過去の上映
- 2019.8.13-8.25
- 上映企画
シネマ・エッセンシャル 2019
The Essential Films 2019
2019年8月13日(火)-8月25日(日)
★各回の開映後の入場はできません。
★8月の休館日:月曜日
国立映画アーカイブ[地下1階]
小ホール
定員:151名(各回入替制・全席自由席)
当日券についてはこちらをご覧ください。
前売券についてはこちらをご覧ください。
概要
音楽、美術や演劇においても“クラシック”作品があるように、映画の世界でも、その歴史を形作ってきた数々の基礎的な重要作があります。しかし現在、そうした過去の作品は動画配信サービスや映像ソフトを通じて観ることが主流になっており、その本来の姿である、フィルムによるスクリーン上映の機会はますます稀少になっています。そのような環境の中、国立映画アーカイブが2018年に開始した企画がこの「シネマ・エッセンシャル」です。所蔵のフィルムコレクションをベースに、本年度は日本映画の重要な監督から溝口健二・豊田四郎・増村保造・藤田敏八の4名を取り上げ、改めてこれらの作品の価値を世に問います。初めて昔の日本映画をご覧になる若い方から、往年の映画ファンの方までご一緒にお楽しみください。
■初めて昔の日本映画をご覧になるという方もいらっしゃるかと思います。そこで、HP限定コラム〈こちらもおすすめ――企画担当より〉を作品リストの各上映作品の紹介欄にアップしました! 上映作品だけでは物足りないという方は、ご参考までにお読みいただければ嬉しいです。(7/30更新)
■(監)=監督・演出 (原)=原作・原案 (脚)=脚本・脚色 (撮)=撮影 (美)=美術・設計・舞台装置 (音)=音楽 (出)=出演
■スタッフ、キャスト欄の人名は原則として公開当時の表記を記載しています。
■特集には不完全なプリントや状態の悪いプリントが含まれていることがあります。
■記載した上映分数は、当日のものと多少異なることがあります。
■初めて昔の日本映画をご覧になるという方もいらっしゃるかと思います。そこで、HP限定コラム〈こちらもおすすめ――企画担当より〉を作品リストの各上映作品の紹介欄にアップしました! 上映作品だけでは物足りないという方は、ご参考までにお読みいただければ嬉しいです。(7/30更新)
上映作品詳細
1浪華悲歌Osaka Elegy(72分・35mm・白黒・英語字幕付)
- 2019年8月13日(火) 1:30 PM@小ホール
- 2019年8月17日(土) 3:00 PM@小ホール
1923年に日活向島作品『愛に甦る日』で監督デビューした溝口健二の監督60作目。横領事件を起こした父親のために妾になるなどし、そのために自分の恋人のみならず兄弟たちからも冷たくあしらわれる女(山田)の姿をリアリスティックな手法で描く現代劇。舞台の大阪が持つローカルな気質と近代都市のモダンな雰囲気がしっかり捉えられ、モダニズムの香る生き生きとした傑作となった。
〈こちらもおすすめ――企画担当より〉
溝口は、次作『祇園の姉妹』(1936)でも、山田五十鈴を通して男性優位社会へ批判的な視線を向けています。祇園の芸妓に転じた山田は、世間への不信感と淡い期待が錯綜する人物の内面を丁寧に演じています。
2殘菊物語The Story of the Last Chrysanthemums(143分・35mm・白黒・英語字幕付)
- 2019年8月13日(火) 5:00 PM@小ホール
- 2019年8月21日(水) 4:30 PM@小ホール
村松梢風の同名実録小説を依田義賢が脚色。自らの芸に慢心した二代目尾上菊之助(花柳)と、彼の歌舞伎役者としての復活を後押しし続けたお徳(森)の悲恋の物語。東京から大阪へ、そして旅回りの一座へと堕ちていく二人を、溝口は得意の長回しでじっくりと描き出した。戦後に至るまで多くの溝口作品で美術監督をつとめた水谷浩による、壮重かつ緻密に計算されたセットも光る。
〈こちらもおすすめ――企画担当より〉
芸道映画なら、マキノ雅弘監督が殺陣師を描いた『人生とんぼ返り』(1955)もおすすめです。『夫婦善哉』や『駅前旅館』の森繁久彌と『浪華悲歌』の山田五十鈴が演じる夫婦の絶妙な台詞まわしや、夫婦が引き取った娘を演じる左幸子の熱演など、見どころ満載の作品です。
3西鶴一代女(136分・35mm・白黒)
- 2019年8月14日(水) 1:30 PM@小ホール
- 2019年8月25日(日) 12:00 PM@小ホール
井原西鶴の「好色一代女」が原作。封建的な男性本位の社会の中で、悲惨な運命に翻弄される女の生涯が、流麗なキャメラワークで描かれる。御所の若い女中が年老いた街娼となるまで、主役のお春をひとりで演じきった田中絹代の演技に圧倒される。ヴェネチア国際映画祭で国際賞を受賞し、海外にその名を知らしめた戦後の溝口を代表する作品。
〈こちらもおすすめ――企画担当より〉
溝口は遺作の『赤線地帯』(1956)に至るまで、時代劇や現代劇を問わず男の身勝手さと女の苦難を描き続けました。いわゆる「特殊飲食店」を舞台に、京マチ子や若尾文子といった豪華女優陣が娼婦を演じる女性群像劇です。溝口監督に興味を持たれた方は、こちらもどうぞ。
4若い人(81分・35mm・白黒)
- 2019年8月14日(水) 5:00 PM@小ホール
- 2019年8月24日(土) 3:00 PM@小ホール
1929年の監督デビューから70年代まで長く活躍した豊田四郎の戦前の代表作。豊田は後に文芸映画で特に名を馳せるが、本作も当時ベストセラーであった石坂洋次郎の小説が原作。ミッションスクールの教師の間崎(大日方)は、自らを慕う問題児の恵子(市川)を庇護するも、彼の方針は同僚の橋本(夏川)をはじめとする周囲の人から理解されなかった。そんななか、恵子が妊娠したとの噂が流れ、間崎に疑いの目が向けられる。
〈こちらもおすすめ――企画担当より〉
若者の恋と性を明るくセンセーショナルに描く石坂洋次郎原作の映画化は、日本の民主主義と青春映画の深度を示すバロメーターでもあります。まずは占領期に一世を風靡した『青い山脈』『續 青い山脈』(共に1949、今井正)の若者たちの欲望と苦悩を、ご覧になってみてはいかがでしょうか。
5夫婦善哉(120分・35mm・白黒)
- 2019年8月15日(木) 1:30 PM@小ホール
- 2019年8月25日(日) 3:30 PM@小ホール
昭和初期の上方を背景に、俗にまみれた放蕩息子と、そんな男を捨てられない芸者上がりの女との切っても切れない腐れ縁を描く。豊田が人情の機微をきめ細かく描写し、文芸映画作家としての本領を発揮した。どこか憎めないダメ男を演じた森繁久彌と、彼を叱咤しながらあくまで尽くしぬく女を演じた淡島千景が、絶妙に呼吸の合った演技を見せる。
〈こちらもおすすめ――企画担当より〉
『夫婦善哉』の素晴らしい人物造形に魅了された方なら『雪国』(1957)もぜひ! 人間の脆さ、美しさ、悲しさが駒子(岸恵子)と島村(池部良)の愛の物語に凝縮されています。
6駅前旅館(109分・35mm・カラー)
- 2019年8月15日(木) 5:00 PM@小ホール
- 2019年8月23日(金) 1:30 PM@小ホール
団体客でいつもにぎわう上野の老舗旅館を舞台に、風紀向上のため客引き追放運動に奮闘する番頭(森繁)と、個性的な従業員たちが繰り広げる風俗喜劇。森繁久彌、フランキー堺、伴淳三郎など、当時の東宝の喜劇人たちが勢揃いしている。当初は井伏鱒二の同名小説を原作にした文芸映画として企画されたが大ヒットを記録し、1961年に公開された第2作『喜劇 駅前団地』(久松静児)よりシリーズ化された。
〈こちらもおすすめ――企画担当より〉
『鶯』(1938)は、東北の田舎町の警察署に個性豊かな人たちが集う、豊田のもう一つの群像劇です。人物の持ち味を最大限に生かすことを得意とする豊田の才腕が、遺憾なく発揮されています。
7くちづけ(73分・35mm・白黒)
- 2019年8月16日(金) 1:30 PM@小ホール
- 2019年8月24日(土) 12:00 PM@小ホール
撮影所の徒弟制度のなかで映画作りを学ぶだけでなく、ローマの国立映画実験センターに留学した経験を持つ増村保造の鮮烈な監督デビュー作。ともに犯罪者を父に持つ若い男女(川口、野添)が、面会に訪れた拘置所で知り合い、恋におちる。増村は情緒を排した乾いたタッチでスピーディに描いてみせ、日本映画界に新風を吹き込んだ。
〈こちらもおすすめ――企画担当より〉
増村が倒産直前の大映で撮った最後の作品『遊び』(1971)は、『くちづけ』と対をなす青春映画です。増村の青春に向ける眼差しの変化と、その対照的な結末に注目しながらぜひあわせてご覧ください。
8清作の妻(93分・35mm・白黒)
- 2019年8月16日(金) 5:00 PM@小ホール
- 2019年8月22日(木) 2:00 PM@小ホール
老人の妾だった過去を持つ女(若尾)が、村の模範青年(田村)と結ばれ、村人の冷ややかな視線に抵抗しながら愛を突き通していく。日清戦争時の閉鎖的な村社会を舞台に、差別や偏見と戦う女の凄まじい生き様が強烈な印象を残す一作である。『青空娘』(1957)以来、長年コンビを組んできた若尾文子が増村の追究する「近代的人間像」を見事に具現化している。
〈こちらもおすすめ――企画担当より〉
ひたむきに愛を貫く女。増村と若尾が創造した女性像の原点となる作品は何といっても『妻は告白する』(1961)です。雨に濡れた若尾の甘く美しく、どこか空虚な眼差しに戦慄する一本です。
9曽根崎心中(112分・35mm・カラー)
- 2019年8月17日(土) 12:00 PM@小ホール
- 2019年8月22日(木) 5:00 PM@小ホール
大映倒産後フリーになった増村が行動社で撮った最後の作品。映画初主演の宇崎竜童は増村の演出に従い「強くあえいで死ぬ気で」演じ、独特の存在感を示した。義理でも人情でもない女と男の壮烈な「意地」と「誇り」を近松物のうちに凝縮。まるで絶叫するような台詞回しが恋を貫く男女の強い情念を感じさせる増村後期の金字塔。
〈こちらもおすすめ――企画担当より〉
『好色一代男』(1961)は、『曽根崎心中』と同じく江戸時代の上方を舞台にしていながらも、「増村的女性」の代わりに、自分の欲望のままに生きる男(市川雷蔵)の一生を戯画的に描いた増村の異色作です。
10新宿アウトロー ぶっ飛ばせ(86分・35mm・カラー)
- 2019年8月20日(火) 2:00 PM@小ホール
- 2019年8月23日(金) 4:30 PM@小ホール
出所したばかりのやくざの西神(渡)は、密売していたマリファナを奪われた松方(原田)に頼まれ、二人で強大な犯罪組織に戦いを挑む。藤田敏八は繁矢の名前で監督した『非行少年 陽の出の叫び』(1967)で監督デビュー。劇映画監督作としては4作目となる本作は、劇団俳優座出身の新進スター原田芳雄が、同年代ながら日活を代表するスターとして、すでに名を馳せていた渡哲也と対等な役割を果たしている点で、日本映画の基盤となっていた撮影所システムの転換を象徴する作品である。
〈こちらもおすすめ――企画担当より〉
藤田監督の『修羅雪姫』(1973)は、クエンティン・タランティーノにも影響を与えた作品とされ、本作にも出演の梶芽衣子が仕込み刀を片手に敵を血祭りにあげます。青春映画のみならず、ロマンポルノやアクションも手掛けた藤田の職人芸をご覧になれる一本です。
11八月の濡れた砂(91分・35mm・カラー)
- 2019年8月18日(日) 12:00 PM@小ホール
- 2019年8月20日(火) 5:00 PM@小ホール
真夏の湘南を背景に、暴力とセックスに耽溺する青春を目まぐるしいキャメラワークで瑞々しく描いた藤田の代表作。日活ニューアクションからロマンポルノへの転換期に作られた青春映画である。終盤、大海原のヨットでやり場のない怒りを爆発させる若者の姿と、それでも静かに海を浮遊し続けるヨットの克明な対比が、当時の若い世代の閉塞感を描き出している。
〈こちらもおすすめ――企画担当より〉
藤田敏八監督による、若さゆえの鬱屈を描いた映画をもう一つ挙げるとすれば、中上健次原作の『十八歳、海へ』(1979)でしょうか。こちらではバイオレンスは影を潜めますが、自殺遊びにふける男女の予備校生を主人公に、破滅の香りを漂わせた一篇です。
12妹(92分・35mm・カラー)
- 2019年8月18日(日) 3:00 PM@小ホール
- 2019年8月21日(水) 2:00 PM@小ホール
同棲先からひょっこり戻ってきた妹(秋吉)を、戸惑いながらも温かく迎え、恋人のように振る舞う兄(林)。ロマンポルノ時代の日活にあって、一般向けの青春映画で気を吐いた藤田監督の『赤ちょうちん』(1974)に続く秋吉久美子主演作。時代のやるせない雰囲気を体現する、捉えどころのない秋吉の妹役が印象的。フォークソング・グループかぐや姫のシングル「妹」をモチーフに製作されている。
〈こちらもおすすめ――企画担当より〉
今回上映する3本は、すべて萩原憲治が撮影監督をしています。他の藤田×萩原作品では、同じく秋吉主演の『赤ちょうちん』も必見です。引っ越しを繰り返す夫婦が住むことになる家々の室内空間や立地環境を捉える、的確なキャメラにもご注目ください。
■作品によって開映時間が異なりますのでご注意ください。
2019年8月13日(火)
11:00 AM 開館
2019年8月14日(水)
11:00 AM 開館
2019年8月15日(木)
11:00 AM 開館
2019年8月16日(金)
11:00 AM 開館
2019年8月17日(土)
11:00 AM 開館
2019年8月18日(日)
11:00 AM 開館
2019年8月20日(火)
11:00 AM 開館
2019年8月21日(水)
11:00 AM 開館
2019年8月22日(木)
11:00 AM 開館
2019年8月23日(金)
11:00 AM 開館
2019年8月24日(土)
11:00 AM 開館
2019年8月25日(日)
11:00 AM 開館
当日券(発券=地下1階受付)
料金:一般520円/高校・大学生・シニア310円/小・中学生100円/障害者(付添者は原則1名まで)、国立映画アーカイブのキャンパスメンバーズは無料
◆当日券で入場される方には、開館と同時に、当日上映される全ての回の入場整理券を1階ロビーにて発券します。各日の開館時間についてはスケジュール欄をご覧下さい。
・各回の開映後の入場はできません。
・当日券の発券は、定員に達し次第締切ります。
・学生、シニア(65歳以上)、障害者、キャンパスメンバーズの方は、証明できるものをご提示ください。
・当日券の発券は各回1名につき1枚のみです。
入場方法
①前売券をお持ちの方は、開場時(開映20分前)に、前売券に記載された整理番号順にご入場いただけます。
②その後は、当日券の整理券をお持ちの方が、整理番号順にご入場いただけます。前売券をお持ちの方は、随時ご入場いただけます。
・前売券・当日券は当日・当該回のみ有効です。
前売券
7月30日(火)10時より、チケットぴあにて全上映回の前売券(全席自由席・各70席分)を販売します。
[Pコード:550-135]
前売料金:一般520円/高校・大学生・シニア310円/小・中学生100円
・別途発券手数料がかかります。
・各回の開映後の入場はできません。
・学生、シニア(65歳以上)の方は証明できるものをご提示下さい。
前売券の購入方法
[Pコード:550-135]
チケットぴあ店舗、セブン-イレブンで購入
7月30日(火)より各プログラムの前日まで購入可能
前売料金に加え、1枚につき発券手数料108円がかかります。
受付電話(0570-02-9999)で購入
7月30日(火)10時より各プログラムの4日前23:59まで購入可能
前売料金に加え、1枚につき発券手数料108円がかかります。
※毎週火・水2時30分~5時30分はシステムメンテナンスのため受付休止となります。
チケットぴあのサイト(https://w.pia.jp/t/nfaj-essential2019/)で購入
購入時期によってご利用可能な決済方法が異なります
前売料金に加え、1枚につき発券手数料108円、また決済方法によって1件につき決済手数料がかかる場合があります。
*購入サイトは準備でき次第アップされますが、ご利用は7月30日(火)10時からです。
※チケットぴあの手数料等については、チケットぴあHPのヘルプ、利用料一覧の頁をご覧ください。
本前売券の購入に、システム利用料(通常216円/枚)はかかりません。
※前売券の払い戻し、交換、再発行はいたしません。
入場方法
①前売券をお持ちの方は、開場時(開映20分前)に、前売券に記載された整理番号順にご入場いただけます。②その後は、当日券の整理券をお持ちの方が、整理番号順にご入場いただけます。前売券をお持ちの方は、随時ご入場いただけます。
・前売券・当日券は当日・当該回のみ有効です。