上映スケジュール |
無声映画の素晴しさを音楽や語りの楽しさとともに体験していただく恒例企画「シネマの冒険 闇と音楽」シリーズは、好評のうちに第6回を迎え、今回はオランダの無声映画を取り上げます。
オランダは、リュミエール兄弟のシネマトグラフをはじめとする映画の発明をいちはやく受け容れましたが、フランスなどのヨーロッパ列強やアメリカから多くの映画が輸出されて市場を独占したため、第一次世界大戦をはさむ無声映画の時代に、そうした映画大国に匹敵するような歴史を築き上げることがでませんでした。
この歴史の通説の裏には、しかし、これまで私たちが知ることのできなかったユニークな自国の無声映画史があります。すでに世界映画史に大書されているドキュメンタリー作家ヨリス・イヴェンスに加えて、今回上映される作品を製作したルイ・H・クリスペイン、テオ・フレンケルといった何人かの映画監督の名は、オランダ映画が国際市場原理の中で苦闘しながらも、いかに豊かな才能を産み出してしてきたかを教えてくれます。とりわけ、ホーランディア映画工房を設立しオランダ劇映画のパイオニアとなったマウリッツ・H・ビンガーと、後にハリウッドにも進出した“ディーヴァ”で彼の主演女優であったアニー・ボスの存在は、日本の映画観客にとってまったく新しい発見となるでしょう。
さらにこの特集には、風車や運河に代表される珍しいオランダの風物、王室や軍のイベント、植民地であった蘭領東インド(インドネシア)の様子、エイゼンシュテインやチャップリンといった名士の訪蘭など、世紀末以降に撮られた貴重な記録映像が数多く含まれていて、まるごとオランダの国と文化が理解できるようになっています。
上映されるこうしたフィルムは、アムステルダムにある「映画博物館(Filmmuseum)」が長年にわたって収集保管し、今回、保存処理や復元が行われたばかりのもので、多くが世界初上映となります。また、音楽は同じくアムステルダムでこの9月に録音されたばかりのもので、生演奏ではないものの、それぞれの映画に合わせて、ピアノはもちろん、アコーデオン、ハルモニウム、さらには歌声(ソプラノ)まで使ったアンサンブル主体の豪華版になっています。
日蘭交流400周年にあたる本年、わが国にとっては西洋文化移入の歴史において一時期きわめて近く、映画の歴史については遠かった国オランダを知る絶好の機会かと思われますので、映画ファンの方々はもちろん広く皆様のご鑑賞をお奨めいたします。
■(製)=製作 (監)=監督 (原)=原作・原案 (脚)=脚本・脚色・潤色 (撮)=撮影 (出)=出演
■上映プリントはすべて英語インタータイトル版です。日本語字幕は付きませんが、上映当日にはあらすじ等を記載したプログラムごとのハンドアウトを配布いたします。
■音楽はこの企画のためにオランダで作曲・録音されたものです。生演奏は付きませんのでご了承ください。
■本特集はすべて白黒(着色、染色、調色等を含む)、35mmプリントによる上映です。
■都合により、番組が一部変更になる場合があります。また、記載した上映分数は、当日のものと多少異なることがあります。
■製作会社名「M&BC」はミュートスコープ&バイオグラフ・カンパニーのオランダ支社の略称です。
D-1 | 11/28(火)3:00pm | 12/6(水)6:30pm |
1896-1903 M&BC(製)D・L・アウテンボーハルト(4分)
1911アメリカン・ビオ・タブロー(出)フリッツ・コールホーヴェン、ジョルジュ・ルガノー、マルセル・アンリオ(7分)
1920 ハーゲ(製)ヴィリー・ミュレンス(8分)
1931ヒスパノ(撮)ヘンク・アルセム(出)セルゲイ・エイゼンシュテイン、エドゥアルド・ティッセ、グリゴリー・アレクサンドロフ、ボリス・イングスター、エグベルト・ファン・プッテン(7分)
陶器工場の工場長フォーゲル(Y・ファン・ドメレン)は、失なわれて久しい古来のデルフト焼の上薬の配合を完成させようと、日夜研究に打ち込んでいるが、研究費がかさんで家計は火の車。フォーゲルは運よく手にした3000ギルダーで高価な原料を買い、ついに研究を完成させる。奇しくもその晩、社長のハーフテン(L・H・クリスペイン Sr)は経営難を苦にして拳銃自殺をするが、フォーゲルの研究成果の横取りを狙って工場に忍び込んでいた工員のヴィレム(W・ファン・デル・フェール)が遺された金と遺書を盗んでしまう。夜が明け、完成したデルフト焼を持って事務所に駆けつけたフォーゲルは、ハーフテン殺しの疑いで投獄される。ヴィレムに追いかけられた娘のアニー(A・ボス)が風車の羽根によじ登ると、風車が回り始め、羽根にぶつかったヴィレムは致命傷を負い、アニーは救出される。ハーフテンの後を継いだ息子のレオは、無罪放免となったフォーゲルを共同経営者に迎え、かねて恋仲のアニーとレオは婚約する──。回転する風車の羽根に必死でしがみつくアニーを、羽根に固定したカメラで撮影したダイナミックな場面が出色。工場長と社長に扮するドメレンとクリスペインはともにホーランディアのスターで、監督も手がけている。
1917ホーランディア(製)(監)マウリッツ・H・ビンガー(撮)H・W・メットマン(出)アニー・ボス、ヴィレム・ファン・デル・フェール、ヤン・ファン・ドメレン、リリー・バウメースター、ルイ・H・クリスペイン Sr、ポーラ・デ・ワールト、フレッド・フォーヘディング(60分)
D-2 | 11/28(火)6:30pm | 12/6(水)3:00pm |
1896-1903 M&BC(監)ウィリアム・ケネディ・ローリー・ディクソン(3分)
1913コロニアル・インスティテュート、パテ・フレール(監)J・C・ラムスター(11分)
1920ハーゲ(監)W・ミュレンス(11分)
1917パテ・フレール(8分)
ドーラ(M・クリング)は帽子屋を営んで盲目の父(L・H・クリスペイン Sr)と妹レア(E・デ・レーウ)を養っている。キリスト教徒で社会主義者の医師(Y・ファン・ドメレン)と恋に落ちるが、正統派ユダヤ教徒の父に許しをもらえず、家を出る。大黒柱のドーラを失って、父と妹はたちまち路頭に迷い、家財道具を手押し車に積んで放浪する。アムステルダムで地下室を見つけて住み始めるが、新聞売りから物乞いへと身を落とす。ある日、父が運河に落ち、レアも運河に飛び込んで、通りがかりの人に運よく助けられるが、冷水に飛び込んだレアは重い病気にかかる。呼ばれた医者はドーラの夫で、レアの病気を直した彼に父は感謝し、一家は再び仲直りをする──。クリスペインは“自然な演技”を標榜する進歩的な演劇の演出家であったが、芸術監督としてビンガーに雇われてホーランディアに加わった。本作では盲目の老父として出演もしている。アムステルダムのロケーション撮影がふんだんに織り込まれ、記録映像としても興味深いものとなっている。'90年代初めにフィルムが発見されたが、インタータイトルが欠落していたため、読唇術の専門家が俳優の台詞を解読して新たに制作された。
1914ホーランディア(製)M・H・ビンガー(監)(出)L・H・クリスペイン Sr(撮)H・W・メットマン(出)ミーンチェ・クリング、エニー・デ・レーウ、Y・ファン・ドメレン、ユージェニー・クリックス、クリスティーヌ・クリスペイン=ファン・メーテレン、A・ボス(47分)
D-3 | 11/29(水)3:00pm | 12/7(木)6:30pm |
1895-1902 M&BC(2分)
フランツ・アントン・ネゲラットはミュージック・ホール経営、映画配給などを幅広く手がけたドイツ移民で、同名の会社で海外のニュースを素材にした実写映画を多数製作したが、その作品の多くは現在失われている。
1917 F・A・ネゲラット(16分)
1926 (監)ジョージ・デベルス(2分)
作曲家のピーター(A・ミラー)はシルヴィア(A・ボス)と結婚し、可愛い一人娘レネ(R・スピリヤール)にも恵まれ、幸福な生活を送っていたが、シルヴィアの視力が次第に衰えてくる。手術が決まり、シルヴィアの入院中の家事を引き受けた妹のライダ(L・コルネロ)は、秘めていたピーターへの想いを再燃させる。手術が失敗してシルヴィアが失明すると、ピーターも快活なライダに魅かれ始める。長年心密かにシルヴィアを想っていた教会のオルガニストのロベルト(F・バウメースター)は、ピーターの裏切りを告げてついに愛を告白する。シルヴィアはピーターの愛を取り戻そうと、二人を結び付けた歌を歌うが、もうどうにもならないことを悟り、入水自殺する。ビンガー入魂の力作であったが、公開当時はカトリック教会によって“不良”映画のレッテルを貼られるなど、厳しい非難にさらされた。
1918ホーランディア(製)(監)M・H・ビンガー(原)A・M・G・ファン・リームスデイク(出)Y・ファン・ドメレン、A・ボス、ローラ・コルネロ、アデルキ・ミラー、フリッツ・バウメースター、P・デ・ヴァールト、レネ・スピリヤール、マリー・スピリヤール、コー・スミッツ(62分)
D-4 | 11/29(水)6:30pm | 12/7(木)3:00pm |
1917パテ・フレール(1分)
1919フォルトマン(出)トニー・シュミッツ、ドゥ・ラ・マール=クレイ夫人、アレックス・ホック、ベルナルド・テントフ・ファン・ノールデン、フェルディナン・ドゥ・ラ・マール(2分)
J・イヴェンスの「橋」にも登場するヘフブルッフ橋を中心に、陸海の交通が交差するロッテルダム港の全景を描く。
1925ハフィルミ(製)W・クリーガー(11分)
にわか雨が降る前と、最中と、上がった後のアムステルダムを描いた映像詩。「橋」で一躍注目を浴びたイヴェンスの、アヴァンギャルド映画作家としての評価を決定づけた。(13分)
1929 CAPI(製)(監)(脚)ヨリス・イヴェンス、マヌス・フランケン
ジョゼフ(A・ミラー)は、母親(P・デ・ワールト)と婚約者マリー(J・ファン・デル・ペルス)を郷里に残して兵役についた。配属された町には、たばこ工場に勤めるカルメン(A・ボス)という魅力的な娘がいた。同僚の女工に怪我を負わせたカルメンを逃がしてしまい、除隊処分になったジョゼフは、密輸業者の根城に逃げ込むカルメンを追い、ついには一味に加わることになる。カルメンはじきにジョゼフに飽き、人気バリトン歌手ダルボーニ(Y・ファン・ドメレン)と結婚。傷心のジョゼフはダルボーニが「カルメン」の闘牛士を演じるオペラの会場で、カルメンを刺し殺そうとする……。原作にほぼ忠実な展開ながら、物語の舞台はアムステルダムに移されている。ジョゼフが郷里のマリーに想いを馳せる際の合成処理やインサート・ショット、ラストシーンにおける舞台と現実の交錯などに、映画的な話法の成熟が見られる。本作は大ヒットを記録したが、北ホラント州のカルヴァン派の町では、青少年が見るには不適切な映画として上映が規制された。今回の上映プリントはアメリカへ輸出する際ハッピーエンディングを付け加えたヴァージョンで、ジョゼフがカルメンを殺さないうちにその夫に取り押さえられ、罪を償って出所したジョゼフは以前の婚約者マリーのもとへ帰る。
1919ホーランディア(製)(監)(脚)M・H・ビンガー(監)(脚)ハンス・ネスナ(原)プロスペル・メリメ(出)A・ボス、A・ミラー、Y・ファン・ドメレン、P・デ・ワールト、ジャンヌ・ファン・デル・ペルス、E・ヴィナール、F・ホフマン、レニー・マルカス(60分)
D-5 | 11/30(木)3:00pm | 12/12(火)6:30pm |
1916(監)W・ミュレンス(4分)
1916コロニアル・インスティテュート(監)L・Ph・デ・ブッシー、ヴィレム・ミデンドルプ(7分)
冬のフラールディンゲン湾。艦隊の視察、塩の荷降ろし、ニシン用の樽や籠作り、帆の縫製と網の修繕など、出航前後の作業と漁の様子を綴る。
1923ポリホーン(撮)コー・アーフェス(32分)
オランダ建築労働者組合の依頼による記録映画「われらは建てる」(1929)のうち、ゾイデル海干拓工事に関する部分を利用して製作された。1934年にはさらに同じフィルムに追加撮影分を加えて「新しい土地」が作られている。デン・ウーフェルの閘門建造を中心に、広大な内海に陸地を造成してゆく人々の姿をダイナミックに描いたもので、オランダのドキュメンタリーを世界に認知させることとなった。
1930 CAPI(監)(撮)J・イヴェンス(撮)ジョン・フェルンハウト、ヴィレム・ボン、エリ・ロタール、マルク・コルトフ(50分)
D-6 | 11/30(木)6:30pm | 12/12(火)3:00pm |
コカイン、ゴム、コーヒーなどを栽培する農園や、ゴム製造工場の様子。
年不詳 ハーゲ(監)(撮)W・ミュレンス(20分)
風車、木靴、民族衣裳といったオランダらしい風物を背景に、牛の乳絞りからペイントまで、チーズ作りの全行程を見せる。
1909パテ・フレール(9分・白黒)
香で催眠状態になった幼い少女(サンヤン)たちの忘我の踊り。その聖なる踊りで男たちは悪霊から護られる。
1929ハーゲ(製)(監)W・ミュレンス(7分)
1925(3分)
1925(12分)
1917ス・フラーフェンハーフセ(製)(監)W・ミュレンス(13分)
D-7 | 12/1(金)3:00pm | 12/13(水)6:30pm |
17世紀オランダ貴族の常で、コルネリス(H・マッカーシー)はチューリップ栽培に打ち込み、黒いチューリップ栽培コンテスト優勝を目指している。その名付け親で共和国の有力者、コルネリス・デ・ウィット(E・フェルカーデ)は、コルネリスに内容を知らせないまま重要書類を託す。王政派のクーデターが成功し、投獄されたデ・ウィットは、書類の処分を命じる手紙とともに3個の球根をコルネリスに届ける。コンテストの勝利を狙うボクステル(H・ワッフハルター)の密告で投獄されたコルネリスは看守フライプス(C・ヒッシンク)の娘のローザ(Z・パルマー)と恋仲になり、デ・ウィットに託された球根を育てる。群衆の暴動でデ・ウィット兄弟が殺され、コルネリスも死刑判決を受けるが、オラニア公の計らいとローザの献身で黒いチューリップの真の栽培者と認められ、デ・ウィットの手紙によって政治的な潔白も証明される。本作は巨額の製作費を投じた蘭英合作のコスチューム時代劇で、デン・ハーグの大監獄門、ハウス・テンボス王宮の庭、ローヴェシュテイン要塞をはじめ、撮影の多くは実際に歴史上の事件が起こった場所で行なわれている。グレンジャー=ビンガー・フィルムは、第一次大戦後に経営に行き詰まったビンガーが、イギリスの市場開拓を狙って配給業者のA・G・グレンジャーをプロデューサーに招いて設立した製作会社。
1921グレンジャー=ビンガー(製)M・H・ビンガー、A・G・グレンジャー(監)フランクランド・A・リチャードソン(撮)F・ブールスマ、ヤン・スミット(出)ヘラルト・マッカーシー、ゾーエ・パルマー、エドゥアルト・フェルカーデ、ディオ・ハウスマンス、ハリー・ワッフハルター、クーン・ヒッシンク、アウグストス・ファン・デル・フック、フランク・ダーネ、L・エゼルマン(78分)
D-8 | 12/1(金)6:30pm | 12/13(水)3:00pm |
食べ物をもらえなかった浮浪者が、やって来て食べ物を乞うが、粉屋は拒んで追い払う。浮浪者は腹いせにおもちゃの風車を叩き壊した上、一家が寝静まるのを見計らって火をかける……。ホランセ・フィルムはパテ・フレール社が1911年に設立したオランダ支社で、製作責任者としてフランスから派遣されたマシャンは、風車を重要な舞台装置に取り入れたメロドラマを数多く製作した。
1912ホランセ、パテ・フレール(製)(監)アルフレッド・マシャン(撮)ポール・サブロン(出)ジャック・ヴァンデーヌ、モーリス・マチュー、ジェルメーヌ・デュリー、ジェルメーヌ・レキュイエ、マール(5分)
オランダ国営製鉄所は銃の製造に適した強い鋼鉄を造る方法を開発したばかり。工員のヨアヒムは、文無しを理由にマリアに結婚を断わられたことから、外国の諜報機関に買収され、秘密の書類を盗み出した末、製鉄所に火を放って逃げる。比較的工業化が進んでいたベルギーとの国境地帯、マーストリヒト近くで撮影された。
1912ホランセ、パテ・フレール(製)(監)A・マシャン(出)レオン・マト(16分)
オランダからメキシコに入植したヴィレム(W・ファン・デル・フェール)は両親に、現地の反乱軍との戦いに敗れて危険に晒されていると書き送った。不安を募らせる両親のもとにヴィレムからの電報が届くと、母はたちまち気を失い、盲目の父は文面を読むすべもなく、ショックのあまりメキシコの反乱軍に息子が処刑される場面の幻影を見る。突然ドアが開き、ヴィレムが帰宅すると、一家には再び幸福がもたらされる──。オーストリアでは処刑シーンが残酷すぎるとされてカットされた。
1914ホーランディア(製)M・H・ビンガー(監)L・H・クリスペイン Sr(出)W・ファン・デル・フェール、エスター・デ・ブール=ファン・レイク、C・ヒッシンク、C・クリスペイン=ファン・メーテレン(12分)
アニー(A・ボス)は恋人ヘンドリック(W・ファン・デル・フェール)と幸せな日々を送っていたが、魅力的なジプシー歌手、アイダ(アイダ)が村を訪れ、ヘンドリックの心を奪う。アニーは嫉妬のあまり、毒蛇の入った鞄をアイダの小屋に置くが、偶然訪れたヘンドリックが死んでしまう。アニーは悲嘆に暮れ、ひとり海辺で祈りを捧げる。
1914ホーランディア(製)M・H・ビンガー(監)Y・ファン・ドメレン(出)アイダ、A・ボス、W・ファン・デル・フェール、E・クリックス、C・キンスベルゲン(16分)
1912コロニアル・インスティテュート(監)J・C・ラムスター(7分)
1921フォッカー(出)ヴィルヘルミナ女王、ユリアナ王女、アントニー・フォッカー(4分)
1927ハーゲ(製)(監)W・ミュレンス(前半部のみの上映・15分)
1925ポリホーン(4分)
D-9 | 12/2(土)1:00pm | 12/14(木)6:30pm |
1932ムルティフィルム(監)J・C・モル(脚)クリスチャン(8分)
1917-37(17分)
アムステルダム・フィルムは、国際派監督、T・フレンケル(母方の姓バウメースターを名乗ることを好み、本作でも後者がクレジットされている)が興した製作会社で、本作はその旗揚げ作品である。Th・ファン・アムステルの4幕物の戯曲をもとにした船長の娘と漁師の恋物語で、1916年には無声映画期のオランダ映画として唯一日本公開されている。潜水夫が難破船を調べる場面には、水中撮影を行なわずに水のゆらめきを表現する工夫が見られて興味深い。
1915アムステルダム(製)(監)テオ・フレンケルSr(原)Th・ファン・アムステル(出)ユリー・フレンケル=メイヤー、ケース・ラーヘマン、ヴィルヘルミナ・クレイ、ヤープ・ファン・デル・ポル、ピート・フッフス、C・ヒッシンク、ヤード・ファン・スタールダイネン(67分)
D-10 | 12/2(土)4:00pm | 12/14(木)3:00pm |
巡回映画館で外国製の映画を公開して成功をおさめていたミュレンス兄弟が、自ら製作を始めた最初期の作品。好評を得て、翌年には続篇も作られた。
1905アルベール・フレール(製)(出)W・ミュレンス(製)(監)(撮)アルベルト・ミュレンス(5分)
「ピエロが女ピエロを愛するあまりに自殺する」という映画、「ピエロの死」の撮影現場と、俳優2人の現実の恋。
1920アムステルダム(製)(監)T・フレンケル Sr(出)F・バウメースター、フェラ・ファン・ハーフテン、クリス・ローレンティウス(16分)
1934ネザーランズ(撮)H・アルセム(出)チャールズ・チャップリン、シドニー・チャップリン(6分)
1928セントラフィルム(製)(監)(撮)(出)D・J・ファン・レーン(8分)
ロッテルダム港コーニングスハーフェン地区にかかる昇開式鉄橋(ヘフブルッフ橋)の動きを、鉄骨の構造や動力メカニズムに焦点を絞ってダイナミックに映像化したもので、アヴァンギャルド映画作家としてイヴェンスの名を一躍轟かせることになった。
1928 CAPI(監)(撮)J・イヴェンス(16分)
病弱な妻(ヴァン・デル・ストゥール夫人)と優しい夫(C・デ・モール)が田舎の家に越してくる。窓辺の草花と陽光を楽しみながら、いたわり合って生きる2人。しかし病気は悪化し、窓辺には薬瓶が並ぶ。やがてカーテンが閉まり、「貸家」の貼紙が掲げられる。
1933(監)(撮)M・フランケン、オットー・ファン・ネイエンホフ(出)クリス・デ・モール、ヴァン・デル・ストゥール夫人(8分)
スロー・モーション、クイック・モーション、逆回しなどによって出現する奇妙な時間の流れの実演と、微速度撮影された花や草木の成長。
1928ムルティフィルム(監)J・C・モル(第1部のみの上映・19分)
D-11 | 12/5(火)3:00pm | 12/15(金)6:30pm |
1909フィルム・ファクトリー(監)F・A・ネゲラット Sr(2分)
1923(監)(撮)G・デベルス(4分)
1912コロニアル・インスティテュート(監)J・C・ラムスター(3分)
石版印刷で成功していたビンガーが設立したホーランディアの第1回作品であり、のちに国際的なディーヴァとなるA・ボスのデビュー作。道化のペドロ(A・ベノ)が仲間の軽業師たちと互いの肩に登って人間はしごをつくり、燃え盛る風車から無事愛する娘(A・ボス)女を救い出す。なお今回の上映プリントは別題「燃え上がる風車」となっている。
1913ホーランディア(製)(監)M・H・ビンガー(出)A・ボス、A・ベノ、バーレント・バーレンセ、L・バウメースター Jr(25分)
デン・ハーグの町から車や船を乗り継いで田舎に行き、列車で戻ってくるまでを、見た目のショットやクロースアップを多用した洗練されたモンタージュで綴る。人の顔をほとんどフレームにおさめないスタイリッシュな構図が印象的である。
1929シティ・フィルム(監)ヨハン・J・ラープ・ファン・カステイン(撮)ジャン・ドレヴィル(48分)
D-12 | 12/5(火)6:30pm | 12/15(金)3:00pm |
阿片追放キャンペーンのため、ウーストヘーストの宣教団とオランダ汽船会社の依頼で製作されたセミ・ドキュメンタリー作品。反阿片協会の活動を実名とともに伝えつつ、阿片の密輸と使用を阻止し、中毒者を阿片の悪習から救い出そうとする救世軍と宣教師の奮闘を描いている。
1933ヒスパノ(監)(撮)H・アルセム(120分)