大ホール上映作品
日本におけるトルコ年記念事業
トルコ映画の現在
Turkish Cinema Now
10月9日(木)- 10月19日(日)
主催=東京国立近代美術館フィルムセンター、駐日トルコ大使館
協力=文化庁
料金=一般800円/高校・大学生・シニア600円/小人400円
→上映スケジュール
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※期間中、3回以上映画をご覧になった方に、「日本におけるトルコ年」特
製バッジを差し上げます。入場券の半券3枚を受付にご提示ください(なお
数に限りがありますので、バッジがなくなり次第終了と致します)。
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「日本におけるトルコ年」としてさまざまな文化事業が実施されている本年、フィルムセンターはトルコ大使館との共同開催により、「トルコ映画の現在」と題して近年の話題作10作品をまとめた上映を行うこととなりました。
トルコ映画は、人情味あふれるコメディ、アラベスク音楽から派生したメロドラマであるアラベスク映画、陰影をたたえたアクション映画など、イスタンブールを中心に多彩なジャンルの娯楽映画を生み出してきた伝統を有していますが、近年は俊英ゼキ・デミルクブズ監督やヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督(2003年カンヌ国際映画祭グランプリ)などのニューウェイヴの出現により、ヨーロッパなどの映画祭で激賞された野心的なアート作品も製作されています。またオメル・カヴール、ゼキ・オクテンといったベテラン監督なども、トルコ人の日常生活を巧みに捉えながら、引き続きトルコ映画の豊穣さに貢献しています。
その美しい風土によって日本でもますます大きな注目を集めているトルコ。その再び活気づいた映画界から訪れた、最新の成果を心ゆくまでお楽しみください。
■(監)=監督 (原)=原作 (脚)=脚本 (撮)=撮影 (音)=音楽 (美)=美術 (出)=出演
■本特集の上映作品はすべてカラーの日本語字幕付35mmプリントです。
■記載した上映分数は、当日のものと多少異なることがあります。
T-1 |
10/9(木)3:00pm |
10/15(水)7:00pm |
オフサイド(120分) DAR ALANDA KISA PASLAŞMALAR / OFFSIDE
隣家の娘にラブレターを送りながら、一度も返事をもらったことのないアマチュア・チームのゴールキーパー、スアット(E・ジャン)。しかも新しく移籍してきたセルカン(人気歌手R・E・ロマン)がスアットの恋心を逆なでる。実話に基づいて、誇りのユニフォームにかけて団結奮闘するアマチュア・チームの人間模様を暖かく描いたサッカー映画で、新世代監督のひとりセルダル・アカルのデビュー第2作である。2001年のイスタンブール映画祭国内コンペティションでは最優秀作品賞、最優秀監督賞などを総なめした。
2000(ウムット・サナット・フィルム)(監)(脚)セルダル・アカル(脚)オンデル・チャカル(撮)メフメット・アクスン(美)ヤヴズ・ファズ(音)ファヒル・アタコール(出)ミュジデ・アル、サヴァシュ・ディンチェル、ラフェット・エル・ロマン、エルカン・ジャン、シャフナズ・チャクラルプ、ウール・ポラット、イスマイル・インチェカラ、セザイ・アイドゥン、ケマル・コジャテュルク、デヴィン・オズギュル・チュナル
T-2 |
10/9(木)7:00pm |
10/17(金)3:00pm |
五月の雲(120分) MAYIS SIKINTISI / CLOUDS OF MAY
本年のカンヌ国際映画祭で新作『ウザク』が審査員特別賞(グランプリ)を受賞したトルコ映画の新星、ヌリ・ビルゲ・ジェイランの秀作。緑豊かな自分の故郷を映画にしようと実家に戻ってきた監督ムザッフェル(ムザッフェル・オズデミル)は、様々な思惑を抱えつつ生きる父母やいとこたちを集めて、森の中で撮影を始める。鳥のさえずりや風のざわめきといった音響の繊細さ、そして色彩の中にモノクロームの感覚をたたえた、息を呑むばかりの美しいショットも印象的である。
2000(NBCエージェント=ヌリ・ビルゲ・ジェイラン)(監)(脚)(撮)ヌリ・ビルゲ・ジェイラン(出)M・エミン・ジェイラン、ムザッフェル・オズデミル、ファトマ・ジェイラン、M・エミン・トプラック、ムハンメド・ズンバオール、サドゥク・インジェス
T-3 |
10/10(金)3:00pm |
10/18(土)1:00pm |
天使たちの家(102分) MELEKLER EVİ / HOUSE OF ANGELS
トルコ南部の町ウルファ。殺人事件を目撃したカメラマン、アフメット(T・ブルット)は犯罪者たちに追われ、ほどなく友人も失踪してしまう。その地で知り合った若い女アルズハン(H・アタイズィ)とともに、迷宮のような事態の真相を探ろうとするアフメット。そして舞台は荒涼とした南部からやがて東部の美しいヴァン湖畔へ…。巨匠オメル・カヴール監督による、ロード・ムービー色をたたえた異色のフィルム・ノワール。2000年のアンタルヤ映画祭で主演男優賞、撮影賞など多数の賞を受けた、ハンガリー、ルーマニアとの合作。
2000(アルファ・フィルム)(監)(脚)オメル・カヴール(脚)フェリデ・チチェキオール、エロル・フザルチュ(撮)アリ・ウトク(美)セルチュク・ギュルシュク(音)ジャーヒット・ベルカイ(出)タラット・ブルット、ハンデ・アタイズィ、アイタチ・アルマン、アルスラン・カジャル、ハルドゥン・ボイサン、タールク・パプッチュオール、シュエダ・チル、イェリズ・トザン、マージット・コペル、メティン・ベルギン
T-4 |
10/10(金)7:00pm |
10/19(日)1:00pm |
プロパガンダ(116分) PROPAGANDA
1948年。国境が引かれ、突如鉄条網で二つに引き裂かれたトルコ東部の村。税関署長になってふんぞりかえるメフディ(K・スナル)に村人たちの非難が集中する。東部出身であるシナン・チェティン監督の父親の体験を基にした作品で、妻である撮影監督レベッカ・ハースとともに、離れ離れになった家族や恋人たちの悲喜こもごもを、明るい光のもとで軽やかに綴った。国民的コメディアン、ケマル・スナルの遺作でもあり、スナルと町医者を演じるベテラン役者メティン・アクプナルとの鉄条網越しのかけ合いも見どころ。
1998(プラト・フィルム)(監)(脚)シナン・チェティン(脚)ギュリン・トカット(撮)レベッカ・ハース(音)セゼン・アクス(出)メティン・アクプナル、ケマル・スナル、メルテム・ジュンブル、ラフェット・エル・ロマン、アリ・スナル、メラル・オルホンサイ、ナズミイェ・エロル
T-5 |
10/11(土)1:00pm |
10/15(水)3:00pm |
警視シェークスピア(115分) KOMSER ŞEKSPİR / COMMISSAR SHAKESPEARE
演劇が何よりも好きな白血病の娘のために、囚人やストリートチルドレンを集めて劇団を結成してしまった親バカ警視ジェミル(K・イナヌル)。やがて即席劇団は「白雪姫」を引っさげてテレビのオーディション番組へ。軽快な演出もさることながら、街の娼婦(M・アル)や落ちぶれた元スター(若者に人気のコメディアンO・バユルゲン)など、クセのある役者陣の演技も見逃せない。自らの会社プラト・フィルムを率いるトルコ映画界の寵児チェティン監督による、イスタンブール発のにぎやかな人情コメディ。
2000(プラト・フィルム)(監)シナン・チェティン(脚)メスット・ジェイラン(撮)キャーミル・チェティン(音)オメル・オズギュル(出)カディル・イナヌル、ミュジデ・アル、オカン・バユルゲン、ペリン・バトゥ、オズカン・ウール、メスット・ジェイラン、セラハッティン・ドゥマン、ガザンフェル・オズジャン
T-6 |
10/11(土)4:00pm |
10/16(木)3:00pm |
不条理なゲーム(105分) OYUNBOZAN / UNFAIR GAME
長年の固い友情で結ばれた、タクシー運転手(O・バユルゲン)と余命いくばくもない老詩人(Z・アラスヤ)。小さな諍いから殺人集団に誘拐された運転手は、入院中の詩人にも会えないまま殺人者に仕立て上げられる。1980年代より活躍するネスリ・チョルゲチェン監督が9年ぶりに発表した劇映画で、トルコ映画の伝統のひとつである暗黒映画の系譜にもつながる。緊迫したカー・チェイスや、監督業もこなす俳優ゼキ・アラスヤの渋い演技も見ものである。
2000(エルレル・フィルム)(監)(脚)ネスリ・チョルゲチェン(脚)サーイト・アイテムル(撮)エルダル・カフラマン(美)セルダ・ユルケンジレルほか(音)ナディル・ギョクテュルク(出)ゼキ・アラスヤ、オカン・バユルゲン、ニカラウス・セルギアナプロス、ディミトラ・マツーカ、シャファク・セゼル、ソネル・アウン、ユステュン・アスタイ、マリア・スタヴラケッリ、ギュル・オナット、メルダ・アラット、テキン・テメル、メルト・アスタイ
T-7 |
10/12(日)1:00pm |
10/16(木)7:00pm |
みどりの光線(110分) YEŞİL IŞIK / GREEN RAY
死んだのに地上に逆戻りした男アリ(K・イスク)と、彼が臓器を移植した女エリフ(H・アヴシャル)。移植の相手を殺さないと地上に戻れないとアリは天使(H・ドルメン)に告げられるが、よりによって二人は恋におちてしまう。やがて二人は日没の瞬間、永遠の愛を確かめるべく水平線の彼方に「みどりの光線」を見る…。撮影監督、プロデューサー出身のファールク・アクソイの監督デビュー作で、スター女優H・アヴシャル、人気モデルのD・アッカヤといったキャスティングも見所。ミュージカルのシーンもあり、同名のフランス映画(エリック・ロメール作品)とはまるで対照的な、意表の恋愛ファンタジーとなっている。
2002(UFP)(監)(脚)ファールク・アクソイ(脚)ネジェフ・ウールル(撮)エルトゥンチ・シェンカイ(音)スレイマン・アルヌテミズ(美)ムスタファ・ジヤ・ユルゲンジレル(出)ヒュリャ・アヴシャル、ケナン・イスク、ハルドゥン・ドルメン、デニズ・アッカヤ、ギュジデ・ドゥラン、チョルパン・イルハン、エシュレフ・コルチャク、オルグン・シムセック、ベフザット・ウイグル、イルケル・イナノール
T-8 |
10/12(日)4:00pm |
10/17(金)7:00pm |
さようなら(108分) GÜLE GÜLE / RAINDROP
いつまでも純な中年男ガリップ(M・アクプナル)は、遠いキューバにいる文通相手に一途な恋心を抱いていた。親友たちは、そんなガリップを彼女に一目会わせてやろうと、信じがたい一計を案じる。エーゲ海に浮かぶボズジャーダ島の美しい港を舞台に、人々のゆるやかな日常生活と、カフェに集う男たちの篤い友情を描いた佳作。巨匠ユルマズ・ギュネイの助監督を務め、『群れ』(1978年)では獄中のギュネイとともに映画を完成させたベテラン、ゼキ・オクテン監督の爽やかな一篇。
1999(UFP)(監)ゼキ・オクテン(原)ネジェフ・ウールル(脚)ファーティヒ・アルトゥノズ(撮)フェレンツ・パップ(美)オズレム・ユルトセヴェル(音)エンギン・デュズヨル(出)メティン・アクプナル、ゼキ・アラスヤ、シュクラン・ギュンギョル、ユルドゥス・ケンテル、エシュレフ・コルチャク
T-9 |
10/14(火)3:00pm |
10/18(土)4:00pm |
宿命(118分) YAZGI / FATE
カミュ「異邦人」の虚無的な世界を現代のイスタンブールに大胆に移植した、トルコ映画のニューウェイヴ、ゼキ・デミルクブズ監督の問題作。母の死にも動じず、求婚してくる女にも無関心な男ムーサ(S・オルチン)は、ブレッソン作品の主人公を思わせる表情の欠落によって印象づけられる。「暗闇についての物語」と名づけられた3部作の第1作で、次の『告白』とともに2002年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品された。この部門で、一人の監督作品が2本上映されるのはカンヌでも異例の扱いである。
2001(マヴィ・フィルム)(監)(脚)ゼキ・デミルクブズ(原)アルベール・カミュ(撮)アリ・ウトク(美)バハル・エヴギン(出)セルダル・オルチン、ゼイネプ・トクシュ、エンギン・ギュナイドゥン、デミル・カラハン、ネジュミ・アイカル、テュルカン・インジェ、フェリドゥン・コチ、ジャナン・アクギュル、ナザン・クルルムシュ、アポ・デミルクブズ、セルダル・アカル
T-10 |
10/14(火)7:00pm |
10/19(日)4:00pm |
告白(92分) İTİRAF / THE CONFESSION
新鋭デミルクブズ監督による上記3部作の第2作で、全篇にわたる同時録音、陰影を活かした画面作りはここでも貫徹されている。舞台は首都アンカラ。妻ニルギュン(B・キョクリュカヤ)の不実を疑い、嫉妬に駆られた夫ハールン(T・ビルセル)は、激しい詰問の果てに過去の記憶にぶつかってゆく。人間の感情の揺れを切りつめた文体で表現した本作は、発表時にはポーランドのK・キエシロフスキ監督らとも比較された。撮影もデミルクブズが自ら担当し、低予算の中であくまで個人的な映画作りに徹している。
2001(マヴィ・フィルム)(監)(脚)(撮)ゼキ・デミルクブズ(美)バハル・エヴギン(出)タネル・ビルセル、バシャク・キョクリュカヤ、ミラチ・エロナット、イスケンデル・アルトゥン、ギュルギュン・クトル、セルダル・ギュナイドゥン、シナン・アディヤマン、アポ・デミルクブズ、バル・エルテュルク
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