Special Screening:
ライオン株式会社(旧小林商店)の創業者・小林富次郎(1852-1910)の葬儀の模様を撮影した映像。東京市神田区柳原河岸(現・千代田区東神田)の自宅から、斎場となった東京基督教青年会館へ、全長1 キロに及んだといわれる葬列が進む様子が収められている。重要文化財指定の対象となったのは、明治期の映画会社・吉澤商店が撮影した当時の35mm可燃性オリジナル・ネガ1巻(436フィート13コマ)と上映用ポジ1巻(444フィート13コマ)で、前者は現存する我が国最古のオリジナル・ネガと考えられる(ライオン株式会社寄贈)。上映するフィルムはこのオリジナル・ネガから直接プリントしたもので、100年前に撮影された映像の驚くべきクオリティに圧倒される。
伊藤大輔の日活入社第一作であり、また大河内傳次郎と初めてコンビを組んだ記念すべき作品。一人の娘に思いを寄せる勤王志士の兄弟。残されているのは乱闘場面を中心にした最終巻で、新撰組の包囲から弟と娘を逃がし斬り死にしていく主人公と、逃れていく二人のカット・バックの激しさと巧みさに、伊藤映画の片鱗がうかがわれる。上映するのはデジタル復元で白黒プリントを作成した上で、無声映画時代の手法で染色したもの。
伊藤大輔=大河内傳次郎コンビの名声を不動のものにした作品で、1959年には『キネマ旬報』の「日本映画六十年を代表する最高作品ベスト・テン」第1位にも選ばれた。長らく「幻の映画」となっていたが、1991年に可燃性プリントが発見された。三部曲として製作されたうち、『信州血笑篇』の一部と『御用篇』の大部分が残されている。フィルムの発見以降2度に渡って、それぞれの時代における最良の技術でアナログ復元を行って来たが、今回は初めてデジタル復元を試みて白黒プリントを作成し、無声映画期の手法で染色した。本篇上映前に、復元前後の比較映像も参考上映する。 |
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