冒頭のクレジットタイトルやエンドマーク等の指標が欠落しているために題名の特定にいたっていないが、安部善重コレクションの中で最も長尺の劇映画。大学に通う三郎を主人公にして、ばらばらになった家族の絆を取り戻すまでが描かれている。仏教的な単語がインタータイトルに頻出することから、宗教的な教育劇映画として製作されたのであろう。『暗黒街の女』やThe Tigress(共に1927年)といったハリウッド映画のポスターが掲げられている点、また、元素材の可燃性フィルムのストックが1929年のものであることから、1929年から1930年頃に製作された作品であると推測される。
'29-30頃(出)江川宇礼雄