トランシーバー、公園、夏のプール。痛くて優しい夏の日々を、僕らはきっと、忘れられない
親友・優一を亡くして他人に心を開かなくなった主人公・順は、子供時代に優一と遊んだトランシーバーでのアポロ通信ごっこを独りでいつまでもやっていた。ある日、また学校でこっそりトランシーバーで喋っていると、トランシーバーに謎の返信が…女の子の声だ。とまどう順だったが、やがてその声だけの少女に心を開いてゆく…。
月に行ってしまった(死んでしまった)親友とトランシーバーで交信を続けようとする主人公・順は、学校のプールの中という、ある種月世界にも似た無重力空間の中でついに親友の影と再会する。「なんで死んだんだよ!」この美しく切ないシーンを淡々と且つユーモラスに描いてゆく筆致は、23歳の若い監督ならではの切実さにあふれている。 文:小林でび(映画監督・役者)