過去の上映
- 2018.11.27 - 12.23
- 上映企画
日本・スウェーデン外交関係樹立150周年
スウェーデン映画への招待
Invitation to Swedish Film History
at the 150th Anniversary of Sweden-Japan Diplomatic Relations
2018年11月27日(火)-12月13日(木)、12月15日(土)-12月23日(日・祝)
主催:国立映画アーカイブ、スウェーデン映画協会
協力:スウェーデン大使館
★各回の開映後の入場はできません。
★11-12月の休館日:月曜日、12月24日(月)-2019年1月3日(木)
会場:長瀬記念ホール OZU(2階)
定員:310名(各回入替制・全席自由席)
当日券についてはこちらをご覧ください。
前売券についてはこちらをご覧ください。
概要
日本とスウェーデンが国交を樹立してから150年を迎えた記念すべき本年、国立映画アーカイブは、スウェーデン映画協会と共同で、スウェーデン映画の特集上映を開催します。本特集は、2年前に開催したスウェーデン無声映画特集に続く、トーキー映画の大規模な回顧上映となります。
人口や経済の規模において、決して大国とは言えないスウェーデンは、しかし、多くの素晴らしい映画を生み出してきました。それは、世界映画史においてしばしば言及される、無声映画期の充実した作品群や巨匠イングマール・ベルイマンの作品にとどまりません。さまざまな映画作家たちが、厳しくも美しい自然や北欧独特の季節のリズム、文学や演劇の豊かな伝統、福祉国家としての歩み、二度の大戦における中立政策など、スウェーデンに固有の自然や歴史/社会的条件の下、ユニークな作品を撮ってきました。
本特集では、ベルイマン作品や同国出身の女優イングリッド・バーグマンの出演作品はもちろん、スウェーデン国民が愛した大衆喜劇やメロドラマ、スウェーデン映画史上の重要作、また、ボー・ヴィーデルベリやヤーン・トロエルら1960年代に台頭した新世代の映画作家たちによる革新的作品など、日本未紹介の作品を多数含む、1934年から1982年までにわたる計30本(24プログラム)のスウェーデン映画を上映します。これほど時代や監督、ジャンルのバラエティに富んだスウェーデン映画特集は過去に類を見ず、スウェーデン映画の歴史を体系的に知ることができる絶好の機会になるでしょう。さらにスウェーデン皇太子の貴重な訪日記録映画も加え、ぜひお見逃しなきよう、皆さまのご来館をお待ち申し上げます。
トーク追加のお知らせ(11/14追記)
カイサ・ヘードストルム氏による追加トークが決まりました。
日時:12月7日(金)「イングリッド・バーグマン選集」上映前(3:00pm~)
12月9日(日)『牢獄』上映前(1:00pm~)
*トークは15分ほど(通訳含む)を予定しています。
*トークのみの参加はできません。
巡回上映情報
会場:京都国立近代美術館
会期:2018年12月7日(金)、8日(土)
会場:福岡市総合図書館 映像ホール・シネラ
会期:2019年2月1日(金)から2月24日(日)
*休館日:月曜日、火曜日
■製作会社欄の略記 SF=スヴェンスク・フィルムインドゥストリー SFI=スウェーデン映画協会
■(監)=監督 (原)=原作・原案 (脚)=脚本・脚色 (撮)=撮影 (美)=美術 (音)=音楽 (出)=出演 (解)=解説・ナレーション
■特集には不完全なプリントが含まれていることがあります。
■『街の人たち』と『出立』を除き、上映作品にはすべて日本語字幕が付いています。
■記載した上映分数は、当日のものと多少異なることがあります。
■スウェーデン人名の表記は、原則として原音に忠実な表記を採用していますが、一部の人名については従来の慣用的な表記を踏襲しています。
炎は燃える (107分・1943・SF・監:グスタヴ・モランデル)
7.見知らぬ港 (85分・1948・サンドレヴス・監:エーリク・“ハンペ”・ファウストマン) 8.牢獄 (80分・1949・テッラフィルム・監・脚:イングマール・ベルイマン) 6.露は溢れ雨は落つ (103分・1946・フリーバリス・フィルムビュロー・監・脚:グスタヴ・エードグレーン) 9.母というだけ (101分・1949・SF・監・脚:アルフ・シューベリ) 10.娘とヒヤシンス (89分・1950・テッラフィルム・監・脚:ハッセ・エークマン) 11.春の悶え (108分・1951・ノーディスク・トーネフィルム・監:アーネ・マットソン) 13.ミス・エイプリル (100分・1958・エローパ・フィルム・監・脚:ヨーラン・イェンテレ) 12.道化師の夜 (93分・1953・サンドレヴス・監・脚:イングマール・ベルイマン) 14.貧民街 (101分・1963・エローパ・フィルム・監・脚:ボー・ヴィーデルベリ) 15.〈アーネ・スックスドルフ選集〉 (計135分) 16.ここにあなたの人生がある (169分・1966・SF・監・脚・撮:ヤーン・トロエル) 17.天使のともしび (83分・1967・サンドレヴス・監・脚:シェル・グレーデ) 18.ガールズ (100分・1968・サンドレヴス・監・脚:マイ・セッテリング) 19.俺たちはモッズと呼ばれる (100分・1968・SFI・監・脚・撮:ステーファン・ヤール・監・脚:ヤーン・リンドクヴィスト) 20.まともな人生 (102分・1979・ヤール&リンドクヴィスト・フィルムプロダクション・監・脚:ステーファン・ヤール) 21.スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー (120分・1970・エローパ・フィルム・監・脚:ロイ・アンダーソン) 22.刑事マルティン・ベック (113分・1976・SFI、SF・監・脚:ボー・ヴィーデルベリ) 23.ピカソの冒険 (113分・1978・スヴェンスカ・オード、SF・監・脚:ターゲ・ダーニエルソン) 24.参考上映▶ スエーデン皇太子殿下同妃殿下御来朝 (
アンドレーの北極気球探検行 (141分・1982・SFI・監・脚・撮:ヤーン・トロエル)
上映作品詳細
1カール=フレードリク 統治すKarl Fredrik regerar(90分・DCP・白黒)
- 2018年12月13日3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2018年12月23日1:00 PM@長瀬記念ホール OZU
貧しい農場労働者から社会民主党の党員、そして政府閣僚へと上りつめたカール=フレードリク(ヴァレーン)が、より急進的な立場のジャーナリストである娘レーナ(ノリーン)との関係に悩みつつ、利害を異にする者たちと交渉し、調停していく姿を描く。2年前の社会民主党政権樹立を受けて、社会変革や階級変動の可能性を説いた作品で、主人公役のS・ヴァレーンは、1930年代のスウェーデンの国民的スターの一人だった。
2ペンション「楽園」Pensionat Paradiset(78分・DCP・白黒)
- 2018年12月11日7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2018年12月19日3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
上流階級の人士が集うペンションを舞台としたコメディ。自らを著名なオペラ歌手と偽ったユッレ(モデーン)は、ペンション経営者の娘の結婚をめぐる大騒動に巻き込まれる。男性が水着を着て女性のふりをするシーンなど暴走する物語展開が、1930年代前半のスウェーデン映画で大衆的人気を博した喜劇の「低俗性」に眉をひそめていた知識階級から総攻撃されたことでも知られる作品だが、現在でもスウェーデン国民から愛されている映画である。
※作品の解説を一部訂正しました(12/08)
カイサ・ヘードストルム氏講演会
- 2018年12月8日1:55 PM - 2:55 PM@長瀬記念ホール OZU
「トーキー以降のスウェーデン映画史~モランデルからトロエルまで」
日時:12月8日(土)1:55~2:55pm(終了時刻は予定)
講演者:カイサ・ヘードストルム Kajsa Hedström(スウェーデン映画協会映画遺産部)
*逐次通訳付き
*入場無料
*当日1回目の上映をご覧になった方は、そのまま講演会に参加することができます。講演会のみの参加もできます。
3キャリアKarriär(107分・DCP・白黒)
- 2018年11月27日3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2018年12月6日7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
温かな人情描写で人気のあった、S・バウマン監督によるバックステージもの。劇団の駆け出し女優モーニカ(ハッソ)は、巡業先で技師(ラーゲルヴァル)と恋に落ちるが、二人の間にはやがて行き違いが生まれ…。モーニカをストックホルムに連れ出して再起を図る、往年の名女優(セルマン)のドラマも印象に残る。主役のS・ハッソは1940年代以降、ハリウッドとブロードウェイでも活躍。
4〈イングリッド・バーグマン選集〉(計140分・DCP・白黒)
- 2018年12月2日12:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2018年12月7日3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
世界的に知られたスウェーデン人女優、イングリッド・バーグマンの選集。スウェーデン時代の代表作の一つ『女の顔』(1989年日本公開)では、整形手術により身も心も美しく変化し、加担しそうになっていた悪事を自らの意志で阻む女性を演じる。バーグマンはその後ハリウッドに迎えられ、さらにはイタリア人監督R・ロッセリーニと公私にわたるパートナーになる。『イングリッド・バーグマン、バーンスにて』は、久々に故国に帰ったバーグマンが、人々に温かく迎えられる様子をとらえる。同じく貴重な記録映画『ロッセリーニ家とのひととき』では、ロッセリーニ作品『イタリア旅行』(1953)の撮影風景と、その合間にくつろぐ一家の様子が映し出される。モーパッサンの同名短篇を映画化した「首飾り」は、オムニバス作品『刺激』の一挿話。バーグマンは虚飾ゆえに不幸な境遇に転落する妻を見事に演じる。モランデルとは本作が最後のコラボレーションとなったが、その隙のない演出は残酷なまでに冴えわたっている。
※英語字幕も付いています(with English subtitles)
トーク追加のお知らせ(11/14追記)
カイサ・ヘードストルム氏(スウェーデン映画協会映画遺産部)のトークを12月7日(金)3:00pmから、上映前に行います。
*トークは15分ほど(通訳含む)を予定しています。
*トークのみの参加はできません。
女の顔 En kvinnas ansikte (A Woman's Face)(101分・DCP・白黒)
イングリッド・バーグマン、バーンスにて Med Ingrid Bergman på Berns (With Ingrid Bergman at Berns: Swedish Film Society Awards)(6分・DCP・白黒)
ロッセリーニ家とのひととき Kort möte med familjen Rossellini (Meeting the Rossellinis)(6分・DCP・白黒)
首飾り Smycket (The Necklace)(27分・DCP・白黒)
5参考上映▶ スエーデン皇太子殿下同妃殿下御来朝
炎は燃える(計116分 → 計117分)
- 2018年12月15日1:30 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2018年12月20日3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
参考上映▶ スエーデン皇太子殿下同妃殿下御来朝(9分 → 10分・18fps → 16fps・35mm・無声・白黒)
東洋文化に造詣が深かったグスタヴ・アードルフ皇太子(のちのグスタヴ6世)が、1926年に来日した時の記録映画。スウェーデン映画協会所蔵可燃性35mmプリントから、今回ニュープリントを作製。
炎は燃える Det brinner en eld―(107分・35mm・白黒)
国立劇場の看板女優ハリエット(ティードブラード)は、劇場の活動を支援する外国の駐在武官レンメリング(ハーンソン)と恋仲にあった。だがレンメリングの故国がハリエットの故国を侵略・占領したことにより、二人の絆は試練の時を迎える…。名匠モランデルが撮った戦争メロドラマで、物語は当時ドイツに占領された隣国ノルウェーの状況を想起させるが、劇中では国名は明言されない。第二次世界大戦で中立を保ったスウェーデンのジレンマが凝縮された1本。
7見知らぬ港Främmande hamn(85分・DCP・白黒)
- 2018年12月15日11:00 AM@長瀬記念ホール OZU
- 2018年12月18日7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
第二次世界大戦勃発直前の1938年冬、ポーランドのグディニャ港。スペインのフランコ政権を支持するナチス・ドイツは、大量の手榴弾を缶詰に偽装して、スウェーデンの貨物船でバルセロナセビリア港まで密輸しようとする。それを知った船員たちが取った行動は…。ソ連映画に強い影響を受けた、左翼映画作家E・H・ファウストマンの代表作。
8牢獄Fängelse (Prison / The Devil's Wanton)(80分・DCP・白黒)
- 2018年11月30日7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2018年12月9日1:00 PM@長瀬記念ホール OZU
ベルイマンが自身の脚本を初めて監督し、初期キャリア上の転機となった重要作。17歳で身ごもってしまった娘ビルギッタ(スヴェードルンド)の転落が、「この世は地獄である」という全篇を貫く主題を通奏低音として、悪夢のように展開していく。また、映画監督マッティン(エークマン)が次作を構想する様子も並行して描かれ、メタ映画の試みとしても野心的な作品。
※英語字幕も付いています(with English subtitles)
トーク追加のお知らせ(11/14追記)
カイサ・ヘードストルム氏(スウェーデン映画協会映画遺産部)のトークを12月9日(日)1:00pmから、上映前に行います。
*トークは15分ほど(通訳含む)を予定しています。
*トークのみの参加はできません。
6露は溢れ雨は落つDriver dagg faller regn(103分・DCP・白黒)
- 2018年12月12日3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2018年12月20日7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
当時最大のヒットとなった恋愛映画。裕福な大農園主の娘マーリット(セッテリング)とバイオリン弾きの若者ヨーン(シェリーン)が恋に落ちる。だが、ヨーンはマーリットの父の元婚約者が生んだ不義の子で、災いをもたらす存在として村中から疎まれていた。二人はあらゆる困難を乗り越えて愛を貫こうとする。人間を温かく迎え入れると同時に厳しく敵対する自然の描写は、スウェーデン映画ならではの魅力に満ちている。
※解説を訂正しました(2018/10/31/12:00)
9母というだけBara en mor(101分・DCP・白黒)
- 2018年12月16日1:30 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2018年12月18日3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
20世紀初頭から1920年代にかけてのスウェーデンの農村地帯を舞台に、日雇い農場労働者の娘リーアリーア(ダールベック)が、望まない結婚と出産を経て、苦しい生活にたびたび押し潰されそうになりながらも、母として子供たちを育て上げる姿を描く。ベルイマン作品などで知られるE・ダールベックが、強く美しい女性を熱演。
10娘とヒヤシンスFlicka och hyacinter (Girl with Hyacinths)(89分・35mm・白黒)
- 2018年12月16日11:00 AM@長瀬記念ホール OZU
- 2018年12月21日3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
父に続いて俳優として活躍するかたわら、幅広いジャンルの映画を演出し、1940~50年代に国内で最も批評的・興行的成功を収めた監督の一人、H・エークマンの代表作。洗練された演出と先駆的テーマゆえに、スウェーデン映画史上の最重要作品にも数えられる。ミステリアスな女性ダグマル(演じるのは当時エークマン夫人だったE・ヘンニング)の自殺の真相が、『市民ケーン』(1941、オーソン・ウェルズ)形式で語られる。
※英語字幕も付いています(with English subtitles)
11春の悶えHon dansade en sommar(108分・DCP・白黒)
- 2018年11月30日3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2018年12月8日4:00 PM@長瀬記念ホール OZU
湖畔での全裸のラブシーンによって世界中でスキャンダラスなまでにヒットし、美しい自然描写と性的な自由さという、スウェーデン映画の一般的イメージを確立した作品。だが、むしろ全篇を支配するのは、教会に代表される旧道徳に縛られた農村社会と、都市文化の流入によって、一瞬の青年期を燃焼し尽くすかのように純粋に異性を求めようとする若者たちとの、熾烈な世代間闘争のドラマである。ベルリン国際映画祭金熊賞受賞。1954年日本公開。
13ミス・エイプリルFröken April(100分・DCP・カラー)
- 2018年11月27日7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2018年12月5日3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
堅実な生活を送る銀行頭取(ビョーンシュトランド)が、春の陽気に誘われたことから美しいダンサーの娘(スーデルブロム)と出会って恋に落ち、オペラ歌手として第二の人生に目覚めてゆくミュージカル。ベルイマン映画で知られるG・ビョーンシュトランドの、喜劇俳優としての魅力にあふれた作品で、全篇取り違えと勘違いによって軽快に進行する脚本も素晴らしい。
12道化師の夜Gycklarnas afton (The Naked Night / Sawdust and Tinsel)(93分・DCP・白黒)
- 2018年11月29日7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2018年12月9日4:00 PM@長瀬記念ホール OZU
困窮したサーカス団を率いるアルベルト(グルーンベリ)は、旅回りの生活に疲れ果て、一度は捨てた妻(トレートヴ)に家庭に戻りたいと訴えるが拒絶され、愛人アンナも別の劇団の色男(エークマン)に誘惑されてしまう。人間の受ける屈辱という感情を正面から見据えたベルイマンの辛辣な演出にあって、アンナを演じたH・アンデションの艶めかしい魅力が光る。1965年日本公開。
※英語字幕も付いています(with English subtitles)
14貧民街Kvarteret Korpen (Raven's End)(101分・35mm・白黒)
- 2018年12月15日4:30 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2018年12月21日7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
J・トロエルと並び、1960年代以降のスウェーデン映画を革新したB・ヴィーデルベリの劇場長篇第2作。 大恐慌の余波が続く1930年代後半、スウェーデン最南部の都市マルメの貧民街を舞台に、作家志望の若者アンデシュ(ベリグレーン)のままならない日々を描く。リアルな人物たち、そして彼らを即物的にとらえるキャメラの眼差しは、スウェーデン映画の新時代の到来を高らかに告げている。
※英語字幕も付いています(with English subtitles)
15〈アーネ・スックスドルフ選集〉(計135分・DCP/35mm・白黒)
- 2018年12月12日6:30 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2018年12月22日3:30 PM@長瀬記念ホール OZU
スウェーデンを代表するドキュメンタリー作家、アーネ・スックスドルフ(1917-2001)の選集。『くちばし』は、無人の海岸で鳥たちが過酷な生存競争を繰り広げるさまを、美しい撮影によって見せる。『街の人たち』は、ストックホルムの一日をとらえた「都市交響楽」風ドキュメンタリーで、スウェーデン映画で初めてアカデミー賞を受賞した。『出立』は、ロマの人々が旅立つ姿を描く。いずれの短篇でも、角度をつけたショットがリズミカルな音楽と共に、的確かつダイナミックに編集されるさまは、現在観てもなお卓越している。スックスドルフは1962年にブラジルに移住し、映画作りを教える傍ら、貧しい子供たちの救済に力を注いだ。『幸せは遠い雲の下に』(当館所蔵プリントによる上映)は、その過程で製作された長篇セミドキュメンタリー。リオデジャネイロの高台のバラックに住む4人の孤児たちが、感傷を排したキャメラによって映し出される。
くちばし Trut!(18分・DCP・白黒)
街の人たち Människor i stad(18分・DCP・白黒)
出立 Uppbrott(10分・DCP・白黒)
幸せは遠い雲の下に Mitt hem är Copacabana(89分・35mm・白黒)
16ここにあなたの人生があるHär har du ditt liv (This Is Your Life / Here Is Your Life)(169分・DCP・白黒/カラー)
- 2018年11月28日2:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2018年12月8日11:00 AM@長瀬記念ホール OZU
1910年代、父親が病に倒れた一家の少年オーロフ(アックスベリ)は、製材労働者、映画館の売り子、巡回興行の映写技師などの仕事を転々としつつ、独学で学問を身に着け、恋をし、社会変革の意識に目覚めていく。1960年代以降のスウェーデン映画を牽引する一人、J・トロエルの長篇デビュー作は、一少年の成長を描きながら広い世界へ突き抜け、唯一無二の詩情をまとう決定的代表作となった。
※英語字幕も付いています(with English subtitles)
17天使のともしびHugo och Josefin (Hugo and Josephine)(83分・DCP・カラー)
- 2018年12月13日7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2018年12月22日1:00 PM@長瀬記念ホール OZU
人気児童文学作家M・グリーペの小説を映画化した児童映画。友だちのいないヨセフィン(ウーマン)が、奔放で型にはまらない少年ヒューゴ(ベックレーン)と出会い、仲良くなる。子どもたち、そして周囲の大人たちも等しく複雑な事情を抱えた存在としてとらえる、自然主義的な眼差しが出色。ラストは深い余韻を残す。1970年の日本公開時には、日本版の音楽に変更されて上映されたが、今回上映するのはオリジナル版。
※英語字幕も付いています(with English subtitles)
18ガールズFlickorna (The Girls)(100分・DCP・白黒)
- 2018年12月16日4:30 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2018年12月19日7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
女優から監督に転身したセッテリングの長篇第4作。パートナーとの関係にそれぞれ問題を抱える女優三人が、アリストパネス「女の平和」のツアー中、女性の権利獲得をめぐる困難に直面する。現実と非現実が入り交じる大胆な形式で表現された過激な風刺性は、当時の批評家と観客の反感を買い、その後18年にわたりセッテリングをスウェーデンでの映画製作から遠ざけることとなった。現在ではスウェーデン映画ベストにもしばしば挙げられる。
※英語字幕も付いています(with English subtitles)
19俺たちはモッズと呼ばれるDom kallar oss mods(100分・DCP・白黒)
- 2018年12月1日1:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2018年12月4日7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
一人の若者が5分以上淡々と生い立ちを語るショットから、主人公二人(ケンタとストッフェ)が颯爽と登場し、ロックスターのように街を闊歩するタイトルバックへと鮮烈に移行する。以後おおむね「シネマ・ヴェリテ」のスタイルをとるこの映画は、若者たちの享楽的生態を活写しつつ、福祉国家スウェーデンからこぼれ落ちてしまう社会層の存在をも浮かび上がらせていく。「モッズ」ドキュメンタリー3部作の第1作。
20まともな人生Ett anständigt liv(102分・DCP・カラー)
- 2018年12月1日4:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2018年12月5日7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
「モッズ」ドキュメンタリー3部作の第2作。前作から約10年が過ぎ、若者たちの遊び場だった駅はすっかり荒んで、ジャンキーが寝泊まりする場に。離れ離れになったケンタとストッフェはそれぞれ所帯を持っているが、薬物禍は彼らの暮らしにもやがて悲劇をもたらす。前作の映像をたびたび挿入して現在と重ね合わせ、時間の経過と社会の荒廃を表現する編集にも注目。
21スウェーディッシュ・ラブ・ストーリーEn kärlekshistoria (A Swedish Love Story)(120分・DCP・カラー)
- 2018年11月28日7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2018年12月4日3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
『散歩する惑星』(2000)、『さよなら、人類』(2014)などで知られるR・アンダーソン(アンデション)監督が26歳で発表し、ベルリン国際映画祭で4賞を受賞、本国でも大ヒットを記録したデビュー作。ソフト・ロック調の爽やかな旋律に乗って、15歳の少年ペール(ソールマン)と13歳の少女アニカ(シュリーン)が育む初々しい恋模様が、世俗の垢にまみれた大人たちと対比して描かれる。1971年日本初公開時の題名は『純愛日記』。
※英語字幕も付いています(with English subtitles)
22刑事マルティン・ベックMannen på taket (The Man on the Roof)(113分・DCP・カラー)
- 2018年11月29日3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2018年12月7日7:00 PM@長瀬記念ホール OZU
世界中で知られる警察小説シリーズの第7作(『唾棄すべき男』)を映画化。主役のマルティン・ベックに抜擢された(それまで喜劇映画の俳優として知られていた)C=G・リンドステットを始め、持ち味の異なる俳優たちの存在感が素晴らしく、彼らのアクションを細部まで巧みにとらえる手持ち撮影も効果的。残虐な殺人事件の犯人を、ストックホルム警察殺人課の刑事たちが追っていく。当時のスウェーデンで記録的なヒットとなった。1978年日本公開。
※英語字幕も付いています(with English subtitles)
23ピカソの冒険Picassos äventyr(113分・DCP・カラー)
- 2018年12月11日3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2018年12月23日4:00 PM@長瀬記念ホール OZU
ハッセ&ターゲの名で親しまれたコメディアン・チーム、アルフレッドソンとダーニエルソンは、映画監督として両者ともすぐれた作品を残している。本作は、より多作であったダーニエルソンによる一本。「芸術とは真実を伝える嘘である」というピカソの言葉を冒頭に置き、ピカソの生涯を語るかのように見せかけて、奔放かつナンセンスな世界が展開する。ピカソ役はH・エークマンの息子ユスタ。アルフレッドソン(『裏切りのサーカス』のT・アルフレッドソン監督の父でもある)がピカソの父を演じる。
24参考上映▶ スエーデン皇太子殿下同妃殿下御来朝
アンドレーの北極気球探検行(計150分 → 計151分)
- 2018年12月2日3:30 PM@長瀬記念ホール OZU
- 2018年12月6日3:00 PM@長瀬記念ホール OZU
参考上映▶ スエーデン皇太子殿下同妃殿下御来朝(9分 → 10分・18fps → 16fps・35mm・無声・白黒)
東洋文化に造詣が深かったグスタヴ・アードルフ皇太子(のちのグスタヴ6世)が、1926年に来日した時の記録映画。スウェーデン映画協会所蔵可燃性35mmプリントから、今回ニュープリントを作製。
アンドレーの北極気球探検行 Ingenjör Andrées luftfärd(141分・35mm・カラー)
ハリウッドから戻ったトロエルの帰国第一作。気球での北極点到達を試みて遭難死した、サーロモン・アウグスト・アンドレー(1854-1897)の野望と挫折を描く。近年に至るまで多くの歴史映画で才を発揮しているトロエルは、本作でも綿密な考証で説得力ある作品世界を構築。苛酷な自然描写は、サイレント期以来のスウェーデン映画の伝統に連なる。アカデミー外国語映画賞ノミネート。当館所蔵プリントによる上映。
■作品によって開映時間が異なりますのでご注意ください。
2018年11月27日
11:00 AM 開館
2018年11月28日
11:00 AM 開館
2018年11月29日
11:00 AM 開館
2018年11月30日
11:00 AM 開館
2018年12月1日
11:00 AM 開館
2018年12月2日
11:00 AM 開館
2018年12月4日
11:00 AM 開館
2018年12月5日
11:00 AM 開館
2018年12月6日
11:00 AM 開館
2018年12月7日
11:00 AM 開館
2018年12月8日
10:00 AM 開館
2018年12月9日
11:00 AM 開館
2018年12月11日
11:00 AM 開館
2018年12月12日
11:00 AM 開館
2018年12月13日
11:00 AM 開館
2018年12月15日
10:00 AM 開館
2018年12月16日
10:00 AM 開館
2018年12月18日
11:00 AM 開館
2018年12月19日
11:00 AM 開館
2018年12月20日
11:00 AM 開館
2018年12月21日
11:00 AM 開館
2018年12月22日
11:00 AM 開館
2018年12月23日
11:00 AM 開館
「トーキー以降のスウェーデン映画史~モランデルからトロエルまで」
日時:12月8日(土)1:55~2:55pm(終了時刻は予定)
講演者:カイサ・ヘードストルム Kajsa Hedström(スウェーデン映画協会映画遺産部)
*逐次通訳付き
*入場無料
*当日1回目の上映をご覧になった方は、そのまま講演会に参加することができます。講演会のみの参加もできます。
トーク追加のお知らせ(11/14追記)
カイサ・ヘードストルム氏による追加トークが決まりました。
日時:12月7日(金)「イングリッド・バーグマン選集」上映前(3:00pm~)
12月9日(日)『牢獄』上映前(1:00pm~)
*トークは15分ほど(通訳含む)を予定しています。
*トークのみの参加はできません。
当日券(発券=2階受付)
料金:一般520円/高校・大学生・シニア310円/小・中学生100円/障害者(付添者は原則1名まで)、国立映画アーカイブ及び東京国立近代美術館のキャンパスメンバーズは無料
◆当日券で入場される方には、開館と同時に、当日上映される全ての回の入場整理券を1階ロビーにて発券します。各日の開館時間についてはスケジュールをご覧下さい。
・各回の開映後の入場はできません。
・当日券の発券は、定員に達し次第締切ります。
・学生、シニア(65歳以上)、障害者、国立映画アーカイブ及び東京国立近代美術館のキャンパスメンバーズの方は、証明できるものをご提示ください。
・当日券の発券は各回1名につき1枚のみです。
入場方法
①前売券をお持ちの方は、開場時(開映30分前)に、前売券に記載された整理番号順にご入場いただけます。
②その後は、当日券の整理券をお持ちの方が、整理番号順にご入場いただけます。前売券をお持ちの方は、随時ご入場いただけます。
・前売券・当日券は当日・当該回のみ有効です。
前売券
11月13日(火)10時より、チケットぴあにて全上映回の前売券(全席自由席・各100席分)を販売します。
[Pコード:559-141]
前売料金:一般520円/高校・大学生・シニア310円/小・中学生100円
・別途発券手数料がかかります。
・各回の開映後の入場はできません。
・学生、シニア(65歳以上)の方は証明できるものをご提示ください。
前売券の購入方法
[Pコード:559-141]
チケットぴあ店舗、セブン-イレブン、サークルKサンクスで購入
11月13日(火)より各プログラムの前日まで
⇒前売料金に加え、1枚につき発券手数料108円がかかります。
受付電話(0570-02-9999)で購入
11月13日(火)より各プログラムの4日前23:59まで購入可能
⇒前売料金に加え、1枚につき発券手数料108円がかかります。
※毎週火・水2時30分~5時30分はシステムメンテナンスのため受付休止となります。
チケットぴあのサイト(http://w.pia.jp/t/nfaj-sweden/)で購入
購入時期によってご利用可能な決済方法が異なります。
⇒前売料金に加え、1枚につき発券手数料108円、また決済方法によって1件につき決済手数料がかかる場合があります。
※チケットぴあの手数料等については、チケットぴあHPのヘルプ、利用料一覧の頁をご覧ください。
本前売券の購入に、システム利用料(通常216円/枚)はかかりません。
前売券の払い戻し、交換、再発行はいたしません。
入場方法
①前売券をお持ちの方は、開場時(開映30分前)に、前売券に記載された整理番号順にご入場いただけます。②その後は、当日券の整理券をお持ちの方が、整理番号順にご入場いただけます。前売券をお持ちの方は、随時ご入場いただけます。
・前売券・当日券は当日・当該回のみ有効です。