無声映画の素晴らしさを弁士の語りや音楽とともに体験していただくため、1995年からシリーズ化された特別企画「シネマの冒険 闇と音楽」。今年度は、『嵐の孤児』、『鉄路の白薔薇』から『裁かるゝジャンヌ』まで、無声映画時代はもちろん、永遠の名作として世界映画史にその名を刻まれる6本をラインナップして上映します(弁士・伴奏付きプログラムは各日とも2回目の上映が対象となります)。また、『ファウスト』『掟によって』『アッシャー家の末裔』は、本企画のために新たに日本語字幕を作成したプリントでの上映となります。
------------------------------------【弁士紹介】-------------------------------------
澤登翠(さわと・みどり)
故松田春翠門下。「伝統話芸・活弁」の継承者として“活弁”を現代のエンターテインメントへと甦らせ、「無声映画鑑賞会」や全国各地の映画祭、NHK BS2等への出演に加え、フランス、イタリア、ドイツ、アメリカ他海外でも多数公演を行っている。今秋もフランス、ドイツ他ヨーロッパで公演の予定。失われた映画を現存する写真画像と音楽、語りで再構築する“ロスト・フィルム・プロジェクト”にも参画。日本映画ペンクラブ賞、文化庁芸術祭優秀賞他を受賞。2010年度「音の匠」として日本オーディオ協会より顕彰される。
----------------------------【伴奏者紹介】(50音順)----------------------------
鈴木真紀子(すずき・まきこ)/フルート
桐朋学園大学音楽学部卒。フルートを峰岸壮一氏に師事。1994年オーストリアとスイスで国際フルートセミナーに参加、ファイナルコンサートに出演。現在、楽団「カラード・モノトーン」や芹洋子のアコースティックバンドのメンバーとして活動。順天堂大学交響楽団の木管トレーナー、東洋英和女学院フルート講師。
新垣隆(にいがき・たかし)/作曲・編曲、ピアノ
桐朋学園大学音楽学部作曲科卒。作曲を南聡、中川俊郎、三善晃の各氏に師事。楽団「カラード・モノトーン」のメンバーとして澤登翠とともに日本各地をまわる。自身の音楽作品としてはアンサンブル・ジェネシスのための「セレナード」(BS ハイビジョン にて放映)などがある。桐朋学園大学非常勤講師。
松村牧亜(まつむら・まきあ)/作曲、ピアノ
東京芸術大学音楽学部作曲科を卒業後渡米、ジュリアード音楽院にて修士号取得。シカゴ交響楽団主催「First Hearing」コンクール優勝。2003年、ピアノ即興演奏による無声映画伴奏に出会い、2007年のポルデノーネ無声映画祭マスタークラス参加後、ニューヨーク近代美術館(MoMA)、リンカーン・センター映画協会、映像博物館(MoMI)等にて初の日本人無声映画伴奏者として活躍中。1923年の『法に泣く女』にオリジナルスコアを提供、Kino InternationalよりDVDリリースされている。NY在住。
柳下美恵(やなした・みえ)/作曲、ピアノ
無声映画伴奏者。武蔵野音楽大学器楽科(ピアノ専攻)卒業。1995年、朝日新聞社主催の映画生誕100年記念上映会でデビュー以来、国内外の映画祭、上映会などで公演。紀伊國屋書店クリティカル・エディション・シリーズ『裁かるゝジャンヌ』『魔女』の音楽を担当。2006年度日本映画ペンクラブ奨励賞受賞。 NPO法人 映画保存協会正会員。映画に集中できる伴奏を心がけている。
湯浅ジョウイチ(ゆあさ・じょういち)/作曲・編曲、ギター
1987年東京国際映画祭でD・W・グリフィスの『国民の創生』の音楽制作・演奏を行って以来、無声映画用の楽団版音楽の復刻と制作に尽力している。楽団「カラード・モノトーン」を結成し、澤登翠をはじめとする弁士とともに全国で公演。又、「ロックギタリストのためのJ・S・バッハ曲集」を出版している。ESPミュージカルアカデミー講師。