年7月19日(水) 2:30 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年7月23日(日) 12:15 PM@長瀬記念ホール OZU
鶴屋南北の原作を映画化した中川信夫の代表作。和楽器の奏でる妖しげな旋律が混沌とした世界観を表現し、渡辺宙明の音楽効果に触れずして語れない作品になった。渡辺は以後、TVアニメ『マジンガーZ』(1972-74)などを手がけ、特撮・アニメ映像音楽の第一人者として生涯第一線で活躍した。
4事件記者 他(計120分)
- 2023年7月21日(金) 3:50 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年7月22日(土) 6:40 PM@長瀬記念ホール OZU
事件記者(54分・35mm・白黒)
NEW
NHKのTVドラマ『事件記者』の映画化第1弾。品川駅で銃撃事件が発生し、警視庁記者クラブの記者たちはスクープ合戦にしのぎを削る。シリーズを通して一人前に成長する新米記者・菅を演じた沢本忠雄は、石原裕次郎の後を継ぐ「三悪」の一人として売り出され、日活黄金期の青春スターとして活躍した。柳瀬志郎は1954年の入社以来、個性豊かなバイプレーヤーとして活躍し、約300本の日活映画に出演した。
警視庁物語 遺留品なし(66分・35mm・白黒)
東映東京の「名物シリーズ」として9年間続いた「警視庁物語」第11作。わずかな証拠から事件の真相に迫る7人の刑事たちの活躍を描く。監督第1作『上野発五時三五分』(1957)を皮切りに、シリーズ全24作のうち7作を手がけた村山新治は、ドキュメンタリータッチの映像に社会性を盛り込み、本シリーズの人気を牽引した。
50線の女狼群(73分・BD・白黒)
- 2023年7月5日(水) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年7月8日(土) 1:00 PM@長瀬記念ホール OZU
強制売春に引き込まれた小夜子(小畑)は、自分を搾取する悪の組織に抵抗して仲間たちと立ち上がる。小畑絹子(小畠絹子)は独立プロ製作の教育映画に出演した後、1957年に新東宝に入社。それまでの役柄から一転して「毒婦もの」、「悪女もの」で濃艶な魅力を発揮し、新東宝が倒産するまで同社の看板女優として活躍した。
7「ファンキーハットの快男児」シリーズ(計105分)
- 2023年7月27日(木) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年7月29日(土) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
探偵事務所所長の息子・天下一郎(千葉)は、オープンカーを乗り回し、難事件を次々と解決する。「風来坊探偵」シリーズ(1961)に続き、千葉真一と深作欣二がコンビを組んだ第2弾。千葉の身体能力と爽やかな魅力が手持ちキャメラを駆使した躍動感ある映像で捉えられ、後に世界で活躍するアクションスターの誕生を強く印象づける。
ファンキーハットの快男児(53分・35mm・白黒)
ファンキーハットの快男児 二千万円の腕(52分・35mm・白黒)
6地平線がぎらぎらっ(89分・35mm・白黒)
- 2023年7月5日(水) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年7月8日(土) 6:40 PM@長瀬記念ホール OZU
刑務所の中の小悪党5人組は、強奪したダイヤを埋めたという話を新入りのマイト(藤尾)から聞いて、彼を仲間に加えて脱獄し、埋蔵場所を探しに行く。パンチのある主題歌をはじめ破天荒な精彩を放つジェリー藤尾主演の犯罪映画。
8B・G物語 二十才の設計(90分・35mm・白黒)
- 2023年7月6日(木) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年7月8日(土) 3:20 PM@長瀬記念ホール OZU
NEW
女性誌で連載された源氏鶏太の小説「二十歳の設計」の映画化。社会人1年生の杏子(星)がさまざまな人間関係に翻弄されながら「B・G(ビジネス・ガール)」として奮闘する姿を描く。オール東宝ニュータレント1期生の藤山陽子が主人公の同僚役、デビュー間もない船戸順が主人公の兄役、江原達怡が兄の友人役で出演している。
10銀座の恋の物語(93分・35mm・カラー)
- 2023年7月4日(火) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年7月7日(金) 1:30 PM@長瀬記念ホール OZU
同名ヒット曲をもとに、若き画家(石原)と洋裁店の御針子(浅丘)とのロマンスを軸に銀座の裏町の青春群像を描く。森英恵は、1954年から日活を皮切りに各社の衣裳デザインをノンクレジットも含めて数百本手がけ、「登場人物を理解し、衣装でどう表現するかは、難しくもあり、面白い仕事でした」と述懐している。
9二人の息子(93分・35mm・カラー)
- 2023年7月12日(水) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年7月16日(日) 1:00 PM@長瀬記念ホール OZU
エリートサラリーマンの兄(宝田)とタクシー運転手の弟(加山)は、父親(藤原)の失職を境に次々と苦難に見舞われ、対立していく。経済成長の波のなかで均衡を失う家族の姿を冷徹に見据えた松山善三の脚本を、名匠・千葉泰樹が見応えあるホームドラマに仕立てている。東宝を代表する二枚目スター・宝田明が演技者としての本領を発揮。
12黒の超特急(93分・35mm・白黒)
- 2023年7月18日(火) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年7月21日(金) 1:00 PM@長瀬記念ホール OZU
「黒」シリーズの最終第11作。岡山で不動産屋を営む桔梗(田宮)は、ある男の訪問を機に、新幹線建設をめぐる汚職事件に関わっていく。「メロドラマ女優」の型にはまらない大型新人として売り出された藤由紀子が、冷たい表情の奥に欲望と野心を秘めたヒロインを演じ、男性キャスト中心の本作でひときわ存在感を放つ。
11裸体(85分・35mm・カラー)
- 2023年8月8日(火) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年8月13日(日) 12:15 PM@長瀬記念ホール OZU
NEW
脚本家として溝口健二作品などで名高い成沢昌茂は、本作で監督に進出して5本を演出。「荷風原作で裸体に自信を持ち自惚れた女の子が誇らしげに自ら進んで転落していく姿を描いた」と語った。『青春残酷物語』(1960、大島渚)に主演後、1961年にフリーとなった川津祐介が、ヒロインの幼馴染の青年役で出演している。
13この声なき叫び(97分・35mm・白黒)
- 2023年7月13日(木) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年7月16日(日) 4:00 PM@長瀬記念ホール OZU
NEW
病弱な母と暮らす工員の晋一(田村)は、耳が不自由なために母殺しの疑いをかけられる。田村正和はTVドラマの端役を経て『永遠の人』(1961、木下惠介)で本格デビュー。本作では初の単独主演を務め、瑞々しい感性を画面に漲らせている。以後、TVドラマでニヒルな二枚目からコミカルな役まで幅広く演じ、人気を集めた。
14座頭市二段斬り(84分・35mm・カラー)
- 2023年8月22日(火) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年8月25日(金) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
NEW
「座頭市」シリーズの第10作。盲目の侠客・座頭の市(勝)が、師匠の仇討ちを果たすため正義の剣を抜く。『幽霊小判』(1960)で監督デビューした井上昭は、プログラム・ピクチャーに大胆な映像表現を盛り込み「京都のゴダール」という異名をとりながら長らく活躍。昨年公開の『殺すな』が遺作となった。木村玄(木村元)は時代劇の悪役として頭角を現し、劇を盛り上げるバイプレーヤーとして大映映画を支えた。
15レッツゴー!若大将(90分・35mm・カラー)
- 2023年7月4日(火) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年7月6日(木) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
加山雄三主演の「若大将」シリーズ第9作。サッカーの学生代表に選ばれた若大将が香港に遠征する。監督は、『エレキの若大将』(1965)以降同シリーズのメイン監督を務めた岩内克己。ライバル・青大将役の田中邦衛、若大将の友人・江口役の江原達怡といったレギュラー俳優陣のほか、東宝と香港の合作映画で活躍した宝田明が特別出演をはたしている(ただし、香港ロケには参加しておらず、京都のシーンで登場する)。
16二人の銀座(79分・35mm・白黒)
- 2023年7月7日(金) 4:10 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年7月9日(日) 1:00 PM@長瀬記念ホール OZU
NEW
日活の青春映画路線で活躍した鍛冶昇による、若手スター和泉雅子と山内賢のデュエット曲の同名映画化。学生バンドのリーダーがヒットさせた曲は、盗作疑惑で音楽界を追われた作曲家が書いたものだった…。山崎善弘のスタイリッシュな映像感覚により、ふんだんに詰め込まれたジャッキー吉川とブルー・コメッツ、尾藤イサオらの演奏シーンが輝きを増している。
17わが映画人生 鍛冶昇監督(135分・DCP・カラー)
- 2023年7月7日(金) 6:40 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年7月9日(日) 3:30 PM@長瀬記念ホール OZU
少年期における壮絶な戦争体験など、青春映画の名手・鍛冶昇(1931-2021)の知られざる一面が明らかになる「わが映画人生」シリーズの一本。1954年に製作を再開した日活に助監督として入社し、市川崑、山村聰、齋藤武市らに師事した鍛冶が、和泉雅子主演の監督デビュー作『おゆきさん』(1966)以降の主要作を飾らない語り口で振り返る。
19高校生芸者(79分・35mm・白黒)
- 2023年8月22日(火) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年8月25日(金) 3:20 PM@長瀬記念ホール OZU
NEW
花柳界に飛び込んだ高校生4人組が、しきたりに捉われずにドライな感覚で荒稼ぎして騒動となる青春映画。「十代路線」の中の艶笑コメディで、大人たちを手玉にとるヒロインを水木正子が好演している。水木は大映演技研究所を経て1965年に第18期大映ニューフェイスに合格し、「大映五人娘」の1人として活躍。
18砂糖菓子が壊れるとき(96分・35mm・カラー)
- 2023年7月12日(水) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年7月14日(金) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
原作は、マリリン・モンローをモデルとして舞台を日本に置き換え、ある女優の男性遍歴を描いた曽野綾子の同名小説。松竹退社後にTVドラマで地位を確立した橋田壽賀子に脚本が依頼され、上映尺135分となる文芸大作として執筆されたが、撮影途中に会社側から90分にするよう制約が課され圧縮された。
20若者たち(96分・35mm・白黒)
- 2023年8月3日(木) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年8月4日(金) 12:30 PM@長瀬記念ホール OZU
親を失った5人兄弟の生きざまを描き、人気を呼んだTVドラマの劇場版。ヒットを記録したことから後に2本の続篇も製作された。フジテレビのディレクターとしてTV版を手がけた森川時久が映画監督デビュー、以後も若者を主人公とする作品を得意とした。長男役の田中邦衛、三男役の山本圭がともに毎日映画コンクールの男優賞を受賞するなど高い評価を受けた。
21濡れた唇* 他(計140分)
- 2023年8月15日(火) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年8月19日(土) 6:40 PM@長瀬記念ホール OZU
濡れた唇*(75分・35mm・カラー)
愛と自由を追い求める誇り高いヒロインとして絵沢萠子が存在感を発揮。木工所で働く金男(谷本)は社長の娘(嵯峨)と婚約中だが、コールガールの洋子(絵沢)に惹かれて逃避行に出る。神代辰巳のロマンポルノ第1作。演劇出身の絵沢は本作で主演デビュー後、名脇役として映画やTVに幅広く出演した。
バックが大好き!*(65分・35mm・カラー)
結婚前に男性100人斬りを目指す美女(朝比奈)と男嫌いになった黎(早川)の友情と冒険を描くコメディタッチの作品。朝比奈順子は、宝塚歌劇団出身で70年代のアイドル活動を経て、1981年からロマンポルノで人気を博し84年以降はTVを中心に活躍した。
22哀しみのベラドンナ*(80分・35mm・カラー)
- 2023年7月26日(水) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年7月28日(金) 12:30 PM@長瀬記念ホール OZU
ジュール・ミシュレの「魔女」を原作に、水彩画の手法と絵巻風のコラージュで構成し、エロティシズムと叙情が拮抗する実験精神溢れる野心作。虫プロダクションが大人向けに製作した「アニメラマ」シリーズの第3弾「アニメロマネスク」として公開された。山本暎一は虫プロ創立から『鉄腕アトム』などに参加し、以後も『宇宙戦艦ヤマト』など数々のヒット作を手がけた。
23アジアはひとつ(96分・16mm・パートカラー)
- 2023年8月16日(水) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年8月19日(土) 12:15 PM@長瀬記念ホール OZU
沖縄社会の深層に光を当て、沖縄本島から台湾人労働者たちの足跡をたどり、先島諸島を経て台湾山間部のタイヤル族の部落へと行き着くドキュメンタリー。布川徹郎らとともに映画集団「日本ドキュメンタリストユニオン(NDU)」として4本を製作した井上修は、NDU解散後も竹中労との協働を続けた。
24サンダカン八番娼館 望郷(121分・35mm・カラー)
- 2023年8月8日(火) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年8月11日(金) 12:15 PM@長瀬記念ホール OZU
明治末期、からゆきさんという呼び名でボルネオ島に身売りされた女性の一生を描く。金宇満司は岩波映画製作所や石原プロモーションに所属し、多岐にわたるジャンルの作品で撮影を担当。本作ではローアングルでの撮影と豊かな光量の照明によって、サンダカンの街並みを再現した巨大なセットに南方のムードを吹き込んでいる。
26「玉割り人ゆき」シリーズ*(計128分)
- 2023年8月15日(火) 6:40 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年8月19日(土) 3:20 PM@長瀬記念ホール OZU
牧口雄二は、1960年に東映京都撮影所に入り山下耕作や中島貞夫に師事し、監督昇進後はエログロ的企画を抒情的な映像美で彩り評価された。1978年以降はTV時代劇で活躍。製作費500万円という「東映ニューポルノ」路線での監督デビュー作『玉割り人ゆき』では、昭和初期の京都島原を舞台に、遊郭に売られてきた娘たちに性技を仕込む稼業のゆき(潤)と無政府主義者の森(大下)の出会いを描く。第2弾の『玉割り人ゆき 西の廓夕月楼』では、金沢にやって来たゆきが、若き楼主・清次郎(坂口)と深い仲になるが、彼につきまとう流しのお俊(中島)の執念に動揺する。
玉割り人ゆき*(64分・35mm・カラー)
玉割り人ゆき 西の廓夕月楼*(64分・35mm・カラー)
25ザ・ドリフターズの極楽はどこだ!!(94分・35mm・カラー)
- 2023年7月25日(火) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年7月30日(日) 12:15 PM@長瀬記念ホール OZU
NEW
松竹で連作されたザ・ドリフターズ主演映画の第14作。妻に先立たれて以来、2 人の子どもを一人で育ててきた長作(いかりや)は、馴染みのスナックのママ(篠)を助けるべく退職金を前借りしようとするが…。ドリフターズのメンバーの仲本工事がいかりやの年下上司役、佐野浅夫がいかりやの戦友役で味のある演技を見せる。
27鬼の詩(93分・35mm・カラー)
- 2023年7月14日(金) 4:10 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年7月15日(土) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
明治末期の上方落語家・二代目桂米喬をモデルにした藤本義一の直木賞受賞作を映画化。はみ出し者の馬喬(桂)に放っておけない思いを抱いた寄席のお茶子・露(片桐)は、妻となって門付けの旅に同行する。1970年に日活に入社してロマンポルノでスターとなった片桐夕子は、70年代半ば以降は一般映画やTVでも幅広く活躍した。
29映画を語る 東映大泉篇・II(118分・DCP・カラー)
- 2023年8月17日(木) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年8月18日(金) 3:20 PM@長瀬記念ホール OZU
「わが映画人生」シリーズの特別版として、1959-70年に東映東京撮影所に入った5名による、助監督時代についての座談会を収録。師事した監督たちの思い出から、作家性への矜持や撮影所合理化の余波などについて、仲間として率直に語り合う。
8月18日(金) 3:20 PMの回の上映前に梶間俊一氏(本作出演・映画監督)の挨拶(約5分)があります。(8/29更新)
28新宿酔いどれ番地 人斬り鉄(87分・35mm・カラー)
- 2023年8月18日(金) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年8月20日(日) 12:15 PM@長瀬記念ホール OZU
NEW
新宿の抗争から10年後に出所した権藤鉄治(菅原)は、福生で縄張り争いをする藤原(佐藤)の加勢に赴く。「人斬り与太」シリーズ(1972、深作欣二)から派生して、狂犬のような激高と背中合わせにある哀愁を描く。小平裕は1962年に東映に入社して深作欣二に師事した後、プログラム・ピクチャーの中で実験的な手法を盛り込みつつ反逆の美学を追求した。
30草原の子テングリ 他(計119分)
- 2023年8月9日(水) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年8月11日(金) 3:20 PM@長瀬記念ホール OZU
草原の子テングリ(22分・35mm・カラー)
雪印乳業のPR映画として製作された短篇アニメーション。東映動画出身の大塚康生らがAプロダクションを改組する形で設立したシンエイ動画がアニメーション制作を手がけている。手塚治虫が原案を担当し、東映動画時代からアニメーターたちのリーダー的存在だった大塚にとって初の監督作品となった。原画には椛島義夫や近藤喜文のほか、ノンクレジットで宮崎駿、小田部羊一らも参加。
うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(97分・35mm・カラー)
高橋留美子の人気コミックを原作とするTVアニメの劇場版第2作。「終わりなき思春期」のごとき喧騒に満ちた原作のモラトリアム世界を押井守の視点で再構築し、高校の学園祭前日が繰り返される奇妙な世界での冒険を描く。東映動画出身のアニメーション美術監督・小林七郎が卓越した空間設計のセンスを発揮して摩訶不思議な世界観の構築に寄与している。
31草の影を刈る(200分・35mm・白黒)
- 2023年8月13日(日) 2:50 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年8月17日(木) 2:30 PM@長瀬記念ホール OZU
個人映画の極北を歩んできた詩人=映像作家による4部構成の日記映画。自宅の窓からの眺めや妻子との日常をキャメラに収めながら、作家自身のモノローグが撮影とは、映画とは、自分とは、と問い続ける。詩人としての活動で注目を集めていた鈴木志郎康は、NHKでキャメラマンとして働く傍ら『日没の印象』(1975)など16mmで自主ドキュメンタリー映画を制作し始める。退局後は教鞭を執りつつ、個人映画における「極私的」表現の可能性を探求し続けた。
32十八歳、海へ(110分・35mm・カラー)
- 2023年8月2日(水) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年8月5日(土) 6:40 PM@長瀬記念ホール OZU
心中ごっこを軸に、若い4人の男女のひと夏の出会いと別れを描く。日活に助監督として入社した結城良熙は、ロマンポルノへの路線転換の際にプロデューサーに転じ、『(秘)色情めす市場』(1974、田中登)、『天使のはらわた 赤い淫画』(1981、池田敏春)などの名作を手がけた。渡辺千明は田村孟の手伝いをする形で脚本を書き始め、本作で脚本家としてデビュー。以後、映画やTV、舞台で脚本家、演出家として活躍した。
33生きてはみたけれど 小津安二郎伝(123分・35mm・カラー)
- 2023年8月1日(火) 6:50 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年8月5日(土) 3:20 PM@長瀬記念ホール OZU
NEW
小津安二郎の映画に携わった映画人やゆかりの人々の証言を通して小津の生涯とその作品世界をたどる。『早春』(1956)以降の晩年の作品でプロデューサーを務めた山内静夫は、小津亡き後も書籍、映画等の形でその業績を広く知らしめた。映画史研究の定本になった「日本映画史」(全4巻)の著者・佐藤忠男は1950年代から幅広い分野で評論活動を展開し、映画による国際交流にも積極的に取り組んだ。
34高原に列車が走った(104分・35mm・カラー)
- 2023年8月2日(水) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年8月6日(日) 4:15 PM@長瀬記念ホール OZU
NEW
軽井沢に赴任した天衣無縫な高校教師・順子(美保)は、同僚たちと列車増発運動に奮闘する。原作では主人公は男性だったが女性に変えて映画化。植田泰治は1960年に東映に入社し、助監督を経てプロデューサーに転じ、TVドラマ『ザ・スーパーガール』(1979-80)等も手がけ、強い女性像を打ち出した。
35お葬式[再タイミング版](124分・35mm・カラー)
- 2023年7月25日(火) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年7月28日(金) 6:50 PM@長瀬記念ホール OZU
伊丹十三の長篇監督デビュー作。撮影は、伊丹が出演した森田芳光の『家族ゲーム』(1983)などで知られる前田米造が手がけ、以後、伊丹映画の常連キャメラマンとして絶大な信頼を得ることとなった。前田氏らの監修のもと、公開当時に限りなく近い色彩を再現した再タイミング版プリント(2018年度作製)を上映する。
36乱(162分・35mm・カラー)
- 2023年7月26日(水) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年7月30日(日) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
毛利元就の「三本の矢」の逸話とシェイクスピアの「リア王」に想を得た絢爛たる大作時代劇。ワダエミによる大胆かつモダンな衣裳は、緻密な時代考証のもと、能衣裳に着想を得て染色した糸を織り上げて生地をつくるところから制作された。第58回アカデミー賞衣裳デザイン賞受賞。ヘラルド・エースを興し、『戦場のメリークリスマス』(1983、大島渚)などの数々の国際合作を手がけた原正人が製作し、『影武者』(1980、黒澤明)でブルーリボン賞新人賞を受賞した隆大介が三郎直虎を演じている。
37花いちもんめ(125分・35mm・カラー)
- 2023年8月3日(木) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年8月6日(日) 1:00 PM@長瀬記念ホール OZU
認知症が進む父(千秋)を引き取った長男夫婦(西郷、十朱)は家庭を立て直していく。東映が『楢山節考』(1983、今村昌平)に続き老親の題材を扱い、『誘拐報道』(1982)の伊藤俊也と松田寛夫のコンビを起用。取材を重ねながら演出家とライターとの共同作業として、松田は綿密な構成のオリジナル脚本を練り上げた。「御三家」の一人である人気歌手の西郷輝彦は、70年代からTVを中心に俳優としても活躍し、本作では介護問題に直面する会社員を好演。
39青春かけおち篇(96分・35mm・カラー)
- 2023年8月4日(金) 3:20 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年8月5日(土) 12:30 PM@長瀬記念ホール OZU
つかこうへい原作・脚本による恋愛喜劇。康夫(風間)は恋人のセツ子(大竹)と結婚して無為な生活から抜け出そうとするが、そこにセツ子を想い続けていたという貿易商(田中)が現れる。『なんとなく、クリスタル』(1981)で監督デビューした松原信吾はこの作品を最後に松竹を退社、師事していた木下惠介のプロダクションに所属し、多数のTVドラマを手がけた。調音の松本隆司は、「男はつらいよ」シリーズなどを支えた松竹を代表する録音技師で、後進育成にも尽力した。
38火宅の人(132分・35mm・カラー)
- 2023年7月11日(火) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年7月15日(土) 3:30 PM@長瀬記念ホール OZU
1954年の東映入社を経て、1971-90年に京都撮影所所長を務めるなど、一貫して映画作りに情熱を注ぎ、東映京都の伝統を守るために生涯を捧げた功労者・高岩淡。異父兄である檀一雄の自伝的小説「火宅の人」を映画化した本作は、奔放な女性関係を続ける直木賞作家をはじめ、多彩な登場人物が織りなす色模様を明るく謳いあげている。
40精霊のささやき(90分・35mm・カラー)
- 2023年8月31日(木) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年9月2日(土) 4:00 PM@長瀬記念ホール OZU
NEW
雪深い森の奥にあるサナトリウムへやってきたひとりの少女と住人たちの交流を描いた「幻想映画」。関西を拠点に自主映画を製作していた植岡喜晴は飄々としたユーモア溢れる独特な世界観に定評があり、8mm作品『夢で逢いましょう』(1984)が評価されたことをきっかけに、約3年間温めていた企画が初の商業映画として結実した。
8月31日(木) 19:00 PMの回と9月2日(土) 16:00 PMの回の上映前に加藤賢崇氏(俳優)の挨拶(約5分)があります。(9/6更新)
42ラブ・ストーリーを君に(104分・35mm・カラー)
- 2023年7月20日(木) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年7月22日(土) 12:30 PM@長瀬記念ホール OZU
白血病で余命宣告を受けた少女(後藤)と、彼女の家庭教師だった青年(仲村)の純愛を描く。1961年に東映入社後、『野菊の墓』(1981)で遅咲きのデビューを果たした澤井信一郎は、きめ細かな演出でアイドルが女優として輝く瞬間をスクリーンに焼きつけ、評価を確立。澤井と同年に入社した西東清明は東京撮影所で編集を担当し、『鉄道員』(1999、降旗康男)などで日本アカデミー賞優秀編集賞を受賞した。
41竹取物語(121分・35mm・カラー)
- 2023年7月28日(金) 3:30 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年7月29日(土) 12:30 PM@長瀬記念ホール OZU
「かぐや姫は、宇宙からやって来た!」というSF的発想で製作された市川崑の超大作。特撮史上に名を残す中野昭慶が師事した円谷英二念願の企画を、市川作品を支えた録音技師・斉藤禎一、250点にも及ぶ衣裳を手がけたワダエミらの協力も得て、巨大な宇宙船などSFX(特殊効果)を駆使して見事に映像化している。
43わが映画人生 マキノ雅裕監督(113分・DCP・カラー)
- 2023年7月20日(木) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年7月22日(土) 3:30 PM@長瀬記念ホール OZU
日本映画監督協会製作の「わが映画人生」シリーズの一本。長いあいだ「先生」のもとで助監督を務めていた澤井信一郎(1938―2021)が聞き手となり、「ヒット作の系譜」(澤井)とも言うべき261作品を手がけた稀有な監督・マキノ雅裕(マキノ雅弘)(1908-93)から、貴重な証言の数々を引き出している。1988年10月27日撮影。
45死の棘(114分・35mm・カラー)
- 2023年7月11日(火) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年7月14日(金) 1:00 PM@長瀬記念ホール OZU
島尾敏雄が自身の体験にもとづいて書き上げた同名小説の映画化。夫の浮気をきっかけに精神を摩耗させていく夫婦の姿を、日本的な暗い情緒のなかに描き出している。松竹、博報堂を渡り歩きながら、『東京裁判』(1983、小林正樹)などのプロデュースを手がけた荒木正也が荒木事務所設立後に小栗康平監督と満を持して取り組んだ作品であり、カンヌ国際映画祭で「グランプリ・カンヌ1990」を獲得した。
44将軍家光の乱心 激突(112分・35mm・カラー)
- 2023年7月27日(木) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年7月29日(土) 3:50 PM@長瀬記念ホール OZU
将軍後継者問題のため、公儀御目付・伊庭庄左衛門(千葉)が率いる隠密軍団は、江戸城へ向かう竹千代(茂山)を狙って、護衛の石河刑部(緒形)たちに襲いかかる。千葉真一は、アメリカ映画を意識して冒険活劇風のアクションを演出した。
46死んでもいい(117分・35mm・カラー)
- 2023年8月10日(木) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年8月12日(土) 3:20 PM@長瀬記念ホール OZU
名美(大竹)に激しく惹かれた信(永瀬)は、彼女の夫(室田)が営む不動産屋で働きはじめ、ある日モデルハウスで名美を犯す。破滅的な三角関係を描いた石井隆の一般映画デビュー作。石井は劇画家として活躍しつつ、脚本家としてロマンポルノを中心に腕を振るい、監督作品でも人間の性愛のドラマを描き続けた。
48エイジアン・ブルー 浮島丸サコン(111分・35mm・カラー)
- 2023年8月29日(火) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年9月3日(日) 1:00 PM@長瀬記念ホール OZU
NEW
戦中に日本に強制連行された朝鮮人労働者たちの帰国便として釜山港へ向かう浮島丸が1945年8月24日に舞鶴湾で撃沈された事件を題材にした劇映画。伊藤正昭は、自主映画運動を経て、地域の非劇場にフィルム貸出等を行なう会社「京都映画センター」や全国の非劇場上映向けに作品を製作する「シネマ・ワーク」を設立し、地域上映を軸に映画を送り届けた。
47ナースコール(105分・35mm・カラー)
- 2023年8月31日(木) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年9月3日(日) 4:00 PM@長瀬記念ホール OZU
NEW
大学附属病院で働く中堅ナースの梢(薬師丸)を主軸とした群像ドラマ。オリジナル脚本を執筆した信本敬子は、元看護師としての経験を活かしつつ、「看護師のみに限らず、人間関係の仕事の場合は型に当てはめられない部分で試行錯誤することが多い」という側面を強調したと語っている。信本は映画やTVのみならず、アニメーション作品による活躍でも知られている。
49緊急呼出し エマージェンシー・コール 他(計124分)
- 2023年8月9日(水) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年8月12日(土) 6:40 PM@長瀬記念ホール OZU
マニラの救急病院で働く産婦人科インターンの原田(真田)は、貧困の著しいトンド地区を訪れ、衝撃を受ける。やがて彼は自ら執刀した手術で恋人を救えず、絶望の日々を送るが…。大森一樹が医者ものに久々に取り組みたいと、原作を自ら持ち込んで実現した企画。子供を題材にしたオムニバス映画の一篇では大森が憧れた時代劇にオマージュが捧げられている。
緊急呼出し エマージェンシー・コール(106分・35mm・カラー・日英字幕付 with English subtitles)
イエスタデイワンスモア(18分・35mm・カラー)
50ロマンス(95分・35mm・カラー)
- 2023年8月10日(木) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年8月12日(土) 12:15 PM@長瀬記念ホール OZU
大学時代の同級生である柴田(玉置)と安西(石井)は、霧子(水島)という女性と出会うことで十代の頃のようなきらめきを取り戻していく。長崎俊一が、『九月の冗談クラブバンド』(1982)でタッグを組んだ元ATG社長・佐々木史朗のプロデュースのもと、即興的手法で撮り上げた意欲作。長崎と佐々木の個人的な思い入れがあふれている。
8月10日(木) 3:00 PMの回の上映前に長崎俊一監督の挨拶(約5分)があります。(8/10更新)
51うなぎ(116分・35mm・カラー)
- 2023年8月1日(火) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年8月4日(金) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
浮気した妻を殺し、仮出所後はウナギにのみ心を開いていた男(役所)が理髪店を営みながら、再生への希望を見出そうとしていく姿を描く。第50回カンヌ国際映画祭で今村作品として2度目のパルム・ドールをもたらした。ドラム缶船を作成して水上から撮った理髪店の情景など、小松原茂のキャメラワークが光る本作は、第51回日本映画技術賞を受賞。
52フレンチドレッシング(100分・35mm・カラー)
- 2023年8月30日(水) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年9月2日(土) 1:00 PM@長瀬記念ホール OZU
NEW
やまだないとによる漫画を原作に、自殺しようとした男子高校生(櫻田)、教師(阿部)、同級生(唯野)の奇妙な共同生活を描く。斎藤久志は、85年にぴあフィルムフェスティバルで頭角を現し、本作が初の商業映画監督作となった。その後は脚本や監督を手がける傍ら教鞭を執り、若手育成にも尽力した。
53DEAD OR ALIVE 犯罪者(105分・35mm・カラー)
- 2023年8月30日(水) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年9月1日(金) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
NEW
東京・歌舞伎町を舞台に、妻と娘を奪われた新宿署捜査一係の城島(哀川)が、中国残留孤児3世の龍一(竹内)率いるギャングらと壮絶な復讐劇を繰り広げる。三池崇史の創造的自由が生み出す暴力的イメージの奔流の背後では、録音技師の沼田和夫がヘビメタ調の音楽や繊細な効果音の中にも台詞をクリアに聞かせている。
54EUREKA(217分・35mm・クロマティックB&W)
- 2023年7月19日(水) 5:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年7月23日(日) 2:40 PM@長瀬記念ホール OZU
NEW
『Helpless』(1996)以来、暴力が共同体と個を解体するさまを描いてきた青山真治が、暴力の「その後」に焦点を当てた大作。繊細かつ研ぎ澄まされた演出により、青山の国際的な評価を高める一作となった。田村正毅の発案による特殊な色調「クロマティックB & W」が、今回、当時のタイミング担当・上野芳弘氏の監修によりニュープリントとして甦った。
7月19日(水) 5:00 PMの回は上映前に当館研究員による解説(約10分)あり
55THWAY 血の絆(201分・35mm・カラー・日英字幕付 with English subtitles)
- 2023年8月16日(水) 2:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年8月20日(日) 2:50 PM@長瀬記念ホール OZU
『喜劇 東京の田舎っぺ』(1967)で監督デビュー後、日活を離れ表現の場をTV映画に求めた千野皓司による企画から13年、製作資金不足を乗り越え完成に漕ぎつけた日本=ミャンマー合作映画。戦争の爪跡が残る1960年代のミャンマーを舞台に、日本人の姉と、旧日本兵の父と現地女性の子である異母弟との分かち難い絆を描く。
途中休憩あり
56灰土警部の事件簿 人喰山 他(計117分)
- 2023年8月23日(水) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年8月26日(土) 12:15 PM@長瀬記念ホール OZU
『灰土警部の事件簿 人喰山』は墨絵と音響で構成された異色ホラー作。富山でのロケ撮影により地方都市の青春群像を描く『クジラのいた夏』では、上京を思い立ったチューヤ(野村)が仲間たちとの送別会に揺れ動く。富山出身の光地拓郎は、東京藝術大学大学院映像研究科を修了後、2011年より録音を中心に活躍し、2020年には『ラストレター』(岩井俊二)、『脳天パラダイス』(山本政志)なども手がけている。
灰土警部の事件簿 人喰山(28分・DCP・白黒)
クジラのいた夏(89分・DCP・カラー)
57よみがえりのレシピ(95分・DCP・カラー)
- 2023年8月24日(木) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年8月27日(日) 12:15 PM@長瀬記念ホール OZU
庄内地方で在来作物を守り継ぐ生産者たちと地元野菜を活かすイタリア料理店を取材し、地域資源の再評価に光をあてる。山形各地での上映活動に尽力してきた高橋卓也は、山形国際ドキュメンタリー映画祭にも立ち上げ時から携わり、2007-18年に同映画祭の山形事務局長を務めた他、本作を皮切りにプロデューサーとして山形発のドキュメンタリーを5本送り出した。
8月27日(日) 12:15 PMの回の上映前に渡辺智史監督と桝谷秀一氏(山形国際ドキュメンタリー映画祭 理事)の挨拶(約5分)があります。(8/29更新)
58かぞくのくに(100分・DCP・カラー)
- 2023年8月29日(火) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年9月1日(金) 1:30 PM@長瀬記念ホール OZU
帰国事業でひとり北朝鮮へ渡った兄ソンホ(井浦)は病気治療のために一時帰国し、家族と再会する。国家の分断により翻弄される家族を描いた本作は、ヤン・ヨンヒの実体験を題材にした初の劇映画。河村光庸は、90年代後半から洋画の配給をはじめ、その後は社会問題を取りあげた数々の作品を製作した。
59色道四十八手 たからぶね*(71分・35mm・カラー)
- 2023年9月1日(金) 4:30 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年9月2日(土) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
NEW
新婚夫婦と叔父夫婦の錯綜する関係を描く艶笑劇。ピンク映画50周年記念として渡辺護監督と井川耕一郎の脚本により企画されたが、癌が判明した渡辺から井川に演出も託された。早大シネ研出身の井川は、脚本家としてオリジナルビデオ(OV)作品を手がけ、1998年から映画美学校で教鞭を執った。
9月2日(土) 19:00 PMの回の上映前に ほたる氏(俳優)の挨拶(約5分)があります。(9/6更新)
60最後の活動弁士 井上陽一の世界 他(計151分)
- 2023年8月23日(水) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年8月27日(日) 3:20 PM@長瀬記念ホール OZU
最後の活動弁士 井上陽一の世界(46分・DCP・カラー)
戦前からの弁士・浜星波に師事し、1979年からの芸歴を持つ井上陽一についてのドキュメンタリー。高橋一郎と鵜久森典妙は1984年に神戸を拠点とした自主製作集団「映画製作委員会」を結成し、人権や環境をテーマに作品を発表した。
本作上映後に休憩あり
旅する映写機(105分・DCP・カラー)
古い映写機の独特な使用法や維持管理について、北海道・大黒座、福島・本宮映画劇場、高知・大心劇場など10 ヵ所を取材した「映画にまつわる三部作」の一篇。森田惠子は、日本リクルートセンター映像製作部門を経て1990年よりフリーとして活動。
61短篇集1(計104分)
- 2023年8月25日(金) 12:15 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年8月26日(土) 6:40 PM@長瀬記念ホール OZU
岡野薫子は、科学映画の脚本家として1951年より日映科学映画製作所を拠点に活動し、1964年以降は児童文学に転じた。『花と昆虫』は受粉にまつわる共生関係を捉える。『猫の散歩』は、野良猫の視点から害虫問題をユーモラスに描いたPR映画。布村建は、教育映画を志して1959年に東映に入社し、企画・脚本・演出として数多く受賞した。『ファーブル 昆虫記の世界』は、ファーブルの著作に登場するカリバチの生態を日本で撮影した科学映画の秀作。『空からみた日本の火山』は、空撮で火山を撮り、日本列島を形づくったマグマのエネルギーを解説。
花と昆虫(19分・35mm・カラー)
猫の散歩(26分・35mm・白黒)
ファーブル 昆虫記の世界 ―カリバチの習性と本能―(29分・16mm・カラー)
空からみた日本の火山(30分・16mm・カラー)
62短篇集2(計78分)
- 2023年8月24日(木) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年8月26日(土) 3:20 PM@長瀬記念ホール OZU
小池照男は映像作家集団「ヴォワイアン・シネマテーク」に参加するなど、関西を拠点に活動。1フレーム毎に異なる画像が集積され抽象化されていく「生態系」シリーズは1981年から制作が始まった小池のライフワーク的な作品群である。杉原せつは、日本映画社を経て戦後はフリーで脚本や演出を手がけた。大野松雄は音響デザイナーとして、TVアニメ『鉄腕アトム』(1963-66)や文化映画で活躍した。『冬の日 ごごのこと』では、はぐれてしまった仔犬と少女が再会するまでを詩的に描く。『ゼロの発見』は吉田洋一の名著をもとに数字の歴史をアニメーション化。
生態系-29-密度3(35分・DCP・カラー)
冬の日 ごごのこと(22分・35mm・白黒)
ゼロの発見(21分・35mm・カラー)
[第2期]10月10日(火)-10月22日(日)
◆澤田幸弘(1933-2022)
神奈川県横浜市生まれ。56年に日活に入社し、助監督として阿部豊、鈴木清順、齋藤武市らについた後、『斬り込み』(1970)で監督デビュー。長谷部安春、藤田敏八らとともに日活ニューアクション路線を支えた。日活ロマンポルノ作品やTVドラマ『太陽にほえろ!』(1972-86)などにもアクションの要素を徹底して盛り込んだ。83年にフリーとなり、以後もTVドラマやビデオ作品を数多く手がけた。
63反逆のメロディー(84分・35mm・カラー)
- 2023年10月17日(火) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年10月20日(金) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年10月21日(土) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
長髪、サングラスにジーンズをまとった反逆児・哲(原田)が、暴力団の偽装解散の陰にくすぶる抗争に挑む。山崎善弘の手持ちキャメラによる撮影と、オールアフレコによる自由度の高い音響の演出が任侠映画に新鮮な感覚をもたらし、澤田を一躍日活ニューアクションの旗手へと押し上げた。時に破壊衝動を抑え切れない佐藤蛾次郎の愛嬌振りまく演技が光る。
64わが映画人生 澤田幸弘監督(134分・DCP・カラー)
- 2023年10月17日(火) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年10月20日(金) 6:40 PM@長瀬記念ホール OZU
日本映画監督協会製作の「わが映画人生」シリーズの一本で、澤田が日活に入社した経緯から主要作の製作背景が語られる。1970年5月にTV中継された「瀬戸内シージャック事件」の特殊機動隊による犯人射殺の衝撃を『反逆のメロディー』のラストに反映させ、若い観客にアピールした点など貴重な証言の宝庫である。
◆恩地日出夫(1933-2022)
東京都世田谷区生まれ。55年に東宝入社。堀川弘通の助監督を経て、『若い狼』(1961)で監督デビュー、「東宝ヌーヴェル・ヴァーグ」の旗手と目される。内藤洋子主演の『あこがれ』(1966)以降は、若手俳優を起用した青春映画で東宝の一ジャンルを牽引。その後もメロドラマから社会派映画まで多彩な作品を発表する。『傷だらけの天使』(1974-75)などTVドラマも数多く手がけた。
65女体(94分・35mm・白黒)
- 2023年10月18日(水) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年10月22日(日) 4:20 PM@長瀬記念ホール OZU
田村泰次郎の小説「肉体の門」、「埴輪の女」を恩地が自ら脚色して映画化。東京の郊外で洋服店を営むマヤ(団)は、昔の仲間との再会をきっかけに敗戦後の闇市で娼婦として生きていた頃を思い出す。歌手活動のみならず女優としても頭角を現していた坂本スミ子が娼婦の一人を好演。当時物議を醸した牛殺しシーンの撮影には、中野昭慶がノンクレジットで参加している。
66わらびのこう 蕨野行(125分・35mm・カラー)
- 2023年10月18日(水) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年10月22日(日) 1:00 PM@長瀬記念ホール OZU
村の掟に従い60 歳を迎えて近隣の丘に移り住んだ老人たちの姿を通して生と死を問い直す。自らNPOを作って金策に走り回り、撮影に丸1 年をかけて四季を織り込んだ恩地渾身の一作。最後の監督作品となった。李麗仙は「紅テント」公演で圧倒的な演技を披露し、アングラ演劇ブームの中心的存在として活躍した。
10月18日(水) 3:00 PMの回の上映後に星埜恵子氏(映画美術)の挨拶(約10分)があります。(10/19更新)
◆吉田喜重(1933-2022)
福井県福井市生まれ。55年に松竹大船撮影所に入社し、木下惠介らの作品で助監督を務めた後、60年『ろくでなし』で監督デビュー。「松竹ヌーヴェル・ヴァーグ」として注目を集めた。64年に松竹を退社、66年には「現代映画社」を設立。『エロス+虐殺』(1970)以降は国際的な評価も進み、性と政治や日本社会の矛盾を批評的に捉え、独自のスタイルを確立しながら、日本映画の前衛を牽引した。
67秋津温泉(112分・35mm・カラー)
- 2023年10月10日(火) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年10月19日(木) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
同名小説を大胆に翻案し、岡山県の山深い温泉場で出会った男(長門)と女(岡田)のすれ違いと再会を描いたメロドラマ。17年間の時の流れに、日本の「戦後」が重ね合わされる。「映画出演百本記念」として岡田茉莉子が自ら企画し、監督を吉田に依頼。以後、公私にわたるパートナーとなる2人の初の共同作業であり、吉田のカラー第1作でもある。
68エロス+虐殺(165分・35mm・白黒)
- 2023年10月10日(火) 6:10 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年10月19日(木) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
大正時代におけるアナキストの大杉栄と婦人解放運動家の伊藤野枝をめぐる物語と、69年現在、彼らに関心を持つ女子大生という異なる時空を実験的に交錯させた作品。吉田の国際的な評価がいっきに高まるきっかけとなった。音楽を担当した一柳慧は、留学中にジョン・ケージ等、当時の先鋭的な音楽に出会い、帰国後は精力的に活動しながら多くの映像作品の音楽も手がけた。
10月19日(木) 3:00 PMの回の上映前に岡田茉莉子氏(俳優)の挨拶(約5分)があります。(10/19更新)
69友よ、静かに瞑れ(103分・35mm・カラー)
- 2023年10月11日(水) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年10月15日(日) 12:30 PM@長瀬記念ホール OZU
北方謙三のハードボイルド小説を映画化。寂れた町にやって来た新藤(藤)は、旧友の坂口(林)を救うため地元権力者たちに立ち向かう。舞台は原作の山陰から沖縄に変更され、減感現像によって暗部を強調した画面に仕上げられた。「独自の時間と空間がある沖縄を偏愛している」と語る崔洋一は、本作をはじめ沖縄を舞台とした作品を4本手がけた。
◆崔洋一(1949-2022)
長野県佐久市生まれ。照明助手として映画界入りし、大島渚、村川透らの助監督、TVドラマの演出などを経て、83年に『十階のモスキート』で劇場映画監督デビュー。『月はどっちに出ている』(1993)で映画賞を総なめにし、一躍注目を浴びる。乾いた暴力描写で手腕を発揮し、幅広いジャンルの作品を作り続けた。2004年から18年間、日本映画監督協会の理事長を務めた。
70マークスの山(138分・35mm・カラー)
- 2023年10月11日(水) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年10月15日(日) 3:30 PM@長瀬記念ホール OZU
直木賞受賞作のミステリーを映画化。原作を大胆にそぎ落とし、断片的な回想を多用する語り口により、連続殺人事件の捜査線上に過去の学園闘争中の事件を浮かび上がらせる。崔洋一は「殺人場面を執拗なほど長いカットで撮りましたが、ここには学生運動に明け暮れた僕の青春が刻み込んである」と発言している。
◆小林政広(1954-2022)
東京都生まれ。フォーク歌手、シナリオライターとして活動し、96年に映画製作会社モンキータウンプロダクションを設立。『CLOSING TIME』(1996)で監督デビュー。『愛の予感』(2007)ではロカルノ国際映画祭で金豹賞を受賞するなど国際的な評価も高く、インディペンデントな製作を通じて独自の世界観を貫く作品を作り続けた。
71愛の予感(102分・35mm・カラー)
- 2023年10月12日(木) 7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年10月21日(土) 4:00 PM@長瀬記念ホール OZU
娘を同級生に殺された父親(小林)は隠棲していた北海道の工場で加害者の母親(渡辺)と偶然再会する。次第に惹かれ合い、再生への希望を見出してゆく2人の姿を台詞を削ぎ落したミニマルな演出で描く。製作・監督・脚本・主演を小林が務め、第60回ロカルノ国際映画祭で金豹賞(グランプリ)含む4部門で受賞。
72日本の悲劇(101分・35mm・パートカラー・英語字幕付 with English subtitles)
- 2023年10月12日(木) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2023年10月21日(土) 1:00 PM@長瀬記念ホール OZU
自身の年金を頼りにする息子(北村)と二人暮らしの父親(仲代)は余命が短いことを知り、自室を封鎖し飲食を絶つ。これまで日本の社会を見つめてきた小林が2010年の年金不正受給事件から着想を得て、東日本大震災後の情勢も取り込みつつ「遺書を書くような気持ちで」書き下ろした。金子尚樹は小林作品初期から編集を担当しているほか、後進育成にも尽力した。
■チケットのオンライン発売は各上映日の3日前正午からとなります。
■チケットのオンライン完売情報は、公式チケットサイトにてご確認ください。
■各回の開映後の入場はできません。予告篇はなく、本篇から上映します。
■*が付いている作品は、公開当時成人指定を受けた作品です。当該の上映回に女性専用席を設けます。
2023年7月4日(火)
11:00 AM 開館
2023年7月5日(水)
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2023年7月6日(木)
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2023年7月7日(金)
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2023年7月8日(土)
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2023年7月9日(日)
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2023年7月11日(火)
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2023年7月12日(水)
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2023年7月13日(木)
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2023年7月14日(金)
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2023年7月15日(土)
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2023年7月16日(日)
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2023年7月18日(火)
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2023年7月19日(水)
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2023年7月20日(木)
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2023年7月21日(金)
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2023年7月22日(土)
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2023年7月23日(日)
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2023年7月25日(火)
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2023年7月26日(水)
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2023年7月27日(木)
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2023年7月28日(金)
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2023年7月29日(土)
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2023年7月30日(日)
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2023年8月1日(火)
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2023年8月2日(水)
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2023年8月3日(木)
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2023年8月4日(金)
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2023年8月5日(土)
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2023年8月8日(火)
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2023年8月10日(木)
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2023年8月12日(土)
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2023年8月15日(火)
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2023年8月16日(水)
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途中休憩あり 55THWAY 血の絆
2023年8月17日(木)
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上映前挨拶あり(約5分) 29映画を語る 東映大泉篇・II
2023年8月19日(土)
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2023年8月20日(日)
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途中休憩あり 55THWAY 血の絆
2023年8月22日(火)
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2023年8月23日(水)
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途中休憩あり 60最後の活動弁士 井上陽一の世界 旅する映写機
2023年8月24日(木)
11:00 AM 開館
2023年8月25日(金)
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2023年8月26日(土)
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2023年8月27日(日)
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上映前挨拶あり(約5分) 57よみがえりのレシピ
途中休憩あり 60最後の活動弁士 井上陽一の世界 旅する映写機
2023年8月29日(火)
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2023年8月30日(水)
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2023年8月31日(木)
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2023年9月1日(金)
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2023年9月2日(土)
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上映前挨拶あり(約5分) 59色道四十八手 たからぶね*
2023年9月3日(日)
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2023年10月10日(火)
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2023年10月11日(水)
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2023年10月12日(木)
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2023年10月15日(日)
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2023年10月17日(火)
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2023年10月18日(水)
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上映後挨拶あり(約10分) 66わらびのこう 蕨野行
2023年10月19日(木)
11:00 AM 開館
2023年10月20日(金)
11:00 AM 開館
2023年10月21日(土)
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2023年10月22日(日)
11:00 AM 開館
チケットのオンライン発売日に関する重要なお知らせ
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一般 | 高校・大学生・ 65歳以上 |
小・中学生 | 障害者手帳をお持ちの方(付添者は原則1名まで)・キャンパスメンバーズ | |
チケット料金 | 520円 | 310円 | 100円 | 無料 |
オンライン販売 | 各上映日の3日前正午から各上映回の開映15分前まで | |||
窓口販売(1F) | 各上映回の開映1時間前から5分前まで若干数販売(座席選択不可) |
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