過去の展示
- 2020.1.7 - 3.15 会場:国立国際美術館 地下1階パブリックスペース *新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡散防止のため、2月29日(土)より開催を中止いたします。
- 館外事業
映画ポスターにみるロシア・アヴァンギャルド
NFAJ所蔵《袋一平コレクション》より
Russian Avant-garde in Film Posters
From NFAJ’s Ippei Fukuro Collection
国立映画アーカイブによる大阪初の出張展示
――ロシア・アヴァンギャルドの映画ポスターの名品をここに
『世界の六分の一』1926年
監督:ジガ・ヴェルトフ
ポスター:アレクサンドル・ロトチェンコ
国立映画アーカイブ(NFAJ)は、映画のフィルムを文化財として収集・保存し、積極的な上映活動を続けてきた日本で唯一の国立映画機関です。そしてNFAJのもう一つのコレクションの柱が、ポスター・スチル写真・シナリオ・プレス資料・機材・書籍といった映画資料です。NFAJではこうした資料についても、活用の幅を広げ、アクセシビリティを高めるためのデジタル化を進めています。ポスターに関しては現在約59,000点という所蔵数を誇りますが、デジタル化を通じて高精度の複製品を作れるようになり、新たな活用の展開が期待されます。
今回は、デジタル化した収蔵資料の活用の試みとして、ソヴィエト連邦初期の無声映画時代に作られた映画ポスターを取り上げます。ステンベルク兄弟、ロトチェンコといったロシア構成主義の芸術家を含むデザイナーが手がけたポスター10点を選んで高い精度の複製を制作し、国立国際美術館に展示することになりました。これらはいずれも、ロシア文化の研究家・翻訳家で、一時はソヴィエト映画の輸入配給に携わっていた袋一平(ふくろ・いっぺい)が1930年にソヴィエトへ講演旅行に赴いた際、現地の関係者より贈られたものです。この小展示を通して、宣伝性にとどまらぬ映画ポスターの美や歴史の一端を感じ取っていただき、映画文化の豊かさを新たに発見していただければ幸いです。
《袋一平》コレクションについて
ロシア文化の研究者で、児童向け小説や山岳書の翻訳家としても知られる袋一平(1897-1971)は、1928年から約7年間、ソヴィエト映画の日本への輸入や配給に携わった。1930年、袋は全ソヴィエト対外文化連絡協会(VOKS)の招きで、講演会を交えた日本映画の巡回上映のためモスクワやレニングラードなどを訪れた。その旅の土産として贈られたポスターやスチル写真がこのコレクションの基礎であり、その後に入手した品も含めると、ポスターは115タイトル・140種にのぼる。当時はソヴィエト映画の公開に対する検閲が厳しかったため、袋は持ち帰ったポスターやスチル写真の展覧会を開催することにも力を入れた。
なおこのコレクションは、1951年に袋から国立国会図書館が購入し、1974年に東京国立近代美術館フィルムセンター(現・国立映画アーカイブ)に移管されたものである。
出品作品
- 『世界の六分の一』1926 年 監督:ジガ・ヴェルトフ
ポスター:アレクサンドル・ロトチェンコ - 『帽子箱を持った少女』1927 年 監督:ボリス・バルネット
ポスター:ステンベルク兄弟 - 『詩人と皇帝』1927 年 監督:ウラジーミル・ガルジン
ポスター:ヤーコフ・ルクレフスキー、ステンベルク兄弟 - 『十月』1927 年 監督:セルゲイ・エイゼンシュテイン、グリゴーリー・アレクサンドロフ
ポスター:ステンベルク兄弟 - 『ズヴェニーゴラ』1928 年 監督:アレクサンドル・ドヴジェンコ
ポスター:ステンベルク兄弟 - 『カメラを持った男』1929 年 監督:ジガ・ヴェルトフ
ポスター:ステンベルク兄弟 - 『生ける屍』1929 年 監督:フョードル・オツェプ
ポスター:グリゴーリー・ボリソフ、ピョートル・ジューコフ - 『その前日』1929 年 監督:グリゴーリー・グリチェル=チェリコヴェル
ポスター:ヨシフ・ゲラシモーヴィチ - 『世界大戦』1929 年 監督:E・E・ヤクシキン
ポスター:ミハイル・ドゥルガチ - 『大地』1930 年 監督:アレクサンドル・ドヴジェンコ
ポスター:ステンベルク兄弟
トークイベント
解説トーク
日時:2020年2月8日(土)
①11:00~ ②15:30~(各回30分程度)※①と②の内容は同じです
参加無料(混み合った場合はご参加いただけないことがあります)
講師:岡田秀則(国立映画アーカイブ主任研究員)
場所:国立国際美術館 地下1階パブリックスペース
※解説中は展示をご覧いただけない場合があります。