ポスターで見る 「無声時代後期のソビエト映画」 PART II
Soviet Film Posters in the Late Silent Era, Part II
東京国立近代美術館フィルムセンター展示室(7階)
2001年1月9日(火)- 2月17日(土) /2月27日(火)- 3月24日(土)
午前10時30分-午後6時 (入場は午後5時30分まで)
休館日:2月20日(火)- 2月24日(土) および日曜日・月曜日
入場無料
主催:東京国立近代美術館フィルムセンター
1997年の《ポスターで見る「無声時代後期のソビエト映画」》以来3年ぶりの開催となる本展は、NFCが所蔵するソビエト映画のオリジナル・ポスターを、補修作業の完了に伴い紹介するものです。
当コレクションは、1930年に日本で開催されたソビエト映画展覧会(「ソヴェート映画 ポスター スチール展」)に際しソビエトから当時の主催者に譲渡されたパッケージを母体としており、様々な経緯を経て後年、NFCに寄贈されたものです。107点におよぶポスター等から構成されたこの展覧会は、同年にソビエト訪問を果たした評論家、袋一平の帰朝を記念したもので、ソビエトにおける日本映画の公開(「何が彼女をそうさせたか」等)、ソビエト映画の輸入(「古きものと新しきもの[全線]」、「第十一年」、「春」)とならぶ日ソ映画交流の成果となりました。当時ソビエト映画の輸入が厳しい検閲にさらされ、実際に公開されたフィルムそのものがごく限られていた事実を考えれば、それが《フィルム》と《副次資料》という境界を越えて、我が国のソビエト映画受容史における極めて重要な一場面であったことが判ります。
それから70年の時を隔ててなお、当初のまとまりをほぼそのままに保持した当コレクションは、美術史的な観点からも注目に値するものであり、ロトチェンコやステンベルク兄弟らの手になる先鋭的なポスター・デザインの数々に、革命ロシアにおける2大芸術ジャンルともいうべき映画とグラフィック・アートの、アヴァンギャルド最後の到達点を見ることができます。
そしてもう一つの驚きは、いまなおエイゼンシュテインやプドフキン、ドヴジェンコらの諸作品を除けば、ここに登場する映画タイトルの大多数は我々の限られたソビエト映画理解の彼方にあるという事実かも知れません。様々な意味で、かつて我が国の知識層を魅了したポスター群は、現在の鑑賞においても再び大きなインパクトをもたらすことでしょう。今回の展示では、現コレクションの点数約140点のうち、既に取り上げた63点を除く77点が新たに展示されます。散逸を免れた映画資料がたたえるオリジナルの迫力をご堪能いただければ幸いです。
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