大ホール上映作品
日本アニメーション映画史
A History of Japanese Animation
7月6日(火)- 8月29日(日)
料金=一般500円/高校・大学生・シニア300円/小・中学生100円
・観覧券は当日・当該回にのみ有効です。
・発券・開場は開映の45分前から行ない、定員に達し次第締切となります。
・シニア(65歳以上)の方は、必ず年齢を証明できるものをご提示下さい。
→上映スケジュール
一コマ一コマを人間の手で創造し、その膨大な積み重ねによって生み出されるアニメーション映画ほど、作り手の豊かな想像力が求められるジャンルもないでしょう。そして現在、劇場用、テレビ用から個人作家の実験作に至るまで多種多彩な作品が国際的な注目を集めている日本のアニメーションが、世界に誇る芸術であることは誰しも疑い得ません。
そうした日本のアニメーションの源流と展開を、フィルムセンターの所蔵フィルムを通じて探る企画がこの「日本アニメーション映画史」です。長短篇あわせて230本以上もの作品を上映するこの企画には、二つの大きな柱があります。まず一つは、“漫画映画”の草創期である大正時代から、日本初の本格的商業プロダクションである東映動画が軌道に乗る1960年前後までの、多様な傾向の作品を作家別に紹介することです。またもう一つは、1960年代後半から活躍し、アニメーション界に独自の地位を築き上げた二人の作家、岡本忠成と川本喜八郎の作品の総合的な上映です。とりわけ岡本作品については、現在展示室にて開催中の「造形作品でみる岡本忠成アニメーションの世界」と併せて観覧することで、作品に触れる楽しみを倍加させることができるでしょう。
数々のパイオニアたちが築き上げた国産アニメーションの“真髄”に触れるとともに、その想像力の豊かさを心ゆくまで堪能していただければ幸いです。
■(監)=監督・演出 (構)=構成 (製)=製作 (原)=原作・原案 (脚)=脚本・脚色・台詞 (撮)=撮影 (画)=作画・漫画・ゑがく・線画・線絵 (形)=人形・人形造形・人形美術・キャラクターデザイン (動)=動画・アニメーション・アニメーションデザイン (美)=美術 (音)=音楽・作曲 (声)=声の出演・語り・解説・ナレーション・はなし
■記載した上映分数は、当日のものと多少異なることがあります。
■作品の製作年は、後に作られた改変版のプリントを上映する場合も、元の製作年を記載しています。
●協力=プラネット映画資料図書館、横山隆一まんが記念館、長野徹、安東民児、大藤和夫、小松沢甫、田村豊、萩原健吉、横山隆二
●写真撮影=山口旦訓(幸内純一、村田安司の写真)
1 |
7/6(火)3:00pm |
7/22(木)7:00pm |
8/8(日)4:00pm |
漫画映画の先駆者たち(計101分)
日本のアニメーション映画作りの黎明は1917年頃とされる。下川凹天、幸内純一、北山清太郎という3人のパイオニアが手がけた当時の作品は失われたが、それらはいずれも切り紙の手法で製作されていた。幸内が後に自ら会社を興して作った政治教育アニメ『政治の倫理化』、また北山門下の木村白山が文部省の発注で作った教育用作品などが現在残っているが、中でも初期作品『蟹満寺縁起』は後の巨匠内田吐夢も関わった典雅な影絵映画である。
蟹満寺縁起(11分・35mm・白黒・無声)
‘24(朝日キネマ合名社)(監)(画)奥田秀彦、木村白山、内田吐夢
勤倹貯蓄 塩原多助(10分・35mm・白黒・トーキー版)
‘25(朝日キネマ合名社)(画)木村白山
ノンキなトウサン竜宮参り(10分・35mm・白黒・無声)
‘25(鈴木映画)(画)木村白山
映画演説 政治の倫理化(32分・35mm・白黒・無声)
‘26(スミカズ映画創作社)(原)(撮)(画)幸内純一
漫畫 魚の國(15分・35mm・白黒・無声)
‘28(文部省)(画)木村白山
お江戸の春(6分・35mm・染色・無声・不完全)
‘28(東亜キネマ)(画)(撮)正木(柾木)統三(原)玉の浦人
四十人の盗賊(朱金昭)(17分・35mm・白黒・トーキー版)
‘28(銀映社)(監)鈴木俊夫(脚)東浦康介(撮)米原広(画)上野武夫
2 |
7/6(火)7:00pm |
7/28(水)3:00pm |
8/14(土)1:00pm |
大藤信郎[1](計60分)
独自の“千代紙映画”を開拓した切り紙アニメーションの孤高の巨匠、大藤信郎(1900-1961)。幸内純一の助手を経験したのち、伝統の千代紙をアニメーションに活用しようと発案、自由映画研究所(後に千代紙映画社)を設立して『馬具田城の盗賊』を完成させた。時の新技術に敏感だった大藤は当時研究中の発声作品にも挑戦、『お関所』『村祭』など、レコード式トーキーによる歌唱映画も送り出した(上映プリントは無声)。なお実写とアニメの合成による試作品『煙り草物語』は現在確認できる大藤の最古の作品である。
煙り草物語(3分・35mm・染色・無声)
‘24(監)大藤信郎
馬具田城の盗賊(10分・35mm・白黒・無声・短縮版)
‘26(自由映画研究所)(監)大藤信郎
切紙細工 西遊記 孫悟空物語(5分・35mm・白黒・無声・不完全)
‘26(自由映画研究所)(監)大藤信郎
こがねの花(17分・35mm・白黒・無声)
‘29(千代紙映画社)(画)大藤信郎
お関所(8分・35mm・染色・無声)
‘30(千代紙映画社)(監)大藤信郎
児童唱歌映画 村祭(2分・35mm・白黒・無声)
‘30(千代紙映画社)(監)大藤信郎
國歌 君が代(3分・35mm・白黒・無声)
‘31(千代紙映画社)(監)大藤信郎
心の力(12分・35mm・白黒・無声)
‘31(千代紙映画社)(画)大藤信郎
3 |
7/7(水)3:00pm |
8/10(火)7:00pm |
大藤信郎[2](計67分)
トーキー時代を迎え、上海事変の「爆弾三勇士」にヒントを得た『蛙三勇士』とその姉妹篇『沼の大将』は音声つきの作品となった(上映プリントは無声版)。また『玉手箱』では魚に化けて竜宮城の玉手箱を盗み出そうとした“ちんころ平平”が、一転『空の荒鷲』では戦闘機のパイロットに変貌、時局の変化を映し出している。『マレー沖海戦』は、ハワイ真珠湾攻撃を描いた『桃太郎の海鷲』と一対の作品として企画されたもので、大藤はこの苛烈な戦争図絵を影絵の手法に託している。
蛙三勇士(7分・35mm・調色・無声版)
‘33(千代紙映画社)(画)大藤信郎
沼の大将(8分・16mm・白黒・無声版)
‘33(千代紙映画社)(画)大藤信郎
天狗退治(10分・35mm・白黒・無声版)
‘34(千代紙映画社)(画)大藤信郎
マンガ ちんころ平平(へいべい) 玉手箱(8分・35mm・白黒)
‘36(千代紙映画社)(画)大藤信郎
空の荒鷲 戰線漫画(8分・35mm・白黒)
‘38(千代紙映画社)(画)大藤信郎
マレー沖海戦(26分・35mm・白黒)
‘43(横浜シネマ商会)(監)(画)大藤信郎
4 |
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7/7(水)7:00pm |
7/29(木)3:00pm |
8/15(日)4:00pm |
大藤信郎[3](計65分)
第2次大戦が終わって動画界が再編されてからも、大藤は自主製作を続けた。色彩時代に入ってからは色セロファンの影絵という新分野を開拓、1927年の自作のリメイク『KUJIRA』はカンヌ国際映画祭でピカソやコクトーの激賞を受けたという。
蜘蛛の絲(10分・35mm・白黒)
‘46(三幸映画)(監)(画)大藤信郎(原)芥川龍之介
雪の夜の夢(9分・35mm・白黒)
‘47(千代紙映画社)(監)(画)大藤信郎
聖書幻想譜 アダムとイブ(8分・16mm・カラー)
‘51(日本色彩映画=小西六写真工業)(構)(監)大藤信郎(音)ハイドン(声)綱嶋初子、眞弓田一夫、臼井正明
KUJIRAくじら(8分・35mm・カラー)
‘52(千代紙映画社)(画)(監)(撮)大藤信郎(音)塚原晢夫
マンガ 団子兵衛捕物帖 開けーごまの巻(四十人の盗賊)(10分・35mm・白黒)
‘52(千代紙映画社)(監)(画)大藤信郎(音)紙恭輔
花と蝶(9分・16mm・カラー)
‘54(千代紙映画社)(監)(画)大藤信郎(背景)熊川正雄(音)紙恭輔
YUUREISEN[幽霊船](11分・35mm・カラー)
‘56(千代紙映画社)(監)(画)(撮)大藤信郎(音)平井康三郎
5 |
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7/8(木)3:00pm |
8/11(水)7:00pm |
大藤信郎[4]:「古事記」シリーズ(計63分)
『アダムとイブ』にも見られる通り、晩年の大藤は宗教的・神話的なテーマにしばしば近づいたが、その路線を代表するのがこの影絵映画「古事記」シリーズだと言えるだろう。『竹取物語』を準備中の1961年に死去したが、その翌年、国産アニメの発展に貢献した作品のために「毎日映画コンクール大藤信郎賞」が創設された。
古事記抄 天の岩戸開きの巻(8分・35mm・白黒)
‘55(大藤プロ)(監)(画)(撮)大藤信郎(構)小野祖教(音)平井康三郎
古事記物語 第貮篇 八岐大蛇退治(10分・35mm・白黒)
‘56(大藤プロ)(監)(画)大藤信郎(原)小野祖教(音)平井康三郎
古事記物語 大国主命といなばの兎(10分・35mm・白黒)
‘57(大藤プロ)(監)(撮)大藤信郎(脚)小野祖教
古事記物語 天孫降臨の巻(8分・35mm・パートカラー)
‘58(大藤プロ)(監)大藤信郎(構)小野祖教(音)平井康三郎
古事記物語 皇孫家之 三つの宝(27分・35mm・白黒)
‘59(大藤プロ)(監)(画)大藤信郎(音)平井康三郎
6 |
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7/8(木)7:00pm |
7/31(土)1:00pm |
8/10(火)3:00pm |
山本早苗[1](計67分)
画業を志しつつも、北山清太郎に師事して“漫画映画”の道を歩むこととなった山本善次郎(1898-1981)は「早苗」の画号で作品を量産、国産アニメーションの基礎を築いた人物である。北山の製作による『兎と亀』ではまだ発展途上の感があるが、より完成度を高めた独立第1作『姨捨山』は評価を受けて数多くのプリントが発注されたという。その後も衛生思想の普及を狙った『病毒の伝播』など文部省の受注作品と、映画館向けの娯楽作の両者にまたがった活躍を見せている。
教育お伽漫画 兎と亀(6分・35mm・白黒・無声)
‘24(ナカジマ活動写真部)(監)戸田(山本)早苗
教育線画 姨捨山(16分・35mm・白黒・無声)
‘25(東京漫画倶楽部)(監)戸田(山本)早苗(撮)近藤正志
線畫 つぼ(17分・35mm・白黒・無声)
‘25(山本漫画製作所)(画)山本早苗
病毒の伝播(14分・35mm・白黒・無声)
‘26(山本漫画製作所)(画)山本早苗
お伽噺 日本一 桃太郎(9分・35mm・白黒・無声)
‘28(タカマサ映画社)(画)山本早苗(撮)相原隆昌
日本マンガ 太郎さんの冒険撮影(5分・35mm・白黒・トーキー版)
‘29(タカマサ映画社)(画)山本早苗(撮)相原隆昌
7 |
7/9(金)3:00pm |
8/12(木)7:00pm |
山本早苗[2](計72分)
愛らしい動物キャラクターに教育的なテーマを次々と託した山本は、この時期「休む間も無く多忙であった」と述べている。この時期には、敵軍の空襲を撃退するカエルの国を描いた『おいらの非常時』など時局を反映した作品が増えているが、戦後は日本動画の設立をはじめ、現場の統率者として動画界の発展に尽くした。
五一ぢいさん(11分・35mm・白黒・無声)
‘31(文部省)(画)山本早苗
兄弟こぐま(11分・35mm・白黒・無声)
‘32(文部省)(画)山本早苗
おいらの非常時(11分・35mm・白黒・無声)
‘36(日本電報通信社)(原)(画)山本早苗
なまけぎつね(11分・35mm・白黒・無声)
‘41(文部省)(画)山本早苗
敵機來らば(9分・35mm・白黒)
‘42(三幸商会)(監)(撮)(画)山本早苗
お山の總動員(10分・35mm・白黒)
‘42(加治商会)(監)(撮)(画)山本早苗
子宝行進曲(9分・35mm・白黒)
‘42(加治商会)(監)(撮)(画)山本早苗
8 |
7/9(金)7:00pm |
7/31(土)4:00pm |
8/11(水)3:00pm |
村田安司[1](計82分)
大震災をきっかけに横浜シネマ商会に加わり、緻密な技巧を駆使して切り紙アニメーションの頂点を極めた村田安司(1896-1966)。最初は山本早苗から手ほどきを受けたが、さっそく青地・上野との“黄金トリオ”によりデビュー作『猿蟹合戦』を発表した。学校上映を狙ったため、教訓話がしばしば引き合いに出され、『二つの世界』は「蟻ときりぎりす」、『チュウキチは歸った』は「田舎のねずみと都会のねずみ」とイソップの寓話が使われている。
猿蟹合戦(5分・35mm・白黒・無声)
‘27(横浜シネマ商会)(画)村田安司(原)(脚)青地忠三(撮)上野行清
蛸の骨(9分・35mm・白黒・無声)
‘27(横浜シネマ商会)(画)村田安司(原)(脚)青地忠三(撮)上野行清
漫画 花咲爺(4分・35mm・白黒・無声)
‘28(横浜シネマ商会)(画)村田安司(原)(脚)青地忠三(撮)上野行清
文福茶釜(12分・35mm・白黒・無声)
‘28(横浜シネマ商会)(画)村田安司(原)(脚)青地忠三(撮)上野行清
動物オリンピック大會(11分・35mm・白黒・無声)
‘28(横浜シネマ商会)(監)(画)村田安司(原)青地忠三(撮)飯田光治
漫画 蛙は蛙(10分・35mm・白黒・無声)
‘29(横浜シネマ商会)(画)村田安司(原)(脚)青地忠三
太郎さんの汽車(5分・35mm・白黒・無声)
‘29(横浜シネマ商会)(画)村田安司(原)(脚)青地忠三(撮)上野行清
瘤取り(5分・35mm・白黒・無声)
‘29(横浜シネマ商会)(画)村田安司(原)(脚)青地忠三
二つの世界(11分・35mm・白黒・無声)
‘29(横浜シネマ商会)(画)村田安司(原)(脚)青地忠三
チュウキチは歸った(10分・35mm・白黒・トーキー版)
‘29(横浜シネマ商会)(画)村田安司(原)(脚)青地忠三(声)関屋五十二
9 |
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7/10(土)1:00pm |
8/12(木)3:00pm |
村田安司[2](計84分)
『かうもり』『猿正宗』『驢馬』のような教訓色の強いアニメだけでなく、コミカルな作風もあった村田は『おい等のスキー』『おいらの野球』などギャグに満ちた映画にも軽い持ち味を見せている。また『國歌 君が代』は実写の画面を用い、五線譜の上を白い玉が動く「バウンシング・ボール」のスタイルを持つ作品である。
スクリーンミユジック 國歌 君が代(3分・35mm・白黒・無声)
‘30(横浜シネマ商会)(画)村田安司(原)(脚)青地忠三(撮)上野行清
漫画 おい等のスキー(9分・35mm・白黒・無声)
‘30(横浜シネマ商会)(画)村田安司(原)(脚)青地忠三
おいらの野球(10分・35mm・白黒・無声)
‘30(横浜シネマ商会)(画)村田安司(原)(脚)青地忠三
漫画 かうもり(9分・35mm・白黒・無声)
‘30(横浜シネマ商会)(画)村田安司(原)(脚)青地忠三(撮)上野行清
漫画 猿正宗(8分・35mm・白黒・トーキー版)
‘30(横浜シネマ商会)(画)村田安司(原)(脚)青地忠三
タヌ吉のお話(11分・35mm・白黒・トーキー版)
‘31(横浜シネマ商会)(画)村田安司(声)古川緑波
驢馬(14分・35mm・白黒・無声)
‘31(横浜シネマ商会)(画)村田安司(原)(脚)青地忠三
狼は狼だ(11分・35mm・白黒・無声)
‘31(横浜シネマ商会)(画)村田安司(原)(脚)青地忠三
漫画レヴィユー 春(9分・35mm・白黒・無声)
‘31(横浜シネマ商会)(画)村田安司(原)(脚)青地忠三
10 |
7/10(土)4:00pm |
8/13(金)3:00pm |
村田安司[3](計112分)
高価なセルもそろそろ政岡憲三らによって使われていたが、依然として村田は切り紙手法の洗練に心を砕いた。例えば『月の宮の王女様』は、一つ一つ切り紙で作られるキャラクターのあまりの精緻な動きに、セルアニメーションと誤解されるほどであったという。結局、酒場で眠りこける男の夢想をテーマにした意欲作『居酒屋の一夜』を最後に村田は横浜シネマ商会を退社する。なお、タヌキと猿が怪魚をしとめる喜劇『お猿の大漁』は村田の第1回トーキー作品である。
空の桃太郎(14分・35mm・白黒・無声)
‘31(横浜シネマ商会)(画)村田安司(原)(脚)青地忠三
海の桃太郎(9分・35mm・白黒・無声)
‘32(横浜シネマ商会)(画)村田安司(原)(脚)青地忠三
体育デー(8分・35mm・白黒・無声)
‘32(横浜シネマ商会)(画)村田安司(原)(脚)青地忠三
漫画 豚平と猿吉(8分・35mm・白黒・無声)
‘32(横浜シネマ商会)(画)村田安司(原)橋藏二
のらくろ二等兵 教練の巻 演習の巻(12分・35mm・白黒・無声)
‘33(横浜シネマ商会)(監)(画)村田安司(原)田河水泡(脚)青地忠三
三公と蛸(20分・35mm・白黒・無声)
‘33(横浜シネマ商会)(画)村田安司(原)(脚)青地忠三
漫画 お猿の大漁(11分・35mm・白黒)
‘33(横浜シネマ商会)(画)村田安司(原)(脚)青地忠三
のらくろ伍長(11分・35mm・白黒・無声)
‘34(横浜シネマ商会)(画)村田安司(原)田河水泡(脚)青地忠三
月の宮の王女様[改編版](11分・35mm・白黒)
‘34(横浜シネマ商会)(画)村田安司(原)(脚)青地忠三(音)三木鶏郎
居酒屋の一夜[改編版](8分・35mm・白黒)
‘36(横浜シネマ商会)(画)村田安司(原)今順太(音)三木鶏郎(オリジナルは古賀政男)
11 |
7/11(日)1:00pm |
7/28(水)7:00pm |
8/17(火)3:00pm |
政岡憲三(計121分)
若き日は時代劇俳優でもあった政岡憲三(1898-1988)は、セルを日本に導入し、初のフィルム式トーキー『力と女の世の中』(1932年)を生み出して、国産アニメ近代化の立役者となった。その代表作は、てんとう虫の少女を意地悪なクモから助ける花の物語『くもとちゅうりっぷ』、そして花と蝶のリリカルな世界を描いた戦後アニメの第一声『桜』である。とりわけ戦時下にありながら詩情に満ちた前者は、今も国産アニメの金字塔として揺るぎない評価を得ている。常に優雅さをたたえた政岡の作風は、敗戦後の浮浪児の問題から着想した「トラちゃん」シリーズにも活かされた。なお『茶釜音頭』は可燃性35mmプリント(トーキー)と16mmプリント(無声)をもとに、プラネット映画資料図書館の協力を得て新たに作成された最長版。
難船ス物語 第壱篇 猿ヶ嶋(24分・35mm・白黒・無声)
‘30(日活太秦漫画映画部)(画)政岡憲三(原)(脚)清水秀雄(撮)葭屋映治
茶釜音頭(10分・35mm・白黒)
‘34(政岡映画美術研究所)(監)(脚)政岡憲三(原)榎本三郎(画)熊川正雄、桑田良太郎、川島正義(撮)原田誠一
べんけい対ウシワカ(7分・35mm・白黒)
‘39(日本動画研究所)(監)政岡憲三(動)熊川正雄、桑田良太郎
フクチャンの奇襲(11分・35mm・白黒)
‘42(松竹動画研究所)(監)(撮)政岡憲三(動)桑田良太郎、熊川正雄、土井研二(音)浅井挙曄
くもとちゅうりっぷ(15分・35mm・白黒)
‘43(松竹動画研究所)(監)(脚)(撮)政岡憲三(原)横山美智子(動)桑田良太郎、熊川正雄、土井研二、山本三郎ほか(音)弘田竜太郎
桜(春の幻想)(8分・35mm・白黒)
‘46(日本漫画映画社)(監)政岡憲三(撮)西倉喜代治(音)ウェーバー
すて猫トラちゃん(21分・35mm・白黒)
‘47(日本動画=東宝教育映画)(監)政岡憲三(脚)佐々木富美男(音)服部正
トラちゃんと花嫁(15分・35mm・白黒)
‘48(日本動画)(監)政岡憲三(脚)松崎與志人(撮)藪下泰次(動)熊川正雄、中島清、林義雄ほか(音)服部正
トラちゃんのカンカン虫(10分・35mm・白黒)
‘50(日本動画)(監)政岡憲三(脚)松崎與志人(撮)藪下泰次(動)熊川正雄、安部幸毅、浜桂太郎ほか(音)坂本良隆(声)三枝君子、安斎愛子、村尾護郎
12 |
7/11(日)4:00pm |
8/13(金)7:00pm |
瀬尾光世[1](計89分)
プロキノで線画を担当した後、京都の政岡憲三のもとでトーキー・アニメーションを志した瀬尾光世(1911-)は、1933年には独立して日本マンガフィルム研究所を興す。人気のキャラクター「お猿の三吉」や「のらくろ」を次々と映画化、1937年には記録映画でも名高い芸術映画社に入社した。アリの子どもの改心を暖かく描いた秀作『アリチャン』は、後輩持永只仁が開発した四段多層式(マルチプレーン)の撮影台を使用して作られた最初の映画として知られる。
お猿の三吉 突撃隊(9分・35mm・白黒)
‘34(日本マンガフィルム研究所)(監)(画)瀬尾光世(撮)杉田三郎(音)西垣鉄雄
元禄恋模様 三吉とおさよ(8分・35mm・白黒・無声)
‘34(日本マンガフィルム研究所)(監)(画)瀬尾光世(音)西垣鉄雄
のらくろ二等兵(11分・35mm・白黒)
‘35(瀬尾発声漫画研究所)(監)(撮)(画)瀬尾光世(原)田河水泡(音)落合朝彦
のらくろ一等兵(10分・35mm・白黒)
‘35(瀬尾発声漫画研究所)(監)(撮)(画)瀬尾光世(原)田河水泡(音)落合朝彦
いなばの国の兎さん(7分・35mm・白黒・無声)
‘35(旭物産合資会社映画部)(監)(画)瀬尾光世
テク助物語(日の丸旗之助 山賊退治)(10分・35mm・白黒)
‘38(芸術映画社)(監)瀬尾光世、三木四郎(原)中島菊夫
あひる陸戰隊(13分・35mm・白黒)
‘40(芸術映画社)(監)(撮)(画)瀬尾光世(音)服部正
テク助物語 四十匹の狼[改編版](10分・35mm・白黒)
‘40(芸術映画社)(監)瀬尾光世(脚)栗原有蔵
アリチャン(11分・35mm・白黒)
‘41(芸術映画社)(監)(画)瀬尾光世(動)持永只仁(音)服部正
13 |
7/13(火)3:00pm |
7/29(木)7:00pm |
8/15(日)1:00pm |
瀬尾光世[2](計107分)
総スタッフたった4人、瀬尾が独力で約15万枚の動画を描いた『桃太郎の海鷲』と、敗戦間際に公開された日本初の長篇作品『海の神兵』はいずれも戦争アニメーションの白眉とされる。後者では、落下傘部隊のシーンのため実際の動きを徹底研究し、降下の扉から強い光線が飛び込んでくるカットでは国産動画で初めて透過光を使用するなど、リアリズムの表現が特徴的である。この『海の神兵』で「燃えつきてしまった」と語った瀬尾は、『王様のしっぽ』(1949年)を最後に動画の仕事から引退し、絵本作家となった。
桃太郎の海鷲(33分・35mm・白黒)
‘42(芸術映画社)(監)(撮)瀬尾光世(技術構成)持永只仁、田辺利彦、橋本珠子、塚本静世(脚)栗原有茂(音)伊藤昇
海の神兵(74分・35mm・白黒)
‘45(松竹動画研究所)(監)(脚)(撮)瀬尾光世(構)熊木喜一郎(影絵)政岡憲三(動)桑田良太郎、高木一郎、小幡俊治、木村一郎(音)古關裕而
14 |
7/13(火)7:00pm |
8/14(土)4:00pm |
大石郁雄と芦田巌(計102分)
キャラクターの変身につぐ変身が楽しいモダンな傑作、『動絵狐狸達引』で一躍注目された大石郁雄(1901‐1944)。松竹蒲田撮影所の字幕描きから独立、その後東宝の前身P.C.L.に吸収されてトーキー動画の世界に入った。ハリウッドの漫画映画(カートゥーン)にも劣らぬセンスが評価されたが、惜しくも太平洋戦争中に戦死しており、『ポン助の腕くらべ』は戦前作品の改編版と推測される。また大石門下の芦田巌は、P.C.L.を離れて自らの会社を興し、戦後まで粘り強い製作活動を続けたアニメーターである。特にアラビアン・ナイトの翻案『バグダッド姫』(上映は不完全版)はフルアニメーションによる苦心の力作である。
動絵狐狸達引(うごきえこりのたてひき)(11分・35mm・白黒)
‘33(P.C.L.漫画部)(監)(画)大石郁雄(画)市野正二、藤田浩
トーキーの話(10分・35mm・白黒)
‘36(P.C.L.)(監)(画)大石郁雄(撮)川口政一
森の五匹の動物たち(五匹の力)(7分・35mm・白黒)
‘37(芦田漫画製作所)(監)鈴木宏昌(芦田巌)
海國太郎 新日本島萬歳(8分・35mm・白黒)
‘38(三幸商会漫画部)(画)鈴木宏昌(芦田巌)、暮田博匡、船本衆司、福田里三郎
動物防諜戰(10分・35mm・白黒)
‘41(国光教育映画社)(監)(画)鈴木宏昌(芦田巌)、古沢秀雄(撮)下倉彌一郎
協力防空戦(10分・35mm・白黒)
‘42(宏昌漫画映画研究所)(構)(画)芦田宏昌(巌)(撮)鈴木京一(画)福田里三郎、大工原章、坂上信二
バグダッド姫(37分・35mm・白黒・不完全)
‘48(三幸映画社)(監)(原)芦田巌(撮)川西昭治(画)福田里三郎(音)服部良一
ポン助の腕くらべ(9分・35mm・白黒)
‘51(東宝教育映画)(画)大石郁雄、若林敏郎(音)池壤
15 |
7/14(水)3:00pm |
7/30(金)7:00pm |
8/21(土)1:00pm |
田中喜次と持永只仁(計113分)
プロキノの委託による反戦アニメ『煙突屋ペロー』の監督としても知られる京都J.O.漫画部出身の田中喜次(1907-1982)と、若き日は独力で多層式(マルチプレーン)アニメーション撮影台を開発し、終戦後は新生中国の映画人にアニメの技術を伝えた持永只仁(1919-1999)。帰国後の持永は、糸繰り(マリオネット)でも手操作(ギニョル)でもない一コマ撮りの人形アニメーションを志し、この分野の祖として田中とともにその発展に尽くした。川本喜八郎をはじめとする後続の作家たちにも強い影響を与えている。
煙突屋ペロー(23分・16mm・白黒)
‘30(童映社)(監)(原)(脚)田中喜次
オモチヤ箱シリーズ 第3話 絵本1936年(8分・35mm・白黒)
‘34(J.O.トーキー漫画部)(画)中野孝夫、田中喜次、永久義郎、西口羆、平泰陣
セロひきのゴーシユ(21分・35mm・白黒)
‘49(日本映画社)(監)(製)(脚)田中喜次(原)宮沢賢治(撮)鈴木喜代治(画)黒田外喜雄、岩村加代(音)坂本良隆
つるのはね(11分・35mm・白黒)
‘56(共同映画社=日本アニメーション映画社)(監)(脚)田中喜次(撮)久保田晃(構)(画)諸橋一、長井泰治、土屋史郎(音)林光
瓜子姫とあまのじゃく(18分・35mm・白黒)
‘56(電通映画社=人形映画製作所)(監)(脚)田中喜次(監)持永只仁(撮)岸次郎
五匹の子猿たち(16分・35mm・白黒)
‘56(電通映画社=人形映画製作所)(監)持永只仁(監)(脚)田中喜次(撮)岸次郎(美)吉田謙吉(音)加藤三雄
ちびくろ・さんぼのとらたいじ(16分・35mm・白黒)
‘56(電通映画社=人形映画製作所)(監)持永只仁(原)ヘレン・バーマン(脚)村治夫(撮)岸次郎(形)川本喜八郎(音)加藤三雄
16 |
7/14(水)7:00pm |
8/19(木)3:00pm |
佐藤吟次郎と「マー坊」シリーズ(計97分)
日中戦争から太平洋戦争の時期、コンスタントに発表された「マー坊」シリーズ。海軍省後援のもと、佐藤吟次郎と千葉洋路のコンビが生み出してきたこの冒険シリーズでは、当時の軍国思想と欧米への敵視が色濃くあぶりだされ、時には直接ルーズヴェルトやチャーチルといった敵国首脳が登場することもあった。
小鳥と兎(9分・35mm・白黒)
‘36(佐藤線映画製作所)(監)佐藤吟次郎、千葉洋路
マー坊の東京オリンピック大會(11分・35mm・白黒)
‘36(佐藤線映画製作所)(監)佐藤吟次郎、千葉洋路
マー坊の少年航空兵(10分・35mm・白黒)
‘37(佐藤線映画製作所)(監)佐藤吟次郎、千葉洋路(声)牧野周一
マー坊の大陸秘境探険(11分・35mm・白黒・不完全)
‘38(佐藤線映画製作所)(監)佐藤吟次郎(画)千葉洋路
マー坊の木下藤吉郎(11分・35mm・白黒)
‘38(佐藤線映画製作所)(監)佐藤吟次郎、千葉洋路
マー坊の鉄血陸戦隊(11分・35mm・白黒)
‘41(佐藤線映画製作所)(監)千葉洋路(声)牧野周一
マー坊の大陸宣撫隊 前篇(17分・35mm・白黒)
‘41(佐藤線映画製作所)(監)千葉洋路(声)牧野周一
マー坊の南海奮戰記(12分・35mm・白黒)
‘42(佐藤線映画製作所)(監)千葉洋路
マー坊の落下傘部隊(5分・35mm・白黒・不完全)
‘43(佐藤線映画製作所)(監)千葉洋路(撮)(画)佐藤吟次郎
17 |
7/15(木)3:00pm |
8/17(火)7:00pm |
片岡芳太郎と「お猿の三吉」シリーズ(計84分)
横浜シネマ商会の漫画映画に、強い助っ人として現れたアニメーターが、日本画の素養もある漫画家片岡芳太郎である。その初期の代表作は、タヌキ軍団を相手にヒーローが奮闘する愉快な時代劇アニメ『證城寺の狸囃子 塙団右衛門』。また、最初は瀬尾光世が手がけた「お猿の三吉」シリーズは、片岡に引き継がれて人気シリーズとしての命脈を保った。戦後は新開発の色彩映画システム「コニカラー」に協力してカラーにも挑戦しながら、貸本漫画の作家としても活動したという。
漫画 おい等の生命線(9分・35mm・白黒・無声)
‘34(横浜シネマ商会)(画)片岡芳太郎、村田安司(脚)笹本喜太郎
漫画 證城寺の狸囃子 塙団右衛門(塙団右衛門 化物退治の巻)(10分・35mm・白黒)
‘35(日本マンガフィルム研究所)(画)片岡芳太郎(原)(脚)魔須多和光(音)西垣鉄雄
漫画 芋と兵隊(11分・35mm・白黒)
‘42(塚本興業)(画)(撮)片岡芳太郎(音)福田宗吉
魔法の靴(7分・35mm・カラー)
‘51(日本色彩映画=片岡プロ)(監)(脚)片岡芳太郎(音)竹岡信幸
浦島太郎(5分・35mm・カラー)
‘52(日本視覚教材=日本色彩映画)(監)片岡芳太郎(脚)村上良哉(撮)山田耕造(画)上金史明、海江田妙子、岡本眞佐子、阿部正明ほか(音)竹岡信幸
お猿三吉 僕等の海兵団(10分・35mm・白黒・無声・不完全)
‘41(日本マンガフィルム研究所)(画)片岡芳太郎
お猿の三吉 防空戦(11分・35mm・白黒)
‘42(日本マンガフィルム研究所)(画)片岡芳太郎
お猿三吉 鬪ふ潜水艦(12分・35mm・白黒)
‘43(日本マンガフィルム研究所)(監)山根幹人(画)(撮)片岡芳太郎(音)西垣鉄雄
お猿三吉 奮戰記(9分・35mm・白黒)
‘43(日本マンガフィルム研究所)(画)片岡芳太郎
18 |
7/15(木)7:00pm |
8/1(日)4:00pm |
8/24(火)3:00pm |
荒井和五郎(計101分)
歯科医という本業を持ちながら1939年にデビュー、続いてオペラ「蝶々夫人」をベースにした気品ある影絵映画『お蝶夫人の幻想』を発表し、当時の動画界を驚かせた異色のアマチュア作家荒井和五郎(1907-1995)。彼を影絵の世界に導いたのは、ロッテ・ライニガーによるドイツの名作『アクメッド王子の冒険』(1926年)だったという。相棒飛石仲也とともに一作毎にその幻想的な作風を深化させていったが、飛石の戦死を契機に引退した。なお『お蝶夫人の幻想』では作詩・作曲・独唱を伝説の歌手三浦環が受け持っている。
お蝶夫人の幻想(12分・16mm・白黒)
‘40(朝日映画)(構)(撮)荒井和五郎、飛石仲也(音)三浦環
影繪映画 ジャックと豆の木(15分・16mm・白黒・無声)
‘41(朝日映画)(構)(原)(撮)荒井和五郎、飛石仲也(音)福田宗吉
影繪映画 かぐや姫(25分・16mm・白黒・無声)
‘42(朝日映画)(構)(原)(撮)荒井和五郎、飛石仲也(音)小船幸次郎
ニッポンバンザイ(11分・35mm・白黒)
‘43(朝日映画)(構)三上良二、永富映次郎(原)米山忠雄(影絵)荒井和五郎、飛石仲也(画)前田一、木村一郎、浅野匠(音)飯田景応、若松巌(声)関屋五十二
マッチ賣りの少女(10分・35mm・白黒)
‘47(日本漫画映画社)(監)(脚)荒井和五郎(音)安倍盛
椰子の実(10分・35mm・白黒)
‘47(新世界映画社)(監)(画)荒井和五郎(音)大中寅二
お花のおひめさま(18分・35mm・白黒)
‘48(日本教育映画社)(監)(画)荒井和五郎
19 |
7/16(金)3:00pm |
8/22(日)1:00pm |
熊川正雄と桑田良太郎(計96分)
政岡憲三に師事して動画の基礎を学んだ熊川正雄(1916-)と桑田良太郎は、その上品な絵柄で国産アニメーションの優雅な系譜を形作った作家であり、そのスタイルは戦時中の『鬪球肉彈戰』にあっても崩れることはなかった。復員後日本動画に仕事場を得た熊川は、不思議なペンをもらった戦災孤児が焼け跡を新しい都市に描き直してゆく『魔法のペン』を発表、続いて鉄道の安全を訴える代表作『ぽっぽやさん のんき駅長の巻』で気を吐いた。
マングワ 新猿蟹合戦(11分・35mm・白黒・無声)
‘39(日本動画研究所)(監)政岡憲三(実際は熊川正雄)(画)宮下万三
かんがーるの誕生日(7分・35mm・白黒・無声)
‘40(日本映画科学研究所)(原画)熊川正雄(原)木村阿弥子(撮)木村角山(動)桑田良太郎、土井研二、岡本庚、吉村祥
動物となり組(10分・35mm・白黒)
‘41(日本映画科学研究所)(原画)熊川正雄(脚)桑田良太郎(撮)木村角山
金太郎(9分・35mm・白黒)
‘41(日本映画科学研究所)(原画)(脚)桑田良太郎(動)熊川正雄、土井研二、岡本庚、吉村祥ほか(撮)木村角山(音)武政英策
鬪球肉彈戰(15分・16mm・白黒)
‘43(松竹動画研究所)(監)桑田良太郎(脚)高木一郎(撮)本庄吉雄(動)熊川正雄、土井研二、山室正男ほか(音)呉泰次郎
魔法のペン(11分・16mm・白黒)
‘46(京都映画社)(監)熊川政雄(原)(脚)寿々喜多呂九平(撮)山口別弘(動)宇野一路、浜江蓉
ぽっぽやさん のんき駅長の巻(13分・35mm・白黒)
‘48(日本動画)(監)熊川政雄(脚)松崎與志人(撮)籔下泰司(動)安部幸毅、濱桂太郎、森康二(音)坂本良隆
のんき機関士(11分・35mm・白黒)
‘49(東宝教育映画=日本動画)(監)熊川正雄(脚)松崎與志人(撮)藪下泰司(動)浜桂太郎、安部幸毅、古沢秀雄、福井英一、もりやすじ(音)坂本良隆
動物大野球戰(9分・35mm・白黒)
‘49(日本動画)(監)藪下泰司、熊川正雄(脚)桑木良三(音)坂本良隆(声)木下華声
20 |
7/16(金)7:00pm |
8/1(日)1:00pm |
8/18(水)3:00pm |
横山隆一[1](計72分)
「フクチャン」など、戦前期から第一線の漫画家として知られてきた横山隆一(1909-2001)は、1955年鎌倉市におとぎプロを旗揚げ、戦後のアニメーション界に新風を送り込んだ。横山はあくまで趣味的に、手作りのアニメ製作を進めたいという考え方であったが、彼が「生まれつきの天才アニメーター」と呼ぶ鈴木伸一の加入とともにおとぎプロの活動は急速に発展する。異色作『プラス50000年』は、ひねりの利いた視点から人類の奇想天外な未来を予測した一種のSFアニメーションである。
フクチャンの潛水艦(30分・35mm・白黒)
‘44(朝日映画社)(監)(原)横山隆一(監)関屋五十二(脚)滋野辰彦(撮)持永只仁(動)前田一
ふくすけ(18分・35mm・カラー)
‘57(おとぎプロ)(監)(原)(撮)横山隆一(動)町山充弘、鈴木伸一、前田一(音)服部良一
プラス50000年(10分・35mm・カラー)
‘61(おとぎプロ)(監)(構)(動)鈴木伸一(動)秦泉寺博、町山充弘、山田幸弘、斉藤博、滝口明治、壬生理
五万匹(各3分30秒[計14分]・16mm・白黒)
第7作「へんないのしし」、第8作「怪しいこぶ」、第13作「大豚走」、第21作「浮きかば」
‘62‐65(おとぎプロ)
21 |
7/17(土)1:00pm |
8/18(水)7:00pm |
横山隆一[2](計69分)
ひょうたんから真っ黒なお化けが生まれるラストの妖しい描写が圧巻の『ひょうたんすずめ』は、劇場公開に踏み切った東宝の希望でシネマスコープ・サイズの長篇になった力作。また動物を主人公にした連作『五万匹』は、作家大岡昇平が音楽を担当したことでも特筆される愛らしいショート・ショート集で、後にテレビでも放映された。全100話の一部を上映する。
ひょうたんすずめ(55分・35mm・カラー)
‘59(おとぎプロ)(監)(原画)横山隆一(撮)小松義孝、岡田英美子、大久保宏(動)鈴木伸一、町山みつひろ、秦泉寺博、山本栄一ほか(音)宅孝二
五万匹(各3分30秒[計14分]・16mm[「口鍵」のみ35mm]・白黒)
第29作「かみつきサボテン」、第32作「口鍵」、第46作「雪牛」、第48作「空飛ぶ狐」
‘62‐65(おとぎプロ)
22 |
7/17(土)4:00pm |
8/4(水)3:00pm |
8/19(木)7:00pm |
薮下泰司(計74分)
文部省に勤務後、山本早苗や政岡憲三のもとで動画作りを学んだ薮下泰司(1903-1986)。清水崑の人気キャラクターを用いた『かっぱ川太郎』で衆目を集め、東映教育映画部の下請けとして作られた『うかれバイオリン』は東映が動画に踏み出す契機にもなった。そして東映動画(今の東映アニメーション)の第1回企画『こねこのらくがき』は、壁に落書きされた汽車が動き出して、猫とねずみの追いかけごっこの舞台になる愉快な一本。森康二が描いた仔猫は、以後も『長靴をはいた猫』(1969年)などに“出演”し、同社のスターとして長く愛された。
かっぱ川太郎(18分・35mm・白黒)
‘54(三井芸術プロ)(監)薮下泰司(原)清水崑(脚)飯沢匡(撮)高城秦策、石川高明、山田耕造(画)古沢日出夫(動)森康二、市野正二、近藤進、諸橋一、長井泰治ほか(音)服部正(声)阿里道子
うかれバイオリン(13分・35mm・カラー)
‘55(日動映画)(監)(脚)薮下泰司(撮)高城秦策、石川光明(原画)大工原章、森康二、古沢日出夫(動)市野正二、長沼寿美子、若松一、岡田弥生、内山孝(音)坂本良隆
一寸法師(15分・16mm・白黒)
‘56(日動映画)(監)(脚)薮下泰司(撮)石川光明、田島実(原画)大工原章(動)市野正二、長沼すみ子、岡田弥生ほか(音)横田昌久
黒いきこりと白いきこり(16分・35mm・カラー)
‘56(日動映画)(監)薮下泰司(原)浜田廣介(脚)森康二(撮)石川光明、佐倉紀行(原画)森康二、熊川正雄(動)大工原章、市野正二、長沼寿美子、進藤進、内山孝、寺千賀雄(音)斎藤高順
こねこのらくがき(12分・35mm・白黒)
‘57(東映教育映画部)(監)薮下泰司(撮)石川光明(画)森康二、大工原章、市野正二、長沼寿美子、内山孝ほか(音)伊藤宣二
23 |
7/18(日)1:00pm |
8/20(金)7:00pm |
戦前・戦中作品集[1](計67分)
無声映画の時代から高まっていたアニメーション作りの機運は、上記パイオニアたちの仕事に止まるものではない。童謡歌手平井英子の歌った女子小学生の生活を、歌詞のまま漫画映画に構成した『茶目子の一日』(残念ながら無声)、村山籌子・知義の才人カップルによる洒脱な童話から生まれたモダニズムの粋『三匹の小熊さん』、アメリカの名キャラクターを使った小型映画作家荻野茂二の9.5mm映画『FELIXノ迷探偵』(35mmブローアップ版)など、国産アニメの様々な胎動を紹介する。
茶目子の一日(5分・35mm・白黒・無声)
‘31(協力映画製作社)(監)西倉喜代治
あめや狸(4分・35mm・白黒・無声)
‘31(十字屋小型映画部)
三匹の小熊さん(10分・35mm・白黒・無声)
‘31(婦人之友社)(監)岩崎昶(原)村山籌子(画)村山知義(撮)並木晋作
FELIXノ迷探偵(9分・35mm・白黒・無声)
‘32(監)荻野茂二
漫画の列国陸軍(28分・35mm・白黒・無声・不完全)
‘32(桜井映画製作所)
與七郎の敬禮(11分・35mm・白黒・無声)
‘33(文部省)(画)木村白山
24 |
7/18(日)4:00pm |
8/24(火)7:00pm |
戦前・戦中作品集[2](計73分)
1930年代の後半から太平洋戦争期にかけての諸作。「火の玉小僧」シリーズや『海の小勇士』は、後の1947年に手塚治虫とともに漫画「新宝島」を送り出した酒井七馬がアニメーターだった時代の珍しい作品。また、日本映画の巨匠市川崑は、「シリー・シンフォニー」シリーズなどのディズニー漫画映画(カートゥーン)に心酔して京都J.O.スタジオの漫画部に入ったのが映画界入りのきっかけであった。市川の動画作品のうち、唯一残存している『新説カチカチ山』を上映する。
忍術 火の玉小僧 江戸の巻(10分・35mm・白黒)
‘35(日活京都漫画部)(監)(画)田中與志(画)舟木俊一、永久博郎、酒井七馬ほか(音)白木義信
火の玉小僧 山賊退治(9分・35mm・白黒)
‘35(日活京都漫画部)(監)田中與志(画)細井太郎、酒井七馬、永久博郎ほか(音)白木義信
新説カチカチ山(6分・35mm・白黒)
‘36(J.O.トーキー漫画部)(画)(脚)(撮)市川崑(音)西山明男
お日様と蛙(10分・35mm・白黒・無声)
‘36(横浜シネマ商会)(監)(画)宮下萬三(原)杉山省三
凧さわぎ[改編版](10分・35mm・白黒・無声)
‘36(オールキネマ社)(監)西倉喜代治
漫画 夢の招集令(9分・35mm・白黒)
‘38(三幸商会)
チュウ児の羽衣(11分・16mm・白黒・無声)
‘41(土田商会)(画)(撮)山口貞三
發声漫画 海の小勇士(8分・35mm・白黒)
‘42(日本映画科学研究所)(原)(動)酒井七馬(撮)木村角山(画)大阪マンガ會(音)野村直弘
25 |
7/20(火)3:00pm |
8/21(土)4:00pm |
戦後作品集[1](計112分)
敗戦を経て、国産アニメーションは教育映画の分野に生き残りを賭けた。東宝教育映画などを根城に、作家たちが集合離散を繰り返しながら新しいアニメを模索した時代の力作を紹介する。早坂文雄によるフルオーケストラの音楽を得た『ムクの木の話』は、四季の移り変わりを生きる一本の老木に新時代への希望を託した作品。また「キツネ」シリーズはこの時期のヒット作、『鶏になったポチ』は時代劇の才人寿々喜多呂九平が演出にあたったという珍しい一本である。
森の鍛冶屋(8分・35mm・白黒)
‘46(日本短篇映画社)(監)(原)土井研二(脚)山室正男(撮)浅野完(画)林修ほか(音)弘田龍太郎
カチカチ山の消防隊(7分・35mm・白黒)
‘47(日本漫画映画社)(監)(画)小幡俊治(原)小鯖英一(脚)村田安司(音)西垣鉄雄
ムクの木の話(20分・35mm・白黒)
‘47(東宝教育映画)(監)(脚)丸山章治(撮)山田耕造(動)若林敏郎、上野武雄(音)早坂文雄
にわとりと友達(14分・35mm・白黒)
‘47(日本教育映画社)(監)前田一
キツネとヒヨコ(8分・35mm・白黒)
‘47(近代映画)(監)森野佐登志(浅野恵)(原)小柳耕二(撮)枝島昭(画)里見修
キツネとサーカス(9分・35mm・白黒)
‘48(近代映画)(監)森野佐登志(浅野恵)(原)小柳耕二(撮)枝島昭(画)里見修
キツネと子守唄(7分・35mm・白黒)
‘48(近代映画)(監)森野佐登志(浅野恵)(原)小柳耕二(撮)枝島昭(画)里見修
まさかりかついで(6分・35mm・白黒)
‘48(日本漫画映画社)(監)古澤日出夫(原)上金好祐(撮)喜多村保(音)伊藤宣二
鶏になったポチ(8分・35mm・白黒)
‘48(京都映画)(監)(脚)寿々喜多呂九平(撮)木村久次郎(動)神脇隼男、小沼武、福森繁(音)高橋半
古池繪巻 蛙と狐(9分・35mm・白黒)
‘49(東宝教育映画)(原)(監)西尾善行(撮)山田耕造(原画)山田順治(画)琴寄金二、鈴木淳夫、奈良次雄(動)上野武夫(音)安倍盛
小人とあお虫(16分・16mm・白黒)
‘50(東宝教育映画=日本動画社)(監)古沢秀雄(原)肥塚あきら(脚)松崎與志人(撮)東理仁朗(画)熊川正雄、浜康雅、もりやすじ、北島道雄、小幡俊治(音)坂本良隆
26 |
7/20(火)7:00pm |
8/22(日)4:00pm |
戦後作品集[2](計92分)
多くの動画スタッフを擁した日本動画社は1952年に日動映画に改編され、芦田巌のもとから旅立った大工原章など、力量あるアニメーターたちがこの日動でキャリアを積んでいる。さらに東映による教育映画部の設立は、国産アニメーションの刷新を準備した。動物漫画で人気の花野原芳明に白羽の矢が立った『かっぱのぱあ太郎』など、大飛躍前夜の作品をまとめて上映する。
ありとはと(15分・35mm・白黒)
‘53(日動映画)(監)(脚)湯原甫(画)古沢日出夫、森やすじ(動)進藤進、新城一ほか(撮)高城泰策、石川光明(音)坂本良隆
トラちゃんの冒険(14分・35mm・白黒)
‘55(日動映画)(監)(脚)湯原甫(撮)高城泰策、石川光明(画)大工原章(動)長沼寿美子、若松一、岡田弥生、内山孝(音)坂本良隆
王女とゆびわ 印度詩劇「シャクンタラー姫」より(15分・35mm・カラー)
‘56(東映教育映画部)(監)(脚)上原信(撮)佐藤昌道(音)森健二
かっぱのぱあ太郎(13分・35mm・白黒)
‘57(東映教育映画部)(監)(原画)花野原芳明(補佐)熊川正雄(撮)森武雄(動)笹山茂、野沢和夫、内山孝ほか(音)伊藤宣二
こうもり[白黒版](9分・16mm・白黒)
‘58(中井プロ)(画)上野武夫(脚)中井金兵衛(動)東喜三郎、田中和男、井山忠行ほか(音)吉沢博
ポロンギター(26分・16mm・カラー)
‘59(学習研究社)(監)(脚)小野豪(撮)中村聖、平井寛(形)高山良策、佐々木章、加藤清治(動)有馬征子、新免郁子、千原玲子(音)林光(声)川久保潔、須永宏、加藤玉枝、伊島幸子
27 |
7/21(水)3:00pm |
8/3(火)7:00pm |
8/28(土)1:00pm |
長篇カラー動画の誕生[1]
中国の民話に題材を採り、青年と白蛇の精である娘との恋愛をロマンティックに描いた、薮下泰司の演出による日本初の長篇カラー・アニメーション。1956年に日動映画を吸収して「東洋のディズニー」を名乗った東映動画にとって、動画6万5000枚という本作は新時代を画する偉業となった。当時の日本ではあまり知られなかったパンダなど、動物キャラクターのコメディ・リリーフも素晴らしい。
白蛇伝(79分・35mm・カラー)
‘58(東映動画)(監)(脚)薮下泰司(原)上原信(脚)矢代静一(撮)塚原孝吉、石川光明(原画)大工原章、森康二(動)大塚康生、坂本雄作、喜多真佐武、紺野修司、中村和子、寺千賀雄ほか(美)岡部一彦、橋本潔(音)木下忠司、池田正義、鏑木創(声)森繁久弥、宮城まり子
28 |
7/21(水)7:00pm |
7/30(金)3:00pm |
8/29(日)1:00pm |
長篇カラー動画の誕生[2]
東映動画のカラー長篇第2作は、檀一雄の新聞連載小説をベースに、戸隠山で忍術を極めた佐助が、山賊とともに悪事をはたらく妖術使い夜叉姫を倒す時代劇アニメーション。映画の大型化の波を受けてシネマスコープ・サイズを導入した本作は、東映の俳優たちを声の出演に起用し、ミュージカルの趣もある作品に仕上がっている。
少年猿飛佐助(83分・35mm・カラー)
‘59(東映動画)(監)(脚)薮下泰司、大工原章(原)檀一雄(脚)村松道平(撮)大塚晴郷、石川光明、山本明生(原画)大工原章、古沢日出夫、大塚康生、森康二、熊川正雄(動)楠部大吉郎、寺千賀雄、中村和子、紺野修司、喜多真佐武、杉山卓ほか(美)進藤誠吾(音)船村徹(声)中村賀津雄、桜町弘子、宮崎照男、松島トモ子、薄田研二、赤木春恵、吉田義夫、堺駿二
29 |
7/22(木)3:00pm |
8/3(火)3:00pm |
8/29(日)4:00pm |
長篇カラー動画の誕生[3]
漫画界の巨星手塚治虫の「ぼくのそんごくう」を下敷きに、手塚本人が陣頭指揮を執り、キャラクター設定と絵コンテ、ストーリーボードまで作ったという記念碑的な一本。黒澤明映画でも知られる植草圭之助がシナリオを書いたが、ナンセンスなギャグもふんだんに詰め込まれ、最後には孫悟空と牛魔王の痛快な対決シーンへと至る。その後手塚は虫プロダクションを設立、漫画執筆の傍らテレビアニメ量産の道を歩んでゆく。
西遊記(88分・35mm・カラー)
‘60(東映動画)(監)薮下泰司(監)(構)手塚治虫(脚)植草圭之助(撮)大塚晴郷、石川光明、杉山健児(原画)森康二、熊川正雄、大塚康生、大工原章、古沢日出夫(動)紺野修司、喜多眞佐武、楠部大吉郎、奥山玲子、寺千賀雄、月岡貞夫ほか(美)矢野雅章、沼井肇(音)服部良一(声)小宮山清、新道乃里子、木下秀雄、篠田節夫、関根信昭、白坂道子、武田国久、尾崎勝子、加藤玉枝、巌金四郎
30 |
7/23(金)3:00pm |
8/7(土)4:00pm |
8/26(木)7:00pm |
岡本忠成[1](計79分)
手作りによる個性豊かな短篇作品で、わが国におけるアニメーションの歴史に大きな足跡を残した岡本忠成。『ふしぎなくすり』は岡本が(株)エコーを設立して手がけた最初の作品。星新一の短篇を原作とする他の3本とともに、デフォルメされたキャラクターやスピーディな動きで従来の「人形映画」のイメージを覆して話題を呼んだ。また、既製曲に合わせて作られた「うたのシリーズ」では荒々しい木彫りの人形からペーパークラフトまで作品ごとに異なる素材を試み、初のセルアニメ『チコタン』でも濃度の高い絵の具による塗りムラを残しながらクレヨンのタッチを加えるという手間のかけかたで表現の限界に挑んでいる。
ふしぎなくすり(14分・16mm・カラー)
‘65(電通映画社)(監)(動)岡本忠成(原)星新一(脚)村治夫(撮)吉岡謙(形)田畑精一、保坂純子(動)園哲太郎、マガリ文子(音)真鍋理一郎
ようこそ宇宙人(14分・16mm・カラー)
‘66(電通映画社)(監)(動)岡本忠成(原)星新一(脚)村治夫(撮)吉岡謙(形)田畑精一、保坂純子(動)及川功一、マガリ文子(音)広瀬量平(声)眞理よし子、明石一、香山裕、滝口順平、白石冬美
キツツキ計画(15分・16mm・カラー)
‘66(電通映画社)(監)(動)岡本忠成(原)星新一(脚)村治夫(撮)吉岡謙(形)田畑精一、保坂純子(動)及川功一(音)広瀬量平(声)中村正、近石眞介
《うたのシリーズ》
十人の小さなインディアン(2分・35mm・カラー)
‘68(エコー)(監)(脚)(動)岡本忠成(撮)吉岡謙(形)田畑精一、保坂純子(動)及川功一、上原隆蔵、見米豊(音)来宮洋一
おじいちゃんが海賊だった頃(4分・35mm・カラー)
‘68(エコー)(監)(脚)(動)岡本忠成(撮)吉岡謙(形)田畑精一、保坂純子(動)及川功一(音)横山菁児
ホーム・マイホーム(4分・35mm・カラー)
‘70(エコー)(監)(脚)岡本忠成(撮)吉岡謙、田村実(形)保坂純子(動)田畑博司、真賀里文子(音)横山菁児
花ともぐら(15分・35mm・カラー)
‘70(学習研究社)(監)(脚)岡本忠成(原)星新一(脚)坂間雅子、来道子(撮)吉岡謙、田村実(形)田畑精一、保坂純子、斉藤堅(動)見米豊、真賀里文子、及川功一ほか(音)広瀬量平(声)岸田今日子
チコタン ぼくのおよめさん(11分・35mm・カラー)
‘71(学習研究社)(監)(脚)岡本忠成(脚)坂間雅子、来道子(脚)(撮)田村実(撮)吉岡謙(動)真賀里文子、秦泉寺博、及川功一(美)小前隆、徳山正美、数藤雅三(音)南安雄
31 |
7/23(金)7:00pm |
8/7(土)1:00pm |
8/25(水)3:00pm |
岡本忠成[2](計68分)
変化に富んだアニメーションの素材や技法とともに、音楽や語りが表現の中に大きな比重を占めているのも岡本作品の大きな特徴である。『モチモチの木』では和紙による半立体の人形に浄瑠璃調の語り、『南無一病息災』では絵馬をイメージした杉板の人形に及川恒平のフォークソングという組み合せがついには高度な様式を確立するに至っている。桂朝丸(現・桂ざこば)の創作落語「動物いじめ」にヒントを得て作られた「人間いじめ」シリーズでは、関西弁によるたたみかけるような語りとイラストマーカーを使い激しいタッチで描かれたセル画が圧倒的な迫力を生んでいる。
12月のうた(2分・16mm・カラー)
‘71(エコー)(監)(脚)岡本忠成(撮)吉岡謙、田村実(画)小前隆、若佐ひろみ(動)秦泉寺博(音)小室等
日本むかしばなし さるかに(19分・35mm・カラー)
‘72(学習研究社)(監)(脚)岡本忠成(撮)吉岡謙、田村実(形)田畑精一、保坂純子、数藤雅三(動)真賀里文子、見米豊(音)廣瀬量平(声)入江洋佑、木村幌、新井和夫、大森孝、桜井ゆう子
モチモチの木(17分・35mm・カラー)
‘72(エコー)(監)(脚)(動)岡本忠成(原)斎藤隆介(撮)吉岡謙、田村実(形)保坂純子、若佐ひろみ、数藤雅三(動)藤森誠代、尾崎良(音)鶴沢清治(声)豊竹呂大夫
南無一病息災(18分・35mm・カラー)
‘73(エコー)(監)(脚)岡本忠成(原)斉藤隆介(撮)吉岡謙、田村実(形)保坂純子、数藤雅三、若佐ひろみ(動)荒木靖一、藤森誠代、秦泉寺博(音)(声)及川恒平
《「人間いじめ」シリーズ》
旅は道連れ世は情(2分・35mm・カラー)
‘73(エコー)(監)岡本忠成(撮)吉岡謙、田村実(画)小前隆、徳山正美(動)秦泉寺博、荒木靖一(声)桂朝丸(ざこば)
うらめしでんわ(3分・35mm・カラー)
‘75(エコー)(監)岡本忠成(撮)田村実(画)小前隆、若佐ひろみ、峰岸裕和、槇坂千鶴子(動)秦泉寺博、吉田悟ほか(声)桂朝丸
サクラより愛をのせて(3分・35mm・カラー)
‘76(エコー)(監)岡本忠成(撮)田村実(画)東川洋子(動)吉田悟(声)桂朝丸
おしずかに(4分・35mm・カラー)
‘80(エコー)(監)岡本忠成(撮)神部彰(動)吉田悟ほか(声)桂朝丸
32 |
7/24(土)1:00pm |
8/5(木)7:00pm |
8/27(金)3:00pm |
岡本忠成[3](計72分)
『小さな五つのお話』は、それぞれに作風の異なるセルアニメと人形アニメからなるオムニバス作品。このうちの4話は岡本自身によるオリジナルで、日常に潜む社会問題へと鋭い眼差しが向けられている点も注目される。沖縄海洋博の展示映像用に製作された『水のたね』(オリジナルでは35mmと16mm、スライドを併用する上映方式がとられたが今回の上映プリントは一画面用の再編集版)はローケツ染めによる布製の人形、『あれはだれ?』は毛糸の人形(半立体)を採用。岡本が試みた多彩な表現は、6作品を担当したNHK「みんなのうた」にも生かされており、イラストマーカーや毛糸、粘土などの素材を歌の内容に応じて自在に使い分けている。
小さな五つのお話(20分・35mm・カラー)
‘74(エコー)(監)(原)岡本忠成(原)東君平(撮)田村実(形)保坂純子、若佐ひろみ(画)吉田悟、今中誠ほか(動)秦泉寺博、吉良敬三、尾崎良(美)小前隆、若井丈児ほか(音)クニ河内(声)岸田今日子
水のたね(19分・16mm・カラー)
‘75(エコー)(監)(脚)岡本忠成(撮)田村実(形)保坂純子、若佐ひろみ、石井寿美恵(動)藤森誠代、尾崎良、秦泉寺博、荒木靖一、吉田悟、峰岸裕和ほか(音)広瀬量平(声)岸田今日子
あれはだれ?(21分・16mm・カラー)
‘76(エコー=日本記録映画研究所)(監)(脚)おかもとただなり(撮)たむらみのる(形)ほさかすみこ(動)おざきりょう、ふじもりまさよ、よしださとる、みねぎしひろかず、おおむかいときこ(音)ひぐちやすお(声)きしだきょうこ
《NHK「みんなのうた」》
オナカの大きな王子さま(2分・35mm・カラー)
‘75(NHK=エコー)(監)(脚)岡本忠成(撮)田村実(動)秦泉寺博、吉田悟、指田英二、峰岸裕和(音)小椋佳
シンフォニック・バリエーション(2分・35mm・カラー)
‘76(NHK=エコー)(監)(脚)岡本忠成(撮)田村実(形)保坂純子(動)藤森誠代、峰岸裕和(音)オスカー・ブランド
雪の日のたより(2分・35mm・カラー)
‘77(NHK=エコー)(監)(脚)岡本忠成(撮)田村実(動)峰岸裕和(音)南安雄
ロバちょっとすねた(2分・35mm・カラー)
‘83(NHK=エコー)(監)(脚)(動)岡本忠成(撮)田村実(形)渡辺雅子、中島佳子(動)長崎希(音)中村勝彦
メトロポリタン・ミュージアム(2分・35mm・カラー)
‘84(NHK=エコー)(監)(脚)(動)岡本忠成(撮)田村実(形)若佐ひろみ、中島佳子(動)長崎希(音)大貫妙子
コロは屋根のうえ(2分・35mm・カラー)
‘86(NHK=エコー)(監)(脚)(動)岡本忠成(撮)田村実(形)若佐ひろみ(動)長崎希、石田卓也(音)大貫妙子
33 |
7/24(土)4:00pm |
8/6(金)3:00pm |
8/25(水)7:00pm |
岡本忠成[4](計75分)
人形造形とならび岡本作品を語る上で欠かすことのできないのが美術である。小泉八雲の怪談噺にもとづく『ちからばし』では紗を重ねた山水画様式の背景、『虹に向って』では古文書などの調査をもとに作られた橋のセットや、ガラス板にエアブラシで描いた激流の飛沫が一大景観を作り上げている。『鬼がくれ山のソバの花』では日本画の様式を取り入れるため、木工用パテを塗り絵の具を染み込ませたセル画に、墨で描かれた和紙の背景を組み合わせている。なお本作の声優には常連の岸田今日子に加え長岡輝子が登場。方言による語りが作品に独特の味わいを与えている。
ちからばし(11分・35mm・カラー)
‘76(エコー)(監)(脚)岡本忠成(原)小泉八雲(撮)田村実(形)保坂純子(動)尾崎良、峰岸裕和、大向とき子(音)鶴沢清治(声)岸田今日子
虹に向って(18分・35mm・カラー)
‘77(電通=電通映画社)(監)(脚)岡本忠成(原)大川悦生(脚)永倉薫平、東川洋子(撮)田村実(形)保坂純子ほか(動)藤森誠代、峰岸裕和、秦泉寺博ほか(音)及川恒平(声)岸田今日子
りすのパナシ(22分・35mm・カラー)
‘78(電通=電通映画社)(監)(脚)おかもとただなり(原)リダ・フォシェ(脚)ひがしかわようこ、ながくらくんぺい(撮)たむらみのる、いたみくにひこ(形)まきさかちずこ、ひがしかわようこ他(動)ふじもりまさよ、おざきりょう他(音)ひぐちやすお他(声)きしだきょうこ
鬼がくれ山のソバの花(24分・35mm・カラー)
‘79(電通=電通映画社)(監)(脚)岡本忠成(原)小暮正夫(脚)永倉薫平、東川洋子(撮)田村実、宮沢みきお(動)河田章子、長崎希、成川裕子ほか(美)小野沢節子ほか(音)半田淳子、赤尾三千子ほか(声)長岡輝子、岸田今日子、鎗田順吉
34 |
7/25(日)1:00pm |
8/6(金)7:00pm |
8/26(木)3:00pm |
岡本忠成[5](計70分)
インドの昔話に材をとった『白い象』は人形の素材に皮を用い、構図にはインド絵画を思わせる美術様式を取り入れた異色作。神沢利子の同名童話を原作とする『ふらいぱんじいさん』は岡本作品としては初めてのクレイ・アニメである。イタコの婆さまときつねの情愛を描いた『おこんじょうるり』は、張り子や泥人形の質感を生かした人形、劇中で歌われる浄瑠璃、長岡輝子による津軽弁の語りなどが渾然一体となった岡本アニメーションの集大成。芸術祭大賞のほか大藤賞やキネマ旬報ベストテン文化映画部門第1位などこの年の各賞を総なめにした。
白い象(23分・35mm・カラー)
‘81(東映教育映画部=エコー)(監)(脚)岡本忠成(原)花岡大学(脚)東川洋子(撮)神部彰ほか(形)保坂純子ほか(動)吉田悟、長崎希ほか(音)広瀬量平(声)岸田今日子、草野大悟
ふらいぱんじいさん(21分・35mm・カラー)
‘81(電通)(監)(脚)岡本忠成(原)神沢利子(脚)東川洋子、永倉薫平(撮)田村実(形)保坂純子、渡辺静子、阿彦よし子、若佐ひろみ(動)長崎希、吉田悟、渡辺雅子、中島佳子、横川たか子(音)広瀬量平(声)岸田今日子、草野大悟
おこんじょうるり(26分・35mm・カラー)
‘82(桜映画社=エコー)(監)(脚)岡本忠成(原)さねとうあきら(撮)田村実、伊丹邦彦(形)保坂純子ほか(動)藤森誠代、長崎希、吉田悟ほか(音)橋祐次郎、堅田喜三久、中川善雄(声)長岡輝子、小野寺かほる、木村富穂、後藤哲夫
35 |
7/25(日)4:00pm |
8/5(木)3:00pm |
8/27(金)7:00pm |
岡本忠成[6](計77分)
『注文の多い料理店』は『おこんじょうるり』の完成後、それまでとは全く異なるスタイルを模索していた岡本が3年間温めていた企画で、岡本の急逝により遺された未完の絵コンテなどを盟友の川本喜八郎が引き継ぎ完成にこぎつけた。キャラクターと背景が溶け合う「セルには見えないセルアニメ」の中に、今では幻となった構想の一端を垣間見ることができる。『ハンドメイドアニメーション映画の世界』は、数々の岡本作品を取り上げながら保坂純子(人形)、小前隆(美術)、真賀里文子(アニメーション)、田村実(撮影)へのインタビューを行った記録映画。岡本アニメーションが優れた共同作業の産物でもあることが再認識できるだろう。
注文の多い料理店(19分・35mm・カラー)
‘91(エコー=桜映画社)(監)(脚)岡本忠成(原)宮澤賢治(撮)高橋明彦、中出三記夫(画)奥山玲子、阿部信子、吉良敬三、吉田悟、横川たか子、宮林英子、秦泉寺博、鈴木伸一ほか(美)川下倫子、小野沢節子、徳山正美(音)広瀬量平
ハンドメイドアニメーション映画の世界(58分・35mm・カラー)
2001(桜映画社)(監)長崎希(撮)田村実、山屋恵司
36 |
7/27(火)3:00pm |
8/4(水)7:00pm |
8/28(土)4:00pm |
川本喜八郎[1](計103分)
日本の人形アニメーションを先導し、現在も活躍中の川本喜八郎(1925-)は、劇作家飯沢匡らと結成したグループで人形作りの経験を積み、プラハ留学を経て自主製作の道に入った。師イジー・トルンカの忠告により、日本の伝統芸能(壬生狂言)を題材にしたユーモラスな『花折り』を発表したが、生前のトルンカに見せることができたのはこの第1作のみであった。さらに、ヨーロッパの抽象絵画を連想させる『旅』、超現実的な世界をセピア調のくすんだパステル使いで描いた『詩人の生涯』、若い僧侶に惚れた女の妄執の物語を気品ある人形に託した『道成寺』など初期の名作を上映する。またチェコへの“里帰り”の合作『いばら姫またはねむり姫』には、川本の国際的な活動の拡がりが見られる。
花折り(14分・16mm・カラー)
‘68(監)(脚)(形)(動)川本喜八郎(撮)吉岡謙(形)三角永子、青山浩子(動)及川功一(音)小森昭宏(声)黒柳徹子
犬儒戯画(8分・35mm・パートカラー)
‘70(監)(脚)(形)(動)(美)川本喜八郎(原)横光利一(撮)飯塚進、吉岡謙(声)ニコラ・バタイユ、ジャン=ミシェル・ソラント、フランソワ・グローイエ、セルジュ・フリボー
鬼(8分・35mm・カラー)
‘72(監)(形)(動)川本喜八郎(撮)吉岡謙、田村実(美)壬生露彦、中川涼(音)鶴沢清治
旅(12分・35mm・カラー)
‘73(監)(脚)(動)川本喜八郎(撮)吉岡謙、田村実(動)見米豊、荒木靖一(美)小前隆、徳山正美
詩人の生涯(19分・35mm・カラー)
‘74(監)(動)川本喜八郎(原)安部公房(撮)田村実(動)見米豊、石川隆男(美)小前隆、徳山正美(音)湯浅譲二
道成寺(19分・35mm・カラー)
‘76(監)(脚)(形)(動)川本喜八郎(撮)田村実(形)若佐ひろみ、高橋佳代子(動)尾崎良、峰岸裕和ほか(美)壬生露彦、中川涼(音)松村禎三
セルフ・ポートレート(1分・35mm・カラー)
‘88(監)(形)川本喜八郎(撮)田村実(形)片山雅博(動)峰岸裕和(音)北原じゅん
いばら姫またはねむり姫(22分・35mm・カラー)
‘90(川本プロ=今日=クラートキー・フィルム・プラハ=イジー・トルンカ・スタジオ)(監)(脚)(形)川本喜八郎(原)(声)岸田今日子(撮)田村実、J・ミュレル(形)J・ベズテック、J・ドレイシュ、V・ネヴォサトほか(動)V・ポスピーシロヴァ、峰岸裕和ほか(美)J・ルジチカ(音)S・ハヴェルカ(声)D・コラージョヴァ
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7/27(火)7:00pm |
8/8(日)1:00pm |
8/20(金)3:00pm |
川本喜八郎[2](計112分)
能の「求塚」を土台に、二人の男に愛されて自ら命を絶った乙女が、死してなお地獄の業火に焼かれ続ける壮絶な物語『火宅』は、『道成寺』の雰囲気を引き継ぎつつ、「絵でもないし立体でもない」独自の世界を創出した。また『蓮如とその母』は室町中期に現れ、親鸞の教えを広く人々に伝えた蓮如の生涯をもとにした歴史アニメーション。川本唯一の長篇作品で、シナリオには新藤兼人を迎え、一度に90体もの人形を動かすダイナミックな群衆シーンもある。撮影は1年を超え、武満徹の音楽や豪華な声の出演陣でも注目に値する。
火宅(19分・35mm・カラー)
‘79(監)(脚)(形)(動)川本喜八郎(撮)田村実(形)穂坂かほる(動)峰岸裕和、大向とき子、吉田悟、宮澤みきお、秦泉寺博(美)小前隆、徳山正美、原口智生(音)武満徹(声)観世静夫
蓮如とその母(93分・35mm・カラー)
‘81(「蓮如とその母」製作推進委員会)(監)(形)(動)川本喜八郎(製)安東民児(脚)新藤兼人(撮)田村実、伊丹邦彦(形)佐藤三郎、穂坂かほる、牧野正倫ほか(動)峰岸裕和、大向とき子、長崎希、宮澤みきおほか(美)小前隆、徳山正美ほか(音)武満徹(声)小池朝雄、大門正明、渡辺美佐子、池上季実子、三國連太郎、小沢昭一、泉ピン子、高松英郎、黒柳徹子、岸田今日子
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