過去の上映
- 2021.7.20 - 2021.9.5
●上映の感染症予防の対策およびご来館の皆様へのお願いにつきましては、当該ページ「新型コロナウイルス感染症拡大防止策」をご覧ください。
●館内でのチケット販売・発券はございません。事前に前売指定席券をチケットぴあにてお求めください。 - 上映企画
逝ける映画人を偲んで 2019-2020
In Memory of Film Figures We Lost in 2019 -2020
会 期 2021年7月20日(火)-9月5日(日)
会期中の休館日:月曜日
会 場 長瀬記念ホール OZU(2階)
定 員 310名→155名 ※7/9(金)更新
※ 本企画より前売指定席券の発売日が上映日によって異なります。
詳しくはこちらをご覧ください。
※新型コロナウイルス感染拡大などの状況により、変更が生じる可能性がございます。
随時、当館HPにて最新情報をご確認ください。
・キャンパスメンバーズのうち、下記5校は7月31日(土)をもって退会校となりますため、8月1日(日)以降の上映回はキャンパスメンバーズ対象外となります。
⇒ 千葉商科大学、東京医科歯科大学、東京外国語大学、東洋英和女学院大学、東洋学園大学
・マスク着用のない方の入館をお断りします。
・来館者全員に検温を行います。37.5℃以上の方は入館をお断りいたします。
・各回の開映後の入場はできません。
・館内でのチケット販売・発券はございません。障害者(付添者は原則1名まで)、
国立映画アーカイブのキャンパスメンバーズの方も前売指定席券をお求めください。
概要
日本映画の輝かしい歴史を築き、惜しまれながら逝去された映画人の方々を、それぞれの代表的作品を上映することで追悼する企画「逝ける映画人を偲んで」を2年ぶりに開催します。この2年のうちにも、日本映画は多くのかけがえのない人々を失いました。
本企画では、2019年1月1日から2020年12月31日の間に逝去された方々へのオマージュとして、57作品(55プログラム)を上映し、70名以上の映画人の業績を回顧・顕彰します。
縁の方々、そして映画ファンの皆様のご来場をお待ち申し上げます。
上映前挨拶のお知らせ
2021年7月22日(木・祝)4:00 PM『拳銃は俺のパスポート』上映前
◆ゲスト:紫しえさん(宍戸錠さんご長女/エッセイ スト、プロデューサー)、上本聡さん(映画監督)
■館内でのチケット販売・発券はございません。事前に前売指定席券をチケットぴあにてお求めください。
■前売指定席券の発売日が上映日によって異なります。詳しくはこちらをご覧ください。
■(監)=監督・演出 (原)=原作・原案 (脚)=脚本・脚色 (撮)=撮影 (美)=美術 (音)=音楽 (出)=出演 (解)=解説・ナレーション (声)=声の出演
■スタッフ、キャスト欄の人名は原則として公開当時の表記を記載しています。
■上映をもって追悼する方々の名前は、紫色で表示しています(出演者の場合、カッコ内は映画中の役名です)。
■記載した上映分数は、当日のものと多少異なることがあります。
■特集には不完全なプリントや状態の悪いプリントが含まれていることがあります。
■タイトルの横に*印が付いている作品は、公開当時成人指定を受けた作品です。当該の上映回に女性専用席を設けます。
麻雀放浪記 (109分・1984・角川春樹事務所=東映・監・脚:和田誠)
30.音楽活劇 ドレミファ娘の血は騒ぐ -予告編- (3分)
ドレミファ娘の血は騒ぐ (83分・1985・EPIC・ソニー=ディレクターズ・カンパニー・企画:宮坂進・監・脚:黒沢清)
32.天使のはらわた 赤い眩暈* (73分・1988・ニュー・センチュリー・プロデューサーズ・プロデューサー:成田尚哉・監・原・脚:石井隆) 31.ビー・バップ・ハイスクール 髙校与太郎行進曲 (93分・1987・東映東京・技闘・出:高瀬将嗣(服巻鉄也)・監:那須博之) 33.遥かなる甲子園 (104分・1990・大映=双葉社=ザ・アイデア・監:大澤豊・出:ケーシー高峰(真喜志新市)) 34.戦争と青春 (109分・1991・こぶしプロ=プロデュースセンター=「戦争と青春」製作委員会・製作・脚本協力:大澤豊・美:春木章・録音:本田孜・監:今井正) 35.映像評伝 仁科芳雄 現代物理学の父 (97分・1991・企画:岡山県里庄町、科学振興仁科財団/制作:山陽映画・監・脚:野崎健輔)
伝統工芸技術記録映画シリーズ-28-
36.ありふれた愛に関する調査 (107分・1992・メリエス=サントリー・製作:小林壽夫・監:榎戸耕史) 37.岸和田少年愚連隊 (106分・1996・松竹=吉本興業・録音:鈴木肇・サウンドエンジニア:多良政司・出:志賀勝(岩田)、笑福亭松之助(喜一)、山田スミ子(古参のウェイトレス)・監:井筒和幸) 38.
上映作品詳細
2夫婦(86分・35mm・白黒)
- 2021年7月28日(水) 1:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月14日(土) 3:10 PM@長瀬記念ホール OZU
『めし』(1951、成瀨巳喜男)の姉妹篇として企画された作品で、同様に夫婦のすれ違いを繊細に描く。『青い山脈』、『續 青い山脈』(共に1949、今井正)の女子学生役で一躍スターとなった杉葉子が、夫の同僚(三国)に思慕され、そのために夫(上原)から嫉妬されながらも理知的にふるまう妻役を好演。杉は俳優としての活動期間こそ短かったが、戦後の新たな女性像を形作った一人であった。
1白毛女白毛女(111分・35mm・白黒・日本語字幕付)
- 2021年7月25日(日) 1:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月12日(木) 6:00 PM@長瀬記念ホール OZU
岸富美子は1935年に編集助手として第一映画社に入社。その後、満洲映画協会で終戦を迎えると、中国共産党の指導の下、新しい中国映画を製作するために編集者として活躍。また中国の若い映画人に編集を教え、後進の育成にも力を注いだ。本作は、地主の横暴に耐えかねて山奥に逃げ込んだ娘を描いた歌劇の映画化で、歌唱シーンもあり、映像と音の編集に岸の高い技術が求められた。中国で大変な好評を博し、日本でも1955年に公開された。
3蝶々夫人Madame Butterfly(114分・35mm・カラー・日本語字幕付)
- 2021年7月27日(火) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月14日(土) 5:50 PM@長瀬記念ホール OZU
プッチーニのオペラを映画化したテクニカラー作品。日伊合作として、日本から俳優やスタッフが赴き、ローマのチネチッタで撮影された。ヒロインに抜擢された八千草薫は、録音されたイタリア語の歌唱に合わせて演じるという難役をこなし、可憐な美しさで魅了する。八千草は宝塚歌劇からキャリアをスタートし、映画、TV、舞台と多方面で活躍、生涯現役として輝き続けた。
4ロマンス娘(97分・35mm・カラー)
- 2021年7月27日(火) 6:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月14日(土) 12:30 PM@長瀬記念ホール OZU
『ジャンケン娘』(1955、杉江敏男)に続く「三人娘」の明朗なミュージカル。仲良しの三人娘は彼氏との旅行のためにデパートでアルバイトを始めるが…。ノンクレジットだが、柳生悦子が全篇の衣裳をデザインし、Aラインのワンピースなど小粋なファッションでモダンな雰囲気を際立てた。柳生は本作を皮切りに『君も出世ができる』(1964、須川栄三)、『日本海大海戦』(1969、丸山誠治)、『敦煌』(1988、佐藤純彌)など100本以上の映画を担当。
5真夜中の顔(76分・35mm・白黒)
- 2021年7月30日(金) 3:30 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月7日(土) 6:00 PM@長瀬記念ホール OZU
新藤兼人脚本、宇野重吉監督によるサスペンス。銀座のバーのホステス(桂木)が事故死した。彼女の馴染客である大物政治家の息子(若原)はスキャンダルを恐れ、バーにいた人間たちの口裏を合わせて、心臓発作として処理しようとするが…。密閉空間で展開される曲者俳優陣のやりとりは見ごたえ十分。とりわけギャングに扮した梅野泰靖が、劇団民藝の大物たちを向こうにまわし、存在感を発揮している。
6弁天小僧(86分・35mm・カラー・英語字幕付 with English Subtitles)
- 2021年7月21日(水) 6:20 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月17日(火) 12:30 PM@長瀬記念ホール OZU
歌舞伎の「白浪五人男」を題材にした娯楽大作。西岡善信は大映京都撮影所を拠点に、衣笠貞之助や市川崑など巨匠監督の作品を数多く手がけ、その後も長きに渡り映画美術の第一線で活躍しつづけた。本作はほぼセットで撮られており、時代考証に縛られない大胆な空間設計から長屋セットの細部の仕掛けまで、伊藤大輔の演出意図を踏まえた工夫にあふれている。1952年に東宝でデビューした青山京子は本作で、清純な町娘を好演。近藤美恵子は大映で時代劇を中心に8年間で約80本もの映画に出演した。
7坊ちゃんとワンマン親爺(76分・35mm・白黒)
- 2021年7月22日(木) 1:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月11日(水) 6:30 PM@長瀬記念ホール OZU
権左衛門(由利)は息子・太左衛門(高島)を結婚させようと上京するが、息子にはすでに恋人がいた。新東宝ニューフェイス第1期として映画界入りした高島忠夫は、東宝に移籍した後は東宝ミュージカルの舞台でも活躍し「歌える二枚目」として人気を集めた。新東宝配給「坊ちゃん」シリーズ(1956-59)は多彩な才能を持った高島の持ち味を生かした代表作。高島は全8作のうち7作に出演している。
8女子大学生 私は勝負する(88分・35mm・白黒)
- 2021年8月19日(木) 6:20 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年9月4日(土) 12:30 PM@長瀬記念ホール OZU
仲間と無軌道な行為を繰り返していた大学生の順子(原)が、恋人との同棲などを経て、自立していくさまを描く。映画初主演となる原知佐子が、勝気な大学生を好演。不安ゆえに強がっている若者を、魅力的なつんとした表情で演じている。原はその後も映画やTVなどで幅広く活躍。特に、TBSのドラマ「赤い」シリーズ(1974-80)では、強烈な印象を残した。
9霧の夜の男(86分・35mm・カラー)
- 2021年8月15日(日) 1:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月25日(水) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
やくざの家業を捨てて船員となった青年(高橋)が父親(小沢)にかけられた嫌疑を晴らすため奔走する。高橋英樹がキャリアの初期に主演した日活アクションの一作で、のちのヒットシリーズ「男の紋章」(1963-66)に通じる要素も。高橋、松尾昭典監督とたびたび組んだ萩原泉が夜霧の埠頭を鮮烈かつ情感豊かに捉えている。
10拳銃 は俺のパスポート(84分・35mm・白黒)
- 2021年7月22日(木) 4:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月25日(水) 12:30 PM@長瀬記念ホール OZU
宍戸錠が自らの最高傑作に挙げるハードボイルド・アクション。殺しの仕事を終えた上村(宍戸)は海外への逃走を試みるも組織の非情な対決に巻き込まれていく。宍戸は1954年に第1期日活ニューフェイスとしてデビュー。ニヒルな笑いが印象的な悪役として主役を圧倒する存在感を放ち、「エースのジョー」の愛称で日活アクションの黄金時代を支えた。
上映前挨拶のお知らせ
2021年7月22日(木・祝)4:00 PM『拳銃は俺のパスポート』上映前
▶ゲスト:紫しえさん(宍戸錠さんご長女/エッセイ スト、プロデューサー)、上本聡さん(映画監督)
11花札渡世(92分・35mm・白黒)
- 2021年8月8日(日) 1:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月26日(木) 3:30 PM@長瀬記念ホール OZU
梅宮辰夫が自らの代表作に挙げる任俠映画。梅宮の出世作「夜の青春」シリーズ(1965-68)の脚本にも携わった成澤昌茂の脚本、監督のもと、不条理のなかで愛を貫こうとする博徒を精悍に演じて色気を放つ。梅宮は東映第5期ニューフェイスに合格して1959年にデビュー、「不良番長」シリーズ(1968-72)や実録やくざ映画など硬軟両様の役柄で、東映の「不良性感度」路線を担った。
12ケメ子の唄(84分・35mm・白黒)
- 2021年8月4日(水) 6:20 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月21日(土) 12:00 PM@長瀬記念ホール OZU
ザ・ジャイアンツの同名ヒット曲に想を得た歌謡映画。ダンス好きの少女ケメ子(小山)が、ふとしたきっかけから足を踏み入れた芸能界と恋人(竹脇)との間で揺れ動いていく。この作品で監督デビューを果たした田中康義は、『ブロウアップ ヒデキ BLOW UP !HIDEKI』(1975)など数本を監督したのち、主にプロデューサーとして活躍。助監督を務めた小津安二郎の関連資料や松竹社史の編纂も手がけた。
13濡れ牡丹 五悪人暴行編*(74分 → 84分・35mm・パートカラー)
- 2021年8月18日(水) 2:30 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月28日(土) 6:00 PM@長瀬記念ホール OZU
梅沢薫=大和屋竺(名義は日野洸)の監督脚本コンビ第3作で、裏切りと陰謀が悪夢のように連鎖する殺し屋映画の知られざる傑作。大和屋は主人公クロも演じている。登場する殺し屋たちは皆強烈な印象を残すが、女の匂いに執着する通称「坊や」を演じた港雄一と、アウトローの凄みと悲哀を体現した日野役の山本昌平がとりわけ光っている。
※今回新たに本作品の35mmプリントを作製しましたが、原版の経年劣化に由来する音声ノイズが含まれています。また同様の経年劣化により、カラー部分のうち、計4箇所ある暗緑色の場面は公開当時の色が失われています。予めご承知おきください。
14影の車(98分・35mm・カラー)
- 2021年8月5日(木) 6:10 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月27日(金) 12:30 PM@長瀬記念ホール OZU
未亡人(岩下)と深い関係になった既婚の会社員(加藤)は、彼女の息子の存在により自身の過去を想起するが…。川又昻は、1945 年に松竹に入社し小津安二郎作品の助手を経て1959 年に一本立ち、『青春残酷物語』(1960、大島渚)、『砂の器』(1974、野村芳太郎)、『黒い雨』(1989、今村昌平)などで腕を振るった。本作では、色彩処理によって幼年期の幻想を妖美な映像で表現している。
15どですかでん(140分・35mm・カラー)
- 2021年7月30日(金) 12:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月25日(水) 5:30 PM@長瀬記念ホール OZU
黒澤明、木下惠介、小林正樹、市川崑が結成した「四騎の会」の第1作。毎日空想の電車を走らせる六ちゃん(頭師)と貧民街の様々な人間模様を鮮やかな色彩を用いて幻想的に描いた黒澤初のカラー作品。イタリア留学中に黒澤と知り合った松江陽一は帰国後、『隠し砦の三悪人』(1958)などに助監督として参加。本作と同様に製作を務めた『デルス・ウザーラ』(1975)はアカデミー賞外国語映画賞を受賞した。
17実録 私設銀座警察(94分・35mm・カラー)
- 2021年8月8日(日) 4:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月26日(木) 6:10 PM@長瀬記念ホール OZU
終戦直後の銀座を舞台に、退役兵らによって結成された「私設銀座警察」が苛烈な暴力の渦のなかで裏社会の顔役に成り上がっていく。東映東京企画部で「不良番長」シリーズなどを手がけたプロデューサー吉田達の企画のもと、佐藤純彌が「戦後、日本が新生していく生みの苦しみの中から派生していく悪夢のような混沌を、蓋をせずに描いてみた」と語るカルト的傑作。
16仁義なき戦い(99分・35mm・カラー)
- 2021年8月3日(火) 12:30 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年9月1日(水) 6:00 PM@長瀬記念ホール OZU
任俠映画から「実録」路線への転換点となった大ヒット作で、シリーズ化された。日下部五朗は発案時から企画に携わり、脚本を依頼した笠原和夫の「今までとは全く違うホンを」という意気込みに応えて現地取材に同行し、配役は若手中心とした。志賀勝は麻薬中毒者役に凄味を発揮、野口貴史は広能(菅原)の忠実な子分・岩見を第4作まで演じた。雑踏でのリアルなアクションを指導した上野隆三は、時代劇を中心に170本以上の映画や、その他TVドラマも多く手がけた。
18日本妖怪伝 サトリ(99分・35mm・カラー)
- 2021年7月30日(金) 6:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年9月2日(木) 12:30 PM@長瀬記念ホール OZU
人心を読む民話の妖怪「サトリ」を題材に、都市に生きる人間たちの孤独の風景を前衛的に描き出した異色作。寺山修司率いる劇団天井桟敷の舞台への客演など、60-70年代のアングラ全盛期に存在感を示した山谷初男が、その個性をいかんなく発揮。さすらいの時代の青年像を体現した河原崎次郎も印象深い演技を見せている。
19ねむの木の詩 (88分・35mm・カラー)
- 2021年8月4日(水) 12:30 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月29日(日) 4:30 PM@長瀬記念ホール OZU
宮城まり子が、自ら設立した肢体不自由児のための養護施設「ねむの木学園」の子どもたちを記録した初監督作品。生命力にあふれた子どもたちの姿が、宮城自身の愛情に満ちた音楽や語りによって、美しく描かれる。岡崎宏三のダイナミックなキャメラも素晴らしい。宮城による「ねむの木学園」シリーズ(1974-86)はこの後3作が撮られ、国内外で高い評価を得た。
20わたしのSEX白書 絶頂度*(71分・35mm・カラー)
- 2021年7月29日(木) 6:20 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年9月3日(金) 4:20 PM@長瀬記念ホール OZU
やくざ(益富)から猥褻な写真を受け取ったことから、病院の採血係(三井)が性に目覚め自らを変容させていくさまを描いたロマンポルノ。日活で助監督を経てプロデューサーとして活躍した伊地智啓の代表作。伊地智は本作の翌77年に日活を退社し、キティ・フィルム設立に参加して相米慎二作品を世に送り出すなど、ポスト撮影所期の重要作を数多く製作した。
21愛の嵐の中で(94分・35mm・カラー)
- 2021年8月22日(日) 4:20 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年9月1日(水) 12:30 PM@長瀬記念ホール OZU
桜田淳子の主演第5作で、姉(夏)の不可解な死の真相を探る少女(桜田)を描いたサスペンス。1970年に監督デビューを果たした小谷承靖は、アイドル映画やアクション映画に手腕を発揮した。また『武士道ブレード』(1981)など海外での仕事も多く、トム・コタニとしても知られる。カーディーラー役の岸部四郎は、映画やTVでの三枚目的な役どころで持ち味を生かした。
22宇宙からのメッセージ(105分・35mm・カラー)
- 2021年8月17日(火) 6:10 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年9月1日(水) 3:10 PM@長瀬記念ホール OZU
『スター・ウォーズ(エピソード4/新たなる希望)』(1977、ジョージ・ルーカス)に着想を得て、東映が即製した大作。日本の特撮をリードしつづけた矢島信男は、本作ではミニチュアセットを自在に駆け回るシュノーケルカメラやビデオ合成などを駆使し、迫力ある映像を実現した。渡邊亮徳は、矢島も関わった東映のテレビ作品「仮面ライダー」、「スーパー戦隊」シリーズを生んだ製作者としても著名。植村伴次郎は東北新社の創業者。重たい覚悟を秘めた酋長を演じた織本順吉は、深作欣二作品に多数出演している。
24処刑遊戯(100分・35mm・カラー)
- 2021年7月28日(水) 3:30 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年9月4日(土) 6:00 PM@長瀬記念ホール OZU
松田優作主演「遊戯」シリーズ(1978-79)の第3作。手持ちキャメラでの長回しによるアクションシーンや、強い青のトーンを狙った画など、仙元誠三の果敢な撮影が画面を活気づかせ、盟友・村川透の演出や渡辺三雄の照明と相まって、ひと時も目を離せない映画となっている。仙元は、撮影所システムが衰退し映画の新しい形が様々に模索されるなかで、長回しなど挑戦的なシーンを含む話題作を立て続けに生み出し、80年代以降のアクション映画のひとつの撮影スタイルを確立した。
23月山(102分・35mm・カラー)
- 2021年8月1日(日) 12:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月27日(金) 3:10 PM@長瀬記念ホール OZU
森敦の芥川賞受賞作を映画化した、村野鐵太郎の独立第2作。湯殿山麓の破れ寺に来た青年が、厳しい寒さや土地の特異な風習を体験しながら一冬を過ごす。大映東京で1960年に監督デビューを果たした村野は、71年に退社して独立し、日本人の精神の古層を探究する作品を数多く撮った。俳優座を拠点に映画でも活躍した河原崎次郎が、寡黙に自己を見つめる主人公・明を演じて趣深い。
25動乱(150分・35mm・カラー)
- 2021年8月15日(日) 3:30 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月24日(火) 1:00 PM@長瀬記念ホール OZU
昭和初期、五・一五事件から二・二六事件までを背景に青年将校の葛藤を描く。岡田裕介が東映で初めて企画の立ち上げ時から携わった本作では、こだわりのある題材として二・二六事件を選び、自身の初主演作『赤頭巾ちゃん気をつけて』(1970)などにより師と仰ぐ森谷司郎に監督を依頼した。純愛ドラマを軸として、高倉健、吉永小百合の初共演を実現し、以降、岡田は吉永主演作を数多く手がけている。
26火の鳥2772 愛のコスモゾーン(122分 → 121分・35mm・カラー)
- 2021年8月17日(火) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月29日(日) 1:00 PM@長瀬記念ホール OZU
漫画「火の鳥」シリーズをもとに手塚治虫自身が新たなストーリーを構築したSFアニメーション。宇宙ハンターとして育成されたゴドー(塩沢)は火の鳥の捕獲を命じられるが…。中村和子は東映動画で『白蛇伝』(1958、藪下泰司)等に携わり、1962年に虫プロに入社して原画や作画監督としてTVや劇場作品で活躍。本作でアニメーションディレクターを務めるとともに、主に女性キャラクターを描いた。
27嗚呼!おんなたち 猥歌*(83分・35mm・カラー)
- 2021年7月29日(木) 12:30 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月28日(土) 3:10 PM@長瀬記念ホール OZU
売れない中年のロッカーのジョージ(内田)と2人の女の奇妙な関係を描く、日活ロマンポルノ10周年記念作。企画は内田裕也本人が持ち込んだという。その後も、内田は『コミック雑誌なんかいらない!』(1986、滝田洋二郎)を自ら発案し脚本を執筆、キネマ旬報ベスト・テンの主演男優賞にも輝くなど、才気と混乱に満ちた80年代日本映画を象徴する一人となった。
28ピンクのカーテン*(70分・35mm・カラー)
- 2021年7月29日(木) 3:30 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月28日(土) 1:00 PM@長瀬記念ホール OZU
ジョージ秋山の同名漫画を原作に、アパートの一室で同居することになった兄(阿部)と妹(美保)の微妙な関係を描く日活ロマンポルノ。美保純が奔放かつチャーミングな魅力を発揮し、各新人賞を獲得。兄妹の心理の移ろいを繊細なタッチで見せる上垣保朗の演出手腕も高く評価され、続篇も製作されるなど彼の代表作となった。
29麻雀放浪記 他(計119分)
- 2021年8月1日(日) 2:50 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月26日(木) 12:30 PM@長瀬記念ホール OZU
イラストレーターやアニメーション作家としてすでに有名だった和田誠は、『麻雀放浪記』で実写監督デビュー。終戦直後を舞台に麻雀の世界で生きようと志す青年を描く。和田は高品格といったベテラン俳優をも新境地に導く確かな演出の腕を見せ、高い評価を得た。一方、「アニメーション3人の会」から依頼を受けて製作され、大藤信郎賞にも輝いた短篇アニメーション『MURDER!』は、映画ファンとしての和田の熱狂がダイレクトに伝わる一篇。
MURDER!(10分・16mm・カラー)
麻雀放浪記(109分・35mm・白黒)
30ドレミファ娘の血は騒ぐ 他(計86分)
- 2021年7月28日(水) 6:20 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月13日(金) 12:30 PM@長瀬記念ホール OZU
高校時代の憧れの先輩に会いに上京した秋子(洞口)は先輩の変貌ぶりに失望して帰郷しようとする。日活ロマンポルノとして製作されたままお蔵入りになったものを再構成して完成した黒沢清初の一般映画。ディレクターズ・カンパニーの社長・宮坂進は、同社の設立から倒産までの10年間(1982-92)、黒沢をはじめとする9人の新進監督の創作活動を経営面で支え、数々の意欲作を世に送り出した。公開当時の予告篇とあわせて上映。
音楽活劇 ドレミファ娘の血は騒ぐ -予告編-(3分・35mm・カラー)
ドレミファ娘の血は騒ぐ(83分・35mm・カラー)
32天使のはらわた 赤い眩暈*(73分・35mm・カラー)
- 2021年8月18日(水) 12:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年9月3日(金) 6:40 PM@長瀬記念ホール OZU
石井隆の劇画を映画化した「天使のはらわた」シリーズ(1978-94)の第5作で、石井の初監督作でもある。男に裏切られた名美(桂木)と自暴自棄になった証券マンの村木(竹中)の衝撃的な出会いと一夜の情交を描く。成田尚哉は1976-84年にかけて、日活ロマンポルノで多くのヒット作を企画製作、85年に退社して以降も『櫻の園』(1990、中原俊)など名作を世に送り出した。
31ビー・バップ・ハイスクール 髙校与太郎行進曲(93分・35mm・カラー)
- 2021年8月3日(火) 6:20 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月13日(金) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
憧れのマドンナが海外留学に行ってしまい、無気力な日々を過ごしていたヒロシ(清水)とトオル(仲村)は、人質に取られた仲間を救うために立ち上がる。高瀬将嗣は、本シリーズで実際に打撃をあてる「フルコンタクト・アクション」を導入するなど画期的な取り組みを行い、迫力あふれるアクションシーンを作り上げた。高瀬は、主人公コンビに殴り込みをかける進学校の番長として出演もしている。
33遥かなる甲子園(104分・35mm・カラー・日本語字幕付)
- 2021年7月31日(土) 12:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月12日(木) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
戦争の悲惨さを伝える児童映画を多く監督した大澤豊が、1980年代初頭の沖縄のろう学校を舞台に、甲子園を目指し野球部を創設した高校生たちを描く青春映画。野球にかける情熱と将来への不安が交錯する、ろう学校の高校生の現実を捉えている。ろう者の学生や俳優も出演し、のちの忍足亜希子主演「アイ・ラヴ」シリーズ(1999-2003)の製作にもつながる作品。ケーシー高峰は、野球部員の父親役。短い出演シーンながら、物語の転換点となっている。
34戦争と青春(109分・35mm・カラー/白黒)
- 2021年7月31日(土) 2:50 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月11日(水) 12:30 PM@長瀬記念ホール OZU
今井正の最後の作品。現代の高校生(工藤)が夏休みの課題に取り組むうちに、東京大空襲時に伯母(奈良岡)の身に起こった悲劇を知っていく。空襲場面の壮大なオープンセットを実現した美術の春木章と、爆音と叫び声が入り混じる喧噪を再現した録音の本田孜は、共に独立系映画を中心に活躍、後進の育成にも力を注いだ。
35映像評伝 仁科芳雄 現代物理学の父 他(計128分)
- 2021年8月4日(水) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月22日(日) 1:00 PM@長瀬記念ホール OZU
映像評伝 仁科芳雄 現代物理学の父 (97分・16mm・カラー)
戦争の時代を科学者として生き抜き、多くの優れた研究者を育てた仁科芳雄の平坦ならざる生涯を描く。野崎健輔は、中日映画でニュース映画を企画演出し、1975年からフリーに。太宰府天満宮の祭を記録した『鬼すべ』(1983)といった祭祀の記録や、炭鉱労働や大規模工事の記録映画を中心に高い評価を得た。
伝統工芸技術記録映画シリーズ-28- 読谷山花織 ―與那嶺貞のわざ―(31分・35mm・カラー)
1966年のイザイホーの記録や農協の活動記録などを通じて、野村岳也は父親の戦死の地でもある沖縄の人々の生活や想いを取材しつづけた。本作では、80年余途絶えていた幻の織物「読谷山花織」の復元に取り組んだ與那嶺貞のわざを記録している。
36ありふれた愛に関する調査(107分・35mm・カラー)
- 2021年8月11日(水) 3:30 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月27日(金) 6:00 PM@長瀬記念ホール OZU
ハードボイルド小説を原作に、しがない中年探偵(奥田)の不甲斐ない日々を描いて哀愁を漂わせる。小林壽夫は録音助手を経験後、日活出身の山田耕大が立ち上げた企画製作会社メリエスに参加。『私をスキーに連れてって』(1987、馬場康夫)のライン・プロデューサーを皮切りに『僕らはみんな生きている』(1993、滝田洋二郎)、『シャ乱Qの演歌の花道』(1997、滝田洋二郎)などを製作した。
37岸和田少年愚連隊(106分・35mm・カラー)
- 2021年8月3日(火) 3:30 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月13日(金) 6:00 PM@長瀬記念ホール OZU
1975年の岸和田を舞台に、ケンカに明け暮れる中学生たちを描く。本作で録音技師として一本立ちした鈴木肇は、大阪弁の抑揚を生き生きと活かし、乱闘シーンでは細やかな音声描写を行なった。鈴木は松竹にて「釣りバカ日誌」シリーズ第16-22作(2003-09、朝原雄三)、『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』(2018、前田哲)などを担当、「映像に合った自然に感じる音」を目指した。
38鉄道員 (112分・35mm・カラー)
- 2021年8月20日(金) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年9月4日(土) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
浅田次郎の直木賞受賞作の映画化。雪深いローカル線終着駅を守り続けてきた鉄道員の奇跡のような最期の日々が抒情的に描かれる。「新網走番外地」シリーズ(1968―72)などで東映任俠路線の一翼を担った降旗康男は『地獄の掟に明日はない』(1966)で初めて高倉健とコンビを組み、東映退社後も『駅STATION』(1981)などを監督して、寡黙で実直な健さんのイメージを確立した。坂上順は1962年に東映に入社後、『新幹線大爆破』(1975、佐藤純彌)などの話題作を手がけ、本作で製作者に贈られる「藤本賞」を受賞した。
39チルソクの夏(114分・35mm・カラー)
- 2021年7月31日(土) 5:50 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月12日(木) 12:00 PM@長瀬記念ホール OZU
1977年、釜山で開かれた親善陸上競技大会に出場した郁子(水谷)は韓国の少年(鈴木)に出会い、垣根を乗り越えて愛を育んでいく。佐々部清は、故郷・下関市を舞台に、陸上選手だった妹の経験談や父親の思い出を織り込んで郷愁漂う青春映画に仕上げた。地元に根を下ろし、地道に生きていく人々の触れ合いを通じて人間を描き続けた佐々部の方向性が示された監督第2作。
40スパイ・ゾルゲ(183分・35mm・カラー)
- 2021年8月6日(金) 12:30 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月24日(火) 4:40 PM@長瀬記念ホール OZU
篠田正浩が長年温めた企画で、海外ロケも行った歴史大作。ゾルゲ(グレン)と尾崎秀実(本木)の協力関係を軸に、国際平和を求める2人の理想と挫折が綴られる。平成「ガメラ」シリーズ(1995-99)などの美術で知られる及川一は、2人が取り調べを受ける拘置所を重厚で静謐なアールデコ調に造形した。多良政司は1970年代から東宝のスタジオ録音に従事し、ハードとソフト両面において映画音響の発展に貢献した。
41わらびのこう 蕨野行(125分・35mm・カラー)
- 2021年8月6日(金) 5:50 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月19日(木) 3:10 PM@長瀬記念ホール OZU
村の掟に従い、60歳を迎えて近隣の丘に棄てられた老人たちの姿を通して、生と死を問い直した作品。村田喜代子の原作に忠実に、姑(市原)と嫁(清水)が互いに語りかけながら進行する構成が秀逸で、とりわけ市原悦子の滋味にあふれた語りが、映画に深い奥行きを与えている。舞台やTVなど多方面で活躍した名女優市原にとって、本作は映画初主演作。紛れもない代表作となった。
42ユキとニナYuki & Nina(93分・35mm・カラー・日本語字幕付)
- 2021年8月20日(金) 6:10 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年9月2日(木) 3:10 PM@長瀬記念ホール OZU
9歳の少女ユキ(サンピ)は離婚を決めた両親のよりを戻そうと親友のニナ(ムーテル)と家出を決行する。迷い込んだ森で一人になったユキは新しい世界へ足を踏み入れるのだが…。吉武美知子はフランスの新鋭監督をいち早く日本に紹介したほか、『ダゲレオタイプの女』(2016、黒沢清)、『ライオンは今夜死ぬ』(2017、諏訪敦彦)などの合作映画のプロデュースに携わり、日仏を映画でつないだ。
43共喰い(102分・DCP・カラー)
- 2021年7月25日(日) 4:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年9月2日(木) 6:00 PM@長瀬記念ホール OZU
田中慎弥の芥川賞受賞小説を映画化。昭和末期の下関を舞台に、暴力的な性癖を持つ父親(光石)を軽蔑しながら、やがて自身のなかの暴力性に気づき苦悩する少年(菅田)の姿を描く。獅子プロダクションを経てフリーの照明技師となった松本憲人は、近年も青山真治の『空に住む』(2020)などを担当。撮影の今井孝博とは行定勲監督作でもコンビを組み、独特の空気感漂う映像を紡ぎ出した。
44シャルロット すさび(176分・DCP・白黒/カラー・日本語字幕付)
- 2021年8月18日(水) 4:50 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年9月3日(金) 12:20 PM@長瀬記念ホール OZU
1970年代からヨーロッパを中心に舞踏家として活動し、自主映画作家としても7本の作品を監督した岩名雅記の最後の長篇作品。岩名自身を投影したパフォーマー(成田)が、死んだ前妻やパリで出会った女性など、時空を超えた人々との交流を通じて、自らの内面と世界の様相を見つめていく。
◆京マチ子(1924-2019)
大阪市生まれ。大阪松竹歌劇団を経て、1949年、大映にスカウトされ入社。同年、『痴人の愛』(木村恵吾)のナオミ役で従来の日本映画にはない大胆な女性像を見せて注目を集め、以後、戦後を代表する女優として活躍する。『羅生門』(1950、黒澤明)以降は国際的にも人気を誇った。最後の映画出演作は『化粧』(1984、池広一夫)。
46雨月物語(97分・35mm・白黒)
- 2021年7月20日(火) 12:30 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年9月5日(日) 1:00 PM@長瀬記念ホール OZU
戦国の世、金と出世欲に取り憑かれた男たちが妻を失うさまを描き、ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞を受賞した、溝口健二の代表作の一つ。京は近江の城下に焼物を売りに来た源十郎(森)を誘う姫君を妖しくも優美に演じる。『羅生門』、本作、そして『地獄門』(1953、衣笠貞之助)と、海外映画祭受賞作に続けて出演した京は、「グランプリ女優」と形容されることになる。
9月5日1:00PMの回のチケットは完売しました。最新情報はチケットぴあのページをご覧ください。※9/4(土)更新
45牝犬(100分・35mm・白黒)
- 2021年7月20日(火) 3:30 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月7日(土) 12:00 PM@長瀬記念ホール OZU
京マチ子が『痴人の愛』、『浅草の肌』(1950)に続いて木村恵吾とコンビを組んだ作品で、肉体派ヴァンプ女優としての一つの到達点を示した。京は謹厳実直な会社員・堀江(志村)を堕落させる踊り子エミーを演じる。自らの欲望に忠実に行動し、自分になびかないサックス吹きの白川(根上)を何度も誘い、心を奪おうとするエミーの姿は、敗戦後の日本が渇望した人間像でもあった。
47大阪の女(104分・35mm・カラー)
- 2021年7月21日(水) 12:30 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年9月5日(日) 4:00 PM@長瀬記念ホール OZU
八住利雄の連続TVドラマ「女神誕生」(1957)の映画化。大阪出身の京の持ち味を生かすために企画された。夫に先立たれたお千(京)は流しの芸人・米太郎(船越)と再婚するが、幸せな日々も長く続かない。京いわく『道』(1954、フェデリコ・フェリーニ)のジェルソミーナを連想させるお千が、不運に見舞われながらも無垢な心を失わず生き抜いていく姿が軽やかなタッチで描かれ、胸をふるわせる。
◆森﨑東(1927-2020)
長崎県島原市生まれ。1956年に松竹京都撮影所に入社し、65年に大船撮影所に移籍。野村芳太郎監督らの作品で助監督を務めた後、69年『喜劇 女は度胸』で監督デビュー。74年にフリーとなる。社会の表舞台に現れない人々の怒りと鬱屈に焦点を当てた喜劇ならぬ「怒劇」をつくり続けた。
49野良犬(104分・35mm・カラー)
- 2021年7月24日(土) 3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月5日(木) 3:20 PM@長瀬記念ホール OZU
黒澤明の名作(1949)をリメイク。拳銃を盗まれた若い刑事(渡)がベテラン刑事(芦田)とともに犯人を追いつめていく、という大筋は同じだが、舞台を沖縄人コミュニティが根づく鶴見・川崎の工業地帯に移し、犯人を沖縄から集団就職でやって来た若者グループに変更することで、沖縄と本土の戦後史について考察を促す作品に仕上げている。
48濡れ髪牡丹(89分・35mm・カラー)
- 2021年7月21日(水) 3:30 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月7日(土) 2:50 PM@長瀬記念ホール OZU
3千人の子分を持つ清見潟のおもん(京)は、跡目を兼ねた婿探しを始める。候補者たちが押し寄せるも厳しいテストに次々と脱落、そこに手ごわい風来坊・瓢太郎(市川)があらわれる。京は威勢よくたんかを切り、立ち回りを演じるなど、貫禄と色気をまとった女親分に扮し、市川雷蔵との軽妙な掛け合いを披露する。
50黒木太郎の愛と冒険(110分・35mm・白黒)
- 2021年7月24日(土) 6:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月5日(木) 12:30 PM@長瀬記念ホール OZU
気弱だが冒険好きなスタントマン黒木太郎(田中)を中心に、彼の家族や友人、8mm映画を製作する若者たちの姿を描いた群像劇。森﨑喜劇の常連である田中邦衛の主演を前提に企画された。森﨑にとっては初めてATGで撮った作品でもあり、自決した兄への思いをにじませるなど個人的な情念が前面に押し出されている。
◆大林宣彦(1938-2020)
広島県尾道市生まれ。幼少期よりフィルムと戯れ、大学在学中より個人映画を発表。TVCFの監督としても一時代を築く。1977年『HOUSE』で商業映画デビュー。『転校生』(1982)に始まる「尾道三部作」や、厭戦のメッセージを前面に押し出した晩年の諸作品などで独自の映画観を示し続けた。
51日本殉情伝 おかしなふたり ものくるほしきひとびとの群(105分 → 109分・35mm・カラー)
- 2021年8月21日(土) 2:30 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月31日(火) 6:00 PM@長瀬記念ホール OZU
大林が自身の故郷・尾道を舞台に撮った小品で、完成から1年以上経ってようやく公開された。発明好きの青年(竹内)と金貸し(三浦)を中心に、夕子(南)という女性をめぐる「ものくるほしき」男たちの姿を描く。デビュー以来のトレードマークであった「A MOVIE」がこれを最後にいったん外されるなど、大林映画の転換点となった重要な一作。
※今回新たに本作品の35mmプリントを作製しましたが、原版の経年劣化に由来する色ムラが一部にございます。予めご承知おきください。
8月21日2:30PMの回のチケットは完売しました。最新情報はチケットぴあのページをご覧ください。※9/4(土)更新
52ふたり(150分・35mm・カラー)
- 2021年8月21日(土) 5:20 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月31日(火) 2:30 PM@長瀬記念ホール OZU
赤川次郎の同名小説の映画化で、「新・尾道三部作」の第1作となった。姉の千津子(中嶋)を事故で亡くした少女・実加(石田)が、姉の幽霊に見守られながら成長していく。脚本は、大林の商業映画デビュー作『HOUSE』以来たびたびコンビを組んだ桂千穂。『おかしなふたり』同様、大林とはCF時代から縁のある写真家の長野重一が撮影を手がけた。
◆渡哲也(1941-2020)
島根県能義郡安来町(現・安来市)生まれ。1964年に日活撮影所に入社し、翌年『あばれ騎士道』(小杉勇)でデビュー。「無頼」シリーズ(1968-69)などに主演し日活ニューアクションを牽引。1971年には石原プロモーションに入社。以降も、映画やTVドラマで、スターとしての存在感ある演技で魅了し、長きにわたり幅広い年代から支持された。
54紅の流れ星(97分・35mm・カラー)
- 2021年7月23日(金) 4:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月10日(火) 12:30 PM@長瀬記念ホール OZU
『赤い波止場』(1958、舛田利雄)のリメイク。石原裕次郎が演じた主役を渡らしく軽快に、愛おしさたっぷりに演じる。東京で事件を起こして神戸の組織にかくまわれ、暇をもてあましている五郎(渡)は、行方不明の婚約者を探しに来た啓子(浅丘)と出会う。帽子を深くかぶった渡が見せるダンスシーンは必見のかっこよさ。
53愛と死の記録(92分・35mm・白黒)
- 2021年7月23日(金) 1:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月10日(火) 6:00 PM@長瀬記念ホール OZU
印刷工場に勤める幸雄(渡)は、友人のいたずらをきっかけに、レコード店で働く和江(吉永)と恋に落ちるが…。蔵原惟繕や吉永小百合らとともに徹底的にリハーサルを繰り返し、原爆症に苦しむ青年を演じた渡は、ブルーリボン賞新人賞を受賞。渡は本作を共同作業としての映画作りの充実感を感じた最初の作品に挙げている。
55前科・仮釈放 (86分・35mm・カラー)
- 2021年7月24日(土) 12:30 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2021年8月10日(火) 3:30 PM@長瀬記念ホール OZU
石原裕次郎など日活の1世代上のスターと異なり、渡は泥臭いアクションや軽薄なキャラクターで魅せた。本作で渡は、歯医者の史江(松原)に強引な好意を寄せるやくざ・竜次を演じる。竜次が復讐を遂げる終盤の格闘シーンは、バス停留場などの整備が進んだ新宿西口が舞台となり、新時代に取り残されながらも、変わらず生きるやくざの姿を浮き彫りにしている。
上映スケジュールはPDFでもご覧いただけます。
■前売指定席券のみ発売します。館内でのチケット販売・発券はありません。
■各回の開映後の入場はできません。
■前売指定席券の最新の完売情報は、チケットぴあのページをご覧ください。当館HPは情報の更新にタイムラグがございます。
■タイトルの横に*印が付いている作品は、公開当時成人指定を受けた作品です。当該の上映回に女性専用席を設けます。
2021年7月20日(火)
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館内でのチケット販売・発券はありません。事前に前売指定席券をチケットぴあにてお求めください。
前売指定席券の発売日に関する重要なお知らせ ※7/9(金)更新 新型コロナウイルス感染拡大による急な変更に備え、本企画より前売指定席券の発売日を下記のように変更します。 毎週火曜日10:00amより、翌週(火~日)の上映回の前売指定席券(全席指定席・ (例) Q1. 見たい作品の発売日がいつか知りたい Q2. 今日、買えるのはいつの上映分ですか? Q3. チケットはいつまで買えますか? ※ただし、定員枚数に達し次第、チケット販売終了となります。 |
前売指定席券
[Pコード:551-490]
館内でのチケット販売はありません。障害者(付添者は原則1名まで)・国立映画アーカイブのキャンパスメンバーズの方も前売指定席券をお求めください。
前売料金 *別途手数料がかかります。
一般:520円/高校・大学生・65歳以上:310円/小・中学生:100円
/障害者(付添者は原則1名まで)・キャンパスメンバーズ・優待:無料(*手数料のみかかります)
・*印が付いている作品は成人映画です。小・中学生券はございません。また成人映画上映の際は、女性専用席を設けます。希望される方は「女性専用」と券種名に記載のある券をご選択ください。料金区分は通常の上映回と同じです。
・優待の方は「障害者または付添者等」券をお求めください。
・料金区分の違う前売指定席券では入場できません。差額のお支払いで観覧することはできません。
・学生、65歳以上、障害者、キャンパスメンバーズ、優待の方は証明できるものをご提示ください。ご提示のない方は入場できません。
・キャンパスメンバーズのうち、下記5校は7月31日(土)をもって退会校となりますため、8月1日(日)以降の上映回はキャンパスメンバーズ対象外となります。
⇒ 千葉商科大学、東京医科歯科大学、東京外国語大学、東洋英和女学院大学、東洋学園大学
・新型コロナウイルス感染拡大を受け、ご鑑賞をおやめになった方、来館時の検温の結果、37.5℃以上の発熱が確認された方を対象に、会期終了後、前売指定席券の払い戻しを行います。払い戻しの詳細はこちらをご覧ください。→ 払い戻し受付期間は終了しました。※10/6(水)更新
下記に該当する方は購入をお控え願います。
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入場方法
・前売指定席券は来館前に必ず発券をお願いします。
・開場は開映30分前です。
・各回の開映後の入場はできません。
・8月21日(土) 2:30PM~『日本殉情伝 おかしなふたり ものくるほしきひとびとの群』
・9月5日(日) 1:00PM~『雨月物語』
マスク着用のない方の入館をお断りします。
当館の新型コロナウイルス感染症拡大防止策
・来館者全員への検温を実施。
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・受付などの対面場所に飛沫ガードを設置。
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・咳エチケットにご協力ください。
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・こまめな手洗いや手指の消毒にご協力ください。
・入退場やご観覧の際は、互いに適切な距離を保つようお願いいたします。
・ロビー等での飲食は、蓋の閉まる飲み物以外は禁止にさせていただきます。
・感染発生時の入館者追跡のため、ご自身で入館日時の記録をお願いいたします。
上映以外に関する当館の対策およびお願いにつきましては、こちらをご覧ください。