過去の上映
- 2015.8.21−9.6
※金・土・日曜日のみの上映となります。 - 上映企画
京橋映画小劇場No. 31
映画の教室2015
Kyobashi-za No. 31
Film Class of 2015
- 会場:
- 小ホール
開映後の入場はできません。
- 会期:
- 2015年8月21日(金)-9月6日(日)
※金曜日・土曜日・日曜日のみの上映となります。
- 料金:
- 大学・高校生310円
一般520円/シニア310円/小・中学生100円/障害者(付添者は原則1名まで)、キャンパスメンバーズは無料
- 定員:
- 151名(各回入替制)
- 発券:
- 地下1階受付
・観覧券は当日・当該回のみ有効です。
・発券・開場は開映の30分前から行い、定員に達し次第締切ります。
・学生、シニア(65歳以上)、障害者、キャンパスメンバーズの方は、証明できるものをご提示ください。
・発券は各回1名につき1枚のみです。
概要

映画史を飾る古典的な作品をフィルム上映で鑑賞する機会が減少している中、フィルムセンターは、新たに映画芸術に触れようとする方々を主なターゲットとして、所蔵作品の中から映画を学ぶ上で重要な秀作を上映する「映画の教室」を今年も開催します。《京橋映画小劇場》第31回企画となるこの「映画の教室2015」では、外国映画5本、日本映画4本の計9作品(9プログラム)を上映いたします。皆様のご来場をお待ち申し上げます。
PDF版でもご覧いただけます ↓
上映作品詳細
1栄光(122分・24fps, 16mm, サウンド版, 染色)
WHAT PRICE GLORY
- 2015年8月21日2:00 PM@小ホール
- 2015年8月29日1:45 PM@小ホール
米海兵隊員フラッグとクヮートの、戦いと恋と友情の物語。原作戯曲を共同執筆したストーリングズは、キング・ヴィダー監督による前年の大作『ビッグ・パレード』の原作者でもあり、この2本が第一次大戦映画の人気を決定付けた。男だけの世界である軍隊でのコミカルなやり取りが楽しい一方で、戦場シーンは息を呑むような迫力である。1926年にアメリカでサイレント版が公開された後、翌27年に音響効果と音楽を付けて再公開された。J・フォード監督『栄光何するものぞ』(1952)はこのリメイク。
2サンライズ(96分・24fps, 16mm, サウンド版, 白黒, 日本語字幕なし)
SUNRISE: A SONG OF TWO HUMANS
- 2015年8月21日5:00 PM@小ホール
- 2015年8月30日11:00 AM@小ホール
湖畔の村に住む純朴な若夫婦の前に、都会の女が現れる。女は夫を誘惑し、やがて恐ろしい事態が引き起こされる……。物語はシンプルだが、『ノスフェラトゥ』(1922)『最後の人』(1924)などの監督ムルナウがドイツからハリウッドに招かれて撮った本作は、トーキーへの移行が進むなか、サイレント映画が積み上げてきた芸術的達成をすべて凝縮したかのような、世界映画史に屹立する傑作となった。
※上映当日、あらすじを記したハンドアウトを会場で配付します。
3パンドラの箱(120分・20fps, 35mm, 無声, 白黒)
DIE BÜCHSE DER PANDORA
- 2015年8月22日10:30 AM@小ホール
- 2015年8月30日1:30 PM@小ホール
周りの男女を破滅へと導く魔性の女、ルル役を演じる女優を探していたパプストは、ドイツ人女優ではなく、ハワード・ホークス監督作『港々に女あり』(1928)で観たルイーズ・ブルックスを抜擢した(第二候補はマルレーネ・ディートリッヒだったという)。活発なフラッパー役で魅力を発揮していたブルックスは、本作で映画史に残る伝説的存在となった。
4第九交響楽(98分・35mm, 白黒)
SCHLUSSAKKORD
- 2015年8月22日2:00 PM@小ホール
- 2015年9月4日2:00 PM@小ホール
破綻しつつある夫婦関係を延命させるため、大指揮者は幼い男児を養子に取るが、ちょうどそのとき、不幸な成り行きからその男児を手放した実母がアメリカから帰ってくる。アメリカ亡命後「ダグラス・サーク」の名で数々のメロドラマ映画を監督するデトレフ・ジールクが、このジャンルを初めて手掛けた作品。ドイツとアメリカを第九の調べでつなぐ序盤部分に始まり、地理的距離と人物の心理的距離を自在に操る。
5どん底(82分・35mm, 白黒)
LES BAS-FONDS
- 2015年8月23日11:00 AM@小ホール
- 2015年9月4日5:15 PM@小ホール
泥棒稼業のペペルは、愛するナターシャとともに吹き溜まりのような宿から抜け出したいと願っているが、一方で彼女の姉と腐れ縁に陥っていて…。ゴーリキーの戯曲を、登場人物の名前はロシア名のまま、あえてパリの風景のなかで映画化。『ピクニック』(1936)と『大いなる幻影』(1937)の中間に撮られた、脂の乗り切った時代のルノワール作品であり、彼とギャバンが初めて組んだ映画でもある。
7用心棒(110分・35mm, 白黒)
- 2015年8月28日1:00 PM@小ホール
- 2015年9月5日2:00 PM@小ホール
二つのやくざ組織が支配する宿場町に現れた一人の浪人。型にはまらない彼の行動は、町のパワーバランスをかき乱し始める。黒澤明は伝統的時代劇の様式的な殺陣を排し、泥臭くも力感にあふれたアクションを演出した。そのインパクトは海外にも波及し、「マカロニ・ウェスタン」なるサブジャンルをも誕生させることになる。作品世界のダイナミズムをいっそう強調する、ズームレンズの使用法が卓抜。
8乱れる(98分・35mm, 白黒)
- 2015年8月28日5:00 PM@小ホール
- 2015年9月6日11:00 AM@小ホール
夫の遺した酒屋を20年間守ってきた寡婦の礼子は、スーパーマーケットの進出で経営の見直しを迫られるなか、義弟から恋心を打ち明けられて動揺する。成瀨作品の最良の瞬間には、まるで犯罪映画のような緊迫感がみなぎっているが、ほぼ全篇がそうした瞬間で構成されているこの映画は、カット割りと美術、衣裳、人物の動きの連動でサスペンスを持続させながら、やがて衝撃の結末へと至る。
6近松物語(102分・35mm, 白黒, 英語字幕付き)
- 2015年8月23日2:00 PM@小ホール
- 2015年9月5日11:00 AM@小ホール
大経師の内儀・さんと手代の茂兵衛は、誤解から不義密通の罪を負わされて逃げるが、その道中で真実の恋に目覚めていく。近松の「大経師昔暦」を下敷にした悲恋物語。溝口健二の映画では、川や湖のシーンがいつも素晴らしいが、この映画のそれは極め付きと言える。宮川一夫の撮影も、主演スター二人の演技も一分の隙もなく、悲劇と愛の恍惚とが交錯する終結部へと映画を駆け上らせる。
9少年(97分・35mm, カラー)
- 2015年8月29日11:00 AM@小ホール
- 2015年9月6日2:00 PM@小ホール
新聞の見出しとなった実際の出来事を基に、父に命じられて「あたり屋」行為を繰り返しながら日本中を渡り歩く少年と、その家族を描いた作品。一面を白く塗りつぶす深い雪景色をとらえた映像が、そこにたたずむ少年の孤独感を際立たせる。象徴性と様式美に満ちた演出と、リアルな感情をすくい上げる演出とを両立しつつ、大島渚の怜悧な思考は「家族」を経由して「国家」を撃つ。