期間/2005年 9月13日(火)~25日(日)
*9月19日(月)は休館
会場/東京国立近代美術館フィルムセンター 小ホール(地下1階)
ご挨拶
東京国立近代美術館フィルムセンターと、2005年日本国際博覧会「愛・地球博」ポーランド館を出展しているポーランド商工会議所は、ポーランド映画の古典的秀作と注目の新作を組み合わせた上映企画「ポーランド映画、昨日と今日」を開催いたします。この企画は、長年ポーランド映画界を率いてきた巨匠アンジェイ・ワイダ監督の発案によるもので、フィルムセンターにとっては1990年以来15年ぶりのポーランド映画の特集となります。1950年代の「ポーランド派」に代表されるポーランド映画の輝かしい伝統と、優秀な新世代の台頭する現代、この二つの時代から選ばれた12作品を上映し、変わることのないその豊かな映画文化に迫ります。
●主催/東京国立近代美術館フィルムセンター
National Film Center. The National Museum of Modern Art, Tokyo, Japan
ポーランド商工会議所EXPO事務局
Polish Chamber of Commerce - EXPO Bureau, Warsaw, Poland
●協力/駐日ポーランド共和国大使館
●企画協力/アンジェイ・ワイダ
●コーディネーター/大竹洋子、久山宏一
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
パートI 1954~1979 | ||||||
12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
2:30pm フリギアの星の下で |
2:30pm エヴァは眠りたい |
2:30pm アマチュア |
2:30pm 水の中のナイフ |
1:00pm ヴィルコの娘たち |
1:00pm 鉄路の男 |
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6:30pm 鉄路の男 |
6:30pm 水の中のナイフ |
6:30pm ヴィルコの娘たち |
6:30pm フリギアの星の下で |
4:00pm エヴァは眠りたい |
4:00pm アマチュア |
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パートII 1999~2004 | ||||||
19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
2:30pm パン・タデウシュ物語 |
2:30pm エディ |
2:30pm ワルシャワ |
1:00pm 借金 |
1:00pm 仕返し |
1:00pm 笞の痕 |
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6:30pm 借金 |
6:30pm 仕返し |
6:30pm 笞の痕 |
4:00pm エディ |
4:00pm ワルシャワ |
4:00pm パン・タデウシュ物語 |
パートI 1954~1979
監=監督 原=原作 脚=脚本 台=台詞
撮=撮影 美=美術 音=音楽
原:イゴル・ネヴェルリ
脚:イゴル・ネヴェルリ、イェジー・カヴァレロヴィッチ
撮:セヴェリン・クルシンスキ
美:ロマン・マン
音:スタニスワフ・スクロヴァチェフスキ
出演:ユゼフ・ノヴァク、ルツィナ・ヴィンニツカ、ハリーナ・プシブィルスカ、スタニスワフ・ヤシュキェヴィチ
戦間期の共産党弾圧時代。主人公シュチェンスヌィ(通称ビダ)は活動家マグダとの恋を通して人間的に成長してゆく……。51年にデビューしたカヴァレロヴィッチの第3作で、繊維素(セルロース)工場労働者を描く二部作の後編。続けて、世界的に評判を呼んだ『影』(56)『戦争の真の終り』(57)『夜行列車』(59)『尼僧ヨアンナ』(61)『太陽の王子ファラオ』(1961)を撮る。監督の創作黄金期の先駆けとなった作品である。
原:イェジー・ステファン・スタヴィンスキ
脚:イェジー・ステファン・スタヴィンスキ、アンジェイ・ムンク
撮:ロムアルト・クロパト
美:ロマン・マン
出演:カジミェシュ・オパリンスキ、ジグムント・マチェイェフスキ、ジグムント・ジンテル、ジグムント・リストキェヴィッチ、ロマン・クウォソフスキ
1950年代初め、老機関士オジェホフスキが夜行列車の鉄路に身を投げた。駅舎の一室で事故調査委員会が開かれ、関係者の証言から、彼の高潔な人間性が浮き彫りにされてゆく。ムンクは、ワイダ、カヴァレロヴィッチと並ぶ、<ポーランド派>の代表監督。『白い決死隊』(55)『エロイカ』(57)『やぶにらみの幸福』(59 未)『パサジェルカ』(63)と、現代史にさまざまな方法論で取り組み、稀有の完成度を示した。
脚:タデウシュ・フミェレフスキ、アンジェイ・チェカルスキ
台:イェレミ・プシボラ
撮:ステファン・マティシュキェヴィッチ
美:ロマン・マン、アダム・T・ノヴァコフスキ
音:ヘンリク・チシ
出演:バルバラ・クフャトコフスカ、スタニスワフ・ミクルスキ、ステファン・バルティク、マリア・カニェフスカ、ロマン・クウォソフスキ
入学式前夜に高校に着いたエヴァが、寄宿舎での宿泊を許されず、泥棒や警官や売春婦たちと触れ合いながら、奇妙な街を歩いてゆく。摩訶不思議な事件が続発して、彼女はなかなか眠れない。フミェレフスキ30歳のデビュー作で、この後も戦争・社会喜劇の人気作を撮り続けたが、本作の可笑しさは不滅!主役のクフャトコフスカは、数千人が応募した主役コンクールで選ばれた。
脚:ロマン・ポランスキ、イェジー・スコリモフスキ、ヤクプ・ゴルドベルク
撮:イェジー・リプマン
美:ボレスワフ・カムィコフスキ
音:クシシュトフ・コメダ
出演:レオン・ニェムチク、ヨランタ・ウミェツカ、ジグムント・マラノヴィッチ
湖沼地帯に向かって外車を走らせるアンジェイとクリスティナは、途中で若い男を乗せ、さらに自家用ヨットの航行に誘う。三人三様の精神的空虚を暴くポランスキの長編デビュー作。以後『戦場のピアニスト』(02)までの40年間、祖国で映画を撮ることはなかった。無国籍性と消費文化肯定が当時の共産党第一書記の逆鱗に触れたが、作品は国際的評価を受け、逆にポーランド映画の高い芸術性を世界に知らしめた。
脚:クシシュトフ・キェシロフスキ
台:イェジー・シュトゥル、クシシュトフ・キェシロフスキ
撮:ヤツェク・ペトリツキ
美:アンジェイ・ラファウ・ヴァルテンベルゲル
音:クシシュトフ・クニッテル
出演:イェジー・シュトゥル、マウゴジャータ・ゾンプコフスカ、イェジー・ノヴァク、タデウシュ・ブラデツキ、クシシュトフ・ザヌッシ
娘の成長を記録する目的で8ミリカメラを買ったフィリップは、勤務先の工場の記念行事を撮影するよう命令される。アマチュア映画が成功し、彼の中に眠っていた芸術家・社会活動家が目を覚ます。キェシロフスキ監督の長編劇映画第3作で、<モラルの不安をめぐる映画>(ザヌッシやホラントが属する)の代表作。主演・台詞協力のシュトゥルは、90年代からは演出にもたずさわり次々と秀作を発表している。
原:ヤロスワフ・イヴァシュキェヴィッチ
脚:ズビグニェフ・カミンスキ
撮:エドヴァルト・クウォシンスキ
美:アラン・スタルスキ
音:カロル・シマノフスキ
出演:ダニエル・オルブリフスキ、アンナ・セニュク、クリスティヌ・パスカル、マヤ・コモロフスカ、スタニスワヴァ・ツェリンスカ、クリスティナ・ザフファトヴィッチ、ゾフィア・ヤロシェフスカ、タデウシュ・ビャウォシンスキ、ヤロスワフ・イヴァシュキェヴィッチ
親友の死に打ちのめされたヴィクトルは、叔父夫婦が住む村を訪れ、隣家の6人姉妹に会いに行く。しかし、彼が密かに愛していたフェラは夭逝し、歳月はほかの姉妹にも人生の陰影を刻印していた。ツィブルスキ死後ワイダの秘蔵俳優になったオルブリフスキが、戦間期知識人の典型像を演じきる。多彩な女優陣に加えてワイダ夫人、舞台美術家のザフファトヴィッチが次女を演じ、原作者本人も登場する。
パートII 1999~2004
原:アダム・ミツキェヴィッチ
脚:アンジェイ・ワイダ、ヤン・ノヴィナ・ザジツキ、ピョートル・ヴェレシニャク
撮:パヴェウ・エデルマン
美:アラン・スタルスキ
音:ヴォイチェフ・キラル
出演:ボグスワフ・リンダ、ダニエル・オルブリフスキ、グラジナ・シャポウォフスカ、アンジェイ・セヴェリン、マレク・コンドラト、ミハル・ジェブロフスキ、アリツィア・バフレダ=ツルシ、クシシュトフ・コルベルゲル
19世紀初頭のリトアニア。青年タデウシュには出生の秘密があった。育ての親の判事と謎の司祭、清らかな少女ゾーシャとの恋。ロシアを目指すナポレオン軍を迎え、人々は祖国解放という大きな理想に力を合わせるが……。民族叙事詩を見事に映像化したワイダ監督渾身の作。熱狂的に迎えられ、国民の5人に1人が映画館に足を運んだ。最高の俳優と撮影・音楽・美術スタッフに支えられた文芸作品の傑作である。
脚:クシシュトフ・クラウゼ、イェジー・モラフスキ
撮:バルトシュ・プロコポヴィッチ
美:マグダレナ・ディポント
音:ミハウ・ウルバニャク
出演:ロベルト・ゴネラ、ヤツェク・ボルツフ、アンジェイ・ヒラ、ツェザリ・コシンスキ、ヨアンナ・シュルミェイ、アグニェシュカ・ヴァルフルスカ
工場建設資金の調達に保証人が必要になったアダムとステファンは、旧友ゲラルトの助けを借りる。だが彼は、歩合と必要経費の支払いを求め、日に日に増大する架空の<借金>返済を迫る。追いつめられた彼らは………。クラウゼの第3作で、99年グディニャ・ポーランド劇映画祭グランプリ作品。実在の殺人事件をもとに、監督とルポライターが共同で脚本を書いた。体制転換期ポーランドに急激に浸透する資本主義を、迫真的に追求している。
脚:ヴォイチェフ・レピャンカ、ピョートル・チシャスカルスキ
撮:クシシュトフ・プタク
美:ヴォイチェフ・ジョガワ
音:ヴォイチェフ・レマンスキ
出演:ヘンリク・ゴウェンビェフスキ、ヤツェク・ブラチャク、アレクサンドラ・キショ、トマシュ・ヤロシュ
屑鉄を売って生計を立てているエディに、思いがけない出来事が襲いかかった。ボスの妹が、エディの子供を生んだというのだ………。02年グディニャ・ポーランド劇映画祭審査員特別賞。チシャスカルスキのデビュー作で、実際に目にした男と仏教説話を重ね合わせたという。主演のゴウェンビェフスキは70年代に子役だったが、肉体労働者を経て90年代に復帰、『借金』『仕返し』にも出演している。
*04年SKIPシティ国際Dシネマフェステバルで作品賞を受賞。
原:アレクサンデル・フレドロ
脚:アンジェイ・ワイダ
撮:パヴェウ・エデルマン
美:タデウシュ・コサレヴィッチ、マグダレナ・ディポント
音:ヴォイチェフ・キラル
出演:ロマン・ポランスキ、ヤヌシュ・ガヨス、アンジェイ・セヴェリン、カタジナ・フィグーラ、ダニエル・オルブリフスキ、アガタ・ブゼック、ラファウ・クルリコフスキ
城を半分ずつ所有している二人の鰥夫。相手の意地悪への〈仕返し〉のつもりがそれぞれの姪と息子の結婚式で終結し、めでたしめでたし。『パン・タデウシュ』と同時期に書かれた古典喜劇を映画化し、〈ポーランド性〉の解剖に挑んだワイダの最新作。ポーランド演劇映画界の名優たち、ポランスキ、オルブリフスキ、ガヨス、セヴェリン、クルリコフスキが楽しみながら演技合戦を繰り広げる。
脚:ダリウシュ・ガイェフスキ、マテウシュ・ベドナルキェヴィッチ
撮:ヴォイチェフ・シェペル
美:エルヴィラ・プルータ
音:グループ〈コルモラヌィ〉
出演:アグニェシュカ・グロホフスカ、ウカシュ・ガルリツキ、ドミニカ・オスタウォフスカ、レフ・マツキェヴィッチ、スワヴォミル・オジェホフスキ、アンジェイ・シェイナフ、ウメダ・トモホ
恋人と暮らそうと上京したクララ、職探しのパヴェウ、フラメンコ・ダンサー志望のヴィクトリア、自称実業家アンジェイ、家出した娘を探す父、記憶を失ってさ迷う元蜂起兵。彼らが冬のワルシャワですごす早朝から深夜までの18時間を同時進行で描く。ガイェフスキの劇映画第1作で、03年グディニャ・ポーランド劇映画祭のグランプリ受賞。ワルシャワの反=観光映画、地図を持たない彷徨を体験させる作品。
原・脚:ヴォイチェフ・クチョク
撮:マルチン・コシャウカ
美:ヨアンナ・ドロシュキェヴィッチ、エヴァ・スコチコフスカ
音:アドリアン・コナルスキ
出演:ミハウ・ジェブロフスキ、ヤン・フリチ、アグニェシュカ・グロホフスカ、ヴァツワフ・アダムチック、ボリス・シツ、ヤン・ペシェク
母の死後、厳格な父に育てられた少年ヴォイチェフは、30歳になっても周囲と決して妥協せず、洞窟探検に没頭する。しかしターニャとの出会いが奇跡のような愛と再生をもたらす。女性監督ピェコシュのデビュー作で、04年グディニャ・ポーランド劇映画祭のグランプリ受賞。若い小説家の原作も高い評価を得た。主演は、『パン・タデウシュ物語』のジェブロフスキと『ワルシャワ』のグロホフスカ。
開映後の入場はできません。
定員=151名(各回入替制)
発券=地下1階受付
料金=一般500円/高校・大学生・シニア300円/小・中学生100円
●観覧券は当日・当該回にのみ有効です。
●発券・開場は開映の30分前から行い、定員に達し次第締切となります。
●シニア(65歳以上)の方は、必ず年齢を証明できるものをご提示ください。
東京国立近代美術館フィルムセンター
〒104-0031東京都中央区京橋3-7-6
▼交 通:
東京メトロ銀座線京橋駅下車、出口1から昭和通り方向へ徒歩1分
都営地下鉄浅草線宝町駅下車、出口A4から中央通り方向へ徒歩1分
東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅下車、出口7より 徒歩5分
JR東京駅下車、八重洲南口より徒歩10分
お問い合わせ:ハローダイヤル 03-5777-8600
東京国立近代美術館ホームページ:http://www.momat.go.jp/